能力研究所(良壱ver)4
おかげさまでPVが4000を越え、ユニークも1500名様を越えました。大変ありがとうございます。PV5000を超えた段階で、特別ストーリーを挟もうと準備しておりますので、これからも宜しくお願いします。
体育教師や大柄の生徒の拘束をもろともせずまるで建設用作業車のような力強さで動く楓。小柄の女子中学生からは考えられないパワーで男達は吹っ飛ばされる。それぞれが壁に激突することで悶絶スする。生徒会室は無残な物で焦げた匂いと血の臭いで充満していた。
「楓」
「死ね。死ね! ……良壱?」
突然現れた良壱にようやく気がついた楓。彼女は炎と取り押さえられた事が重なって全身ボロボロだった。眼は血走っており右手の拳は、皮と肉が削れ骨が見えていた。彼女の左手が掴む襟首の持ち主は、顔が判別できないほど潰れていた。かろうじて動いている所を見るとまだ生きているようだ。
だが、それが許せないと言うように腕を大きく振り上げて楓が拳を振りおろう。だがそれを良壱が手首を掴む事で止める。
「止めるな! こいつは許せない」
「いいや、止める。やりすぎだ、これ以上は本当に死ぬ」
「お前は私が止めても、報復はやめないじゃなか? 私の事にばかり手を出して、自分はおざなりにする……だから私がおまえの代わりに報復するんだ。今回だけじゃない、お前が誰かに傷つけられるたびにこうしてやる。何度でも誰でも、お前を傷つけられないように、だから離せ」
さらに腕に力を込める楓。もはや人間には止められない膂力で良壱を振り払おうとするも良壱は微動だにしない。
「俺は、こいつにやられたのは知ってた。黙ってたのは、こんな野郎でもお前を大切にしたいのは、本当だと思ったからだ。こいつは俺に直接言ってきた。仮にも彼女の周りに男の影があったら誰だって」
「関係ない。私の傍にお前が居る事を知ってこいつは、近づいたんだ。なのに、私の知らない所で……私の心を心を弄んでた。私はずっと事の頂本人に相談してたんだ」
「だが、殺す必要はない。やめろ」
「いやだ」
ミシミシと2人の体が怪力同士で拮抗する。二人は、能力を隠していた。世間には、身体能力を少し向上させるという説明をしていた。それは間違いではないが、強化を重ね掛けできる事実を秘匿していた。それは大きすぎる力を持てば二人は確実に危険に晒され、楓は自分の家に利用される事を恐れたからだ。そんな二人だが今は秘匿する事を忘れて強化勝負を始めた。互いに頑固だが、楓は正気を失っている。
「先に謝っておくぞ」
「ぐや」
言うことを聞かないと断定した良壱は、楓の額に強化を施し人間の頭なら吹き飛ぶ威力で凸ピンをお見舞いした。不意を突かれた楓は、脳を揺らされたせいで大きく仰け反り意識が暗闇に沈む。
その後、警察ではなく当時のSKS学園生徒会メンバーが警察や学校の要請で派遣され、大ケガをした柏子見は、治療系能力者のいる病院に運ばれ、良壱と楓は本来の能力を公にしたため、現生徒会長元生徒会庶務だった金髪マンホールの計らいでSKS学園に編入となった。というよりも彼らを受け入れられる場所は、そこしかなかったのだ。良壱は、両親の理解もあり弟も通っていたため素直に通ったが、楓は、実家の一族内での揉め事から逃げるように学園へと通った。
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それの事件の元凶が目の前の男。あの時の顔は修復され、この研究所で新たな力を手に入れた柏子見 遉である。現在、炎で周囲を覆い良壱の逃げ場を無くし、両手に炎の剣を持って構える。
「あの時は、殺せなかったが、今こうして殺せる」
「悪いが、俺はお前のせいで自分を守るために戦わなきゃいけない事になってる。無抵抗って訳にはいかない」
良壱がそう言うと、柏子見は本の剣を伸ばして彼に振るう。思いのほか思い切の良い攻撃。それを前に進みながら回避、勢いをつけて顔面にストレートを叩きこむ。
「ふふ、それでおしまいか?」
「っし」
何故か拳を受けた柏子見は吹っ飛ぶ事も無く平然としており、良壱はさらに左アッパーと右肘打ちを御見舞した。常人なら死んでもおかしくない程強化した打撃。しかし、それでも柏子見は平然としている。攻撃は奴の肌に触れているのにも拘らず、彼はその場から微動だにしない。そして炎の剣をお返しとばかりに振りはらう。良壱はしゃがんで回避し、距離をとるついでに柏子見の腹部を渾身の力で蹴る。だが、蹴ったはずなのに良壱の脚は、柏子見から離れない。
「おまえ」
「お前の攻撃は俺にはきかない!」
突然炎が全身から噴き出し、良壱の体を後方に吹っ飛ばす。片手で地面を使いながら勢いを殺し、もう片方の手で石を投げる。
「無駄だ」
大砲のような威力の投石は、柏子見の体に命中するも奴の肌に当った瞬間に勢いを失って地面に落ちる。その様子と先程自分が蹴ったのに離れられないことで良壱は相手の能力を推察した。
