能力研究所(その他ver)10
学園内で兄貴の護衛をしていた俺達。けれどなんの兆候もなく、周りのメンバーが同志討ちを始めた。状況が理解できてない間に、俺はブちぎれた真に理不尽な攻撃を受けて、以前より改良を重ねたパワードスーツが半壊させられた。
正直死ぬかと思ったが、急に全員が冷静になって九死に一生を得た。けれど兄貴が脱走しているのに気がつかず、全員で捜索した結果。俺が兄貴のスマホのIPアドレスを追う形で現在地を割り出した。
結果的に兄貴は、海を走ると言うバカげたことをしていた。そして兄貴の調べた内容から、今回の襲撃者組織の本拠地らしき地点に向かっているのを察して追う羽目になった。既に早坂と言う先輩が掴まって、楓姉まで行方知れず。その狙いが兄貴だっていう話を聞いて大慌てで向かってるけど、正直、楓姉の関わった事件で動いてる兄貴を止められる気がしない。
小学校から中学、そして今の高校まで、楓姉に怪我をさせたり、いじめた連中は男女問わずブッ飛ばしてきた。普段は大人しいのに、急に豹変する兄貴は、暴走特急並だからね。それで問題児扱いで、数々の処罰を受けても凝り無かった。
まぁ兄貴だけに限らず、品行方正なイメージのある楓姉だって、中学までは問題児達ではあったのだけど。
などと気苦労が絶えないな、もしかして俺禿げるんじゃないだろうかと頭髪と相談しつつ、以前より飛行能力の上がったパワードスーツで海を渡っている。
新たに背中にスラスターを追加。更に両腕に折りたたみ式の翼を装着した事で、上昇と下降を繰り返す形にはなるが、飛行が可能になった。ただ、バッテリーの関係上、長時間の飛行は不可能だし、何より先程からスラスターがプスプス言ってる気がする。
「俺は泳げないんだ。たのむ、お願いだから落ちないでくれたまえ」
とアーマーに祈りながら、如何にか目的地に着地する事が出来た。けれど、着地と言うよりは、墜落と言った方が近い。あと少しでという位置でバッテリーが尽きて、落下した。予備バッテリーに切り替えが間に合わなかったら、死んでいたのではないかと思う。
「なんていうか、凄い残骸だな。最新の機械がたくさん、持って帰ってはいけないのだろうか?」
研究所に辿り着いた俺は、予備バッテリーの要領の確認と元のバッテリーの児童充電を開始し、研究所の入り口付近に転がる残骸に目を奪われた。数々の最新機器。これを使えば俺のアーマーも強化できる筈なのだ。
つい研究者の癖で物色していると、カツンカツンと金属で鉄を叩く音が聞こえた。
「おやおや、俺の城に侵入者がいるようだ。おい其処の鉄くず。これはお前の仕業か?」
「俺? いいや俺はこんな事していない。ついでに言えば物色はしてました! ごめん」
「ふむ、と言う事は掃除夫だったか。邪魔をしたな、作業に励むがいい。ガラクタは必要でない、好きに持っていけ」
「あ、どうも。じゃ終わったら掃除もしておきます」
何故か金髪で西洋刀を杖代わりにしている気前の良い男が現れ、この残骸を持って帰っていい事になった。正直喜びから相手への感謝の気持ちでいっぱいだった。なので頭を下げたのだが、俺のアーマーのブースターから黒煙が発せられ、それが男の服を汚す。
「あ、ごめんなさい! クリーニング代払います!」
大変失礼な事をしたと頭を下げるも、男は動かない。そして、男が此方を向く前に、背後に現れた巨大な影が視界に入る。思わず振り向いた時、巨大な影は、足元に散らばるガラクタが集まった人型の怪物だった。それは大きく手を振り上げ自分の身体を吹っ飛ばした。
俺のアーマーを破壊はできないが、中にまでダメージの通る質量攻撃。入口の壁に叩きつかられる前に背中のブースターを点火して、回転する事で勢いを殺す。けど、バランスを崩した俺は頭から地面に突き刺さる。
ドリルのような勢いで地面を掘って、首が抜けなくなった。視界が真っ暗になり、混乱していると何かに足を掴まれ、地面から引っこ抜かれる。
「貴様、俺の衣服を汚すとは、掃除夫ではなく害虫だったか」
「いや、あの、今のは事故で」
自分を救出してくれたのは、男の後ろで佇む巨大な機械の集まり。人型のそれは、ガラクタをとりあえず集めた赤目の怪物。見ての通り俺にサーベルを向けている男の能力なのだろう。
