能力研究所(その他ver)8
次回は、明後日の投稿となりますです。
能力研究所付近の海上上空にて熾烈な戦いが繰り広げられていた。
「灰に帰せェェェッ!」
クロエが残った左手に能力で剣を生成しそれを掲げ叫んだ。
クロエの周囲でいくつもの光弾が育成され関野に殺到する。
関野はあるものは躱し、あるものは水の壁を作り出しこれを伏せぐ、海に落ちた光弾は海水を一部蒸発させる。
「むんっ!」
関野は海から何頭もの水龍を呼び出し、クロエに殺到させる。
クロエもまたあるものは躱し、あるものは光弾を水龍の頭部に命中させ、霧に変える。
「はぁぁぁっ!」
クロエは関野に向けて急降下すると左手の剣を戦斧に変え関野に叩き付ける。
関野は水で剣を創り出すとこれを受け止める。
しかし、急降下と斧とクロエ自身の重力が乗ったその攻撃に即席の水剣は崩壊寸前まで達し、関野は大きく弾かれる。
体勢を大きく崩した関野にクロエが襲いかかる。
関野は海水を大きく巻き上げる。即席のこれにバリアとしての機能は期待していない。目くらましになれば御の字。その間に体勢を整える。
「――無駄よ」
海水を突き破り、関野の真横に出現したクロエが言った。
吸血鬼の嗅覚で関野の血の匂いを探り当てていたのだ。
能力により衣服を翼の強化に充て、推進力を高めて水の障壁を突破していたのでクロエは武器を持っていなかったが、長く伸びた爪があった。
それを関野の首元の頚動脈めがけて突き出す。
関野は咄嗟に腕でガードする。
関野の腕から鮮血が吹き出す。
関野はクロエを振り払う。
クロエは左手に付着した関野の血液を舐めた。
「・・・これで少しだけ回復できたわ」
クロエはニヤリと妖しく嗤うと言った。
関野は内心焦りを感じていた。
目の前の少女は手負いにもかかわらずこの生徒会第2副会長である自分に対してここまでの戦闘力を見せている。
「オレが敵能力者に対して畏怖の念を覚えたのは初めてだぜ?」
関野を纏う雰囲気が冷たい物に変わる。
「全力で貴様を倒す」
腕についた血液を払い関野は言った。
クロエの眼下の海から水龍が何頭も螺旋を描き、クロエに殺到する。
クロエは光弾を発生させるとそれらを纏めて粉砕し霧に変える。
しかし関野はそれは織り込み済みだった。むしろ本命はこの次
「黒水!」
クロエが水龍の相手をしている間に手の中で生成していたどす黒い光すら通さない密度まで圧縮した水球をクロエに投擲する。
最大級の威力を誇る水圧の爆弾。
クロエは鋭い眼光を向けると一層強力な光弾を生成し、水球に照射する。
水球が爆発し、一帯を水蒸気が覆う。
「黒渦!」
海から巨大な渦潮が空まで巻き上がりクロエを捕捉せんとす。
クロエはこれの撃破は困難と見て、更なる上空にエスケープする。
関野は次なる一撃を用意していた。
遥か上空に滞空するクロエを照準し、高圧水流の照射で勝負を決める。
関野が最大の攻撃を放とうとした時、
関野の腹部から槍のような物が生えていた。
それは正確には槍ではなく、傘であった。
「・・・貴、様」
関野は振り向こうとする。
しかし背後から腹部に突き立てられた傘が勢いよく抜かれ、夥しい出血の華が咲く。
関野は意識を失い、海に落下する。
上空から光弾が関野を背後から急襲した襲撃者に降り注ぐ
しかし襲撃者は水の壁を作り出すと光弾を涼しい表情で霧散させた。
「せっかくの戦いを邪魔してくれて何者なのよあなたは?」
クロエは問う。
「泡沫調と申しますわ。あなた「選ばれし者」という組織に聞き覚えはあって?」
襲撃者は答えた。
海上の戦いは更なる波乱を残し幕を閉じた。