「お前の能力、衝撃吸収か?」
「へぇ、察しがいいな。その通りだ、俺に攻撃は一切通用しないんだ。特にお前みたいに肉弾戦しかできない奴にとっては、俺は天敵だろうな」
自慢げに言いながら、縦横無尽に両手の炎の剣を振るう。そのたびに良壱は高速で駆けながらカウンターを入れるもダメージにならない。だが、床を転がった際に拾った鋭い木の破片を柏子見に投げる。
「おっと」
すると柏子見はその破片を炎の盾を呼び出すことで防ぐ。それをみた良壱は悪い笑みを浮かべて柏子見に告げた。
「打撃は防げても、防げないものもあるみたいだな」
「なんだと?」
「こういうのが防げないんだよな」
良壱は、指で非常小さい石を弾く。それは油断している柏子見の頬に当ると赤い血の筋を描いた。「な」突然の痛みに柏子見は頬を押さえて驚く。
「お前、表面積の小さい攻撃。つまりは斬撃や刺突はにがってぽいな」
「それが分かったからどうだっていうんだ?」
弱点は良壱の想像通りで、柏子見は少しだけうろたえるが対策を講じて全身を炎の鎧で包み込む。炎に質量を持たせる事が出来る柏子見は、鉄より硬質な全身鎧を纏う。
「これで俺に弱点は無くなったぞ。おい、なにをしている」
「あ、ああ」
炎鎧を身に纏い、片手に炎剣と片手に炎盾を装備した万全の態勢を整えた時、良壱は彼の目の前で自らの手の爪を剥がしていた。
「何をしているんだ」
「あぁ急に猟奇的な場面見せて悪いな。爪を剥いでたんだよ」
良壱は、全ての爪が剥がれた指から血を滴らせるも平気な表情で両手を静かに下ろす。すると彼の剥がれた爪が再生を始める。けれど、通常の長さを越えて伸び続ける爪。長さは4センチ程に鋭く伸びた爪。良壱がそれを壁に振るうと壁に獣に切り裂かれたような跡が残る。
「それは」
「俺はな、普段打撃を使ってるのは人を殺さないためだ。あれでも一応手加減はしてるんだよ。けど、お前みたいな奴がいると、こうやって爪や歯の自己再生を強化して殺傷能力を向上させることにしてんだ」
「だが、そんな爪如きでこの炎の鎧に」
「俺の爪は、ダイヤモンドですらバターみたいに斬り裂ける」
爪が完全に生えそろい、強化で強度を向上。獣のような鋭い爪を携えたまま駆けだした。炎の剣でそれを迎え撃つ柏子見だが、炎の剣は良壱の爪によって5つに切り裂かれる。武器を失った事で両手で盾を構えるが、振るわれた爪によって盾ごと鎧も切り裂かれる。良壱が殺傷能力を強化した斬撃は、柏子見の防御全てを貫通、彼の肌を無残にも切り裂いた。斬られた傷から血が噴き出し、彼は仰向けに倒れ込んだ。
「がは。ばかな、俺がこうも簡単に」
「久しぶりに爪で攻撃した気がするな。……悪いがお前に関わってる暇はないんだ。あぁ後、俺らの前に出てきたら、次こそは首を刎ねてやるよ」
ダメージで動けない柏子見を部屋の外に蹴り飛ばし、そう言い残して良壱は、鋭い爪を今度は何もない床目掛けて振るった。爆撃のような威力の斬撃は、容易くアスファルトや金属の床を破壊。すぐに下の階が見えるも足が地面に着く前に爪を振るう。その行為を繰り返しそのまま落下を続けて瓦礫と共に良壱は出発地点の一階に辿り着く。
着地と同時に自分の上に振ってきた瓦礫を爪で粉砕する。ようやくスタート地点に戻ったと思い、周囲を見れば呆然とした表情で雪が立っていた。何故か怪我をしている雪。首を傾げながら雪を見ると、彼女はわなわなと口を震わせていた。
彼女の目線を辿って下を見れば、ロボットの残骸が建物の残骸に押しつぶされていた。「これ、どう言う状況だ?」と尋ねれば、襲われて助けられて、再び研究所に戻ったものの警備用ドローンに邪魔をされていた所、良壱が床をぶち破ったのだと答えられる。
その後、会話もなく2人は建物の奥に向かう。途中で良壱が両手の鋭い爪を再び剥がし、それを見て雪が悲鳴を上げる。
「な、なにしてるんですか! 痛くなんですか?」
「いや、泣きたいくらい痛いけど、拳が握れないんだよ」
その感想にこの人普通の人とは感性が違うんじゃないかと疑いながらも、同行する雪。まぁ無理に振り切って進む事もないし、いざとなれば雪を囮にして楓を救出するかと考えてる良壱が研究所の深部に進んだ。
キャラ紹介
名前:柏子見かしこみ 遉さすが
性別:男
年齢:18
所属:能力研究所
能力:衝撃吸収+炎武
能力内容:衝撃吸収は、自分の肌に触れた衝撃を吸収する能力。大抵の物理攻撃は完全に無力化する事が出来る。ただし、弱点として表面積の小さい斬撃や刺突などは吸収できない。
炎武は、自身の体から炎を放出する。さらに放出した炎に質量を加える事で武器や鎧を形成する事が可能。
容姿:身長170見た目は頭のよさそうな顔をした眼鏡男子。だが目つきが悪い。
性格:自尊心が高く、陰湿。けれど外面はいい。
武装:炎の剣と鎧