「黙れ」
「……」
「この俺に無礼を働く不届き者め。この俺自らで始末してやる」
睨みつけられるが、俺は言葉が出ない。だがそれが気に喰わないのか、男は頭に青筋を浮かせながらゴーレムを操作して俺を殴った。
「ぐっいって」
6mはありそうなゴーレムの渾身のパンチを両腕クロスでガードしたが飛んでもない衝撃が襲ってきた。さっきの失敗が痛かったため、素直に殴り飛ばされたが、そのまま壁とゴーレムの拳でプレスされる。激痛が背中と腕に走る。ダメージを受けた個所は損傷しており、アーマーが大きく抉れていた。何度も火花やスパークが発生しエネルギーがどんどん失われる。
「俺が話していると言うのにシカトとは楽には、殺さんぞ!」
「いや、黙れっていったじゃないぐは」
反論をする間もなく理不尽な暴力が襲う。壁にめり込んだ状態の俺を巨大なゴーレムが何度も往復で殴って来る。身体を丸めて両腕と両足をくっつける形で防御する。アーマーは攻撃を受ける度に軋む。ダメージがフェイスモニターに表示されるが、今は動けない。ゴーレムが想像より機敏な動きで乱打を仕掛けてくるため、ダメージを受ける度に装甲の金属を強化するが、徐々にフレームも歪み始める。装甲の中のフレームが今のところダメージを吸収するが、このフレームが損壊すれば、俺は死ぬ。
「ほうしぶといな。ならこう言うのはどうだ」
何度殴打しても死なない俺に業を煮やしたのか、男はゴーレムの右手を高く上げさせる。するとゴーレムを形どっていたガラクタの鋭利な部分が収束され、ゴーレム用のメリケンサックが生成される。
そのメリケンサックをつけた拳を大きく振りかぶって俺に振るった。
「くそう」
咄嗟に今までにない精度で全身の装甲とフレームを強化した。本来なら内部の機構も保護したいが、そんな余裕はない。基本生身の自分は、兄貴や楓姉みたいに攻防一体なんて不可能。俺に出来る事は、金属を強化し形を変えるだけ。ならそれに専念せねば死ぬ。本当に内の学園の連中のほとんどは、こんな思いしないんじゃないかな? 人間は、簡単に死んでしまうってことに嫌でも気がつくなんて事。
「がへ」
全力の防御だったが、ゴーレムのパンチを受け止めた際に、俺は厚さ1mはある外壁をぶち抜いて、研究所の外に転げ落ちた。なんども地面と空が交互に回って、気がついた時には仰向けで砂浜に倒れ込んでいた。全身に激痛があり、特に右肩が焼けるように熱かった。見れば、最大限に強化したアーマーを貫通した刃が、刺さっていた。
「痛い。これは病院に行かなくてはいけないな」
人間一度限界状態を越えると、ある程度思考はクリーンになるものである。さっきまでは、恐慌状態で正直生きるために足掻いていたが、考える時間が出来た。あの暴虐武人のゴーレム使い。よく考えれば、敵の組織の人間だとわかるじゃないか。なのに俺は何をやってたのだろうか。目先の好奇心に囚われてしまった。
さて、正体不明のゴーレム使いに俺は勝てるのだろうか? バッテリーは28%。損傷率は78%。一応主要部分は動くが、各所関節の修復に時間がかかるため、動きは制限される。そして敵は巨大な質量を持つ怪力の怪物を使役している。今は一体だがもしかしたら複数体呼べるのかもしれない。
結果絶望的。これは大人しく逃げて、助けを待つべきなきがする。学園には俺より優秀で強い能力者はいっぱいいるんだ。なら彼らに、……おけないな。
「他のメンバーだって戦ってるんだ。最低限俺も何かしなきゃ、仲間じゃない」
無理なベストは尽くさないでいい。できる事をコツコツすれば、いずれは結果に繋がるのだから。幼少期の大好きなテレビ番組の登場人物、今も憧れるヒーローの言葉。それに後押しされ、歪んだアーマーを修復して、関節部を率先して回復した事で立ち上がれる。
露出した内部機構は、かなり損傷が深く、パワーが20%に低下。全身打撲。これだけボロボロだけど、襲撃事件から防御力を改善していなければ、今だって生き残ってない。
思考を巡らせていると、ゴーレムの掌に立って男が近づいてくる。ドシンドシンと地面を揺らしながら巨大な腕を振り上げる。
「頑丈さだけは一人前か。」
「今度はこっちからいくぞ!」
比較的ダメージの無いブースターを点火。急加速を持って、砂浜を駆け抜け、振り下ろされたゴーレムの腕を回避。さらに地面を蹴って飛びあがり、ゴーレムのもう片方の手に乗っている男に拳を振るう。男は、サーベルで受け止めるが、勢いが乗った攻撃を殺し切れず後方のゴーレムの胴体に吹っ飛ぶ。
「貴様!」
「おわ」
瞬時にゴーレムの手で俺を振り払おうとする。俺は慌ててブースターを噴射して地面に着地する。そのまま、空ぶった体勢のゴーレムの胴体に拳をめり込ませる。
「俺のゴーレムは貴様如き似は倒せんぞ鉄くず」
「いいや、倒させてもらうよ。それともうバッテリーが心許無いから、こいつから拝借するよ」
俺は瞬時に腕部から微弱な電気を放電、それを受けてゴーレムを構成する元ドローンや兵器のバッテリーが漏電。その膨大な電力を帯びたゴーレムから男は離れて様子を見ている。
「充電完了」
上手く行った充電。漏電した電力をそのまま充電した事で、エネルギーが貯まる。そして、俺はそのまま突き出した右腕に内蔵された超振動波を機動した。全体的にダメージがあったためか、凄まじい衝撃が俺の右腕を襲うが、威力はお墨付きで、目の前のゴーレムが内部から砕け散った。
「よっしゃ!」
手応えに歓喜の声を上げる。ゴーレムは完全に崩れ、再生しない。後は目の前に立っている男だけだ。ただ、充電の4割を今使ってしまったため、残りは一発。見た所、男は生身での戦闘は、常人より多少上と言った所じゃないか?
「存外、中々やるようだな。張りぼてではないのか」
「一応、弱い奴は弱いなりに努力してるつもりだよ。まだやるか?」
俺が一応兄貴と同じように、拳を構えると男は、サーベルを俺に向ける。どうやらやる気があるらしい。正直、その勇気がうらやましい。俺は生身じゃ怖くて身が竦む。
「俺の親衛隊を見せてやろう」
男がサーベルで空を斬ると、5つの青白い光の弾が発生。それは徐々に形を変え2m前後のフルプレートの騎士と化す。それらは、意思を持ったように俺に剣を向ける。
「言っておくが、こいつらは先程のデガブツとは違うぞ」
「そのようですね。嫌になりますよこんちくしょう」
男が指を弾くと、5体の青き騎士は、それぞれが持つ剣で持って俺を斬りつける。人間を遥かに超えた速度と膂力の斬撃は、アーマーを着た俺を何度もふっ飛ばし、吹っ飛んだ俺に追いついた騎士がまた剣を振るう。咄嗟に両腕でガードするが、何度もガードをすり抜けて胴体に攻撃が入る。修復しているとはいえ、破損した鎧にこの連続攻撃は正直言って堪える。
片膝をついて、全方位からの攻撃に耐えるがフェイスモニターには危険を知らせるアラートが何度も鳴り響く。アーマーは所彼処が凹み、その隙間からダメージが通る。
「ぐは」
今度は頭部に強烈な横薙ぎ払いが命中、首を痛めそうになる程のけ反る。痛みに涙が出る。正直言って先程刺された個所が発熱しており、無理はしたくない。
けれどこのまま嬲られるのは勘弁。ほぼ本能で腕を振るって、斬撃を腕の装甲で弾く。さらにブースターを点火して再び男目掛けて走る。確かに手痛い攻撃だが、防御力に特化した装甲なら、身を斬られる事は無い。
主を護るように立ちはだかって、剣を振るう青い鎧。その攻撃を頭部を護るように腕を構えて強行突破する。
「ほう。大したものだ。だが考え足らずだ」
名前:皇 大地 (すめらぎ だいち)
コードネーム=イブダー
性別:男
年齢:17
所属:能力研究所
能力:直感 ゴーレム生成
能力内容:直感:他人に比べて異常なほどに機転が利く。
ゴーレム生成:何もないところ、または材料のあるところどちらでも作ることはできる。しかし材料無しから作ると壊れたとき何も残らない。操作できるのは最高で5個まで、しかしつくって単純な命令をひとつ入れるだけなら最大10個作ることができる
容姿:整った顔、金髪 身長は175
性格:傲慢、ナルシスト
武装:西洋剣、サバイバルナイフ
自分の剣技とゴーレム操作に絶対の自信があり、とてつもなくうざい、自分が中心に回ってるとおもっている。
周りからは御蛆様と呼ばれてるが、本人は皇子様だと勘違いしている。




