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Efectors-エフェクターズ  作者: STTT
多重能力者編
50/87

能力研究所(その他ver)2


―黒城と美遊の交戦時、別の造船所にて―


「目標。座標固定OK。美遊。いつでも撃てるわ」

 クロエは太陽光を凝縮し、自身の両側で光の球にしながら呟いた。

「おっとソレは撃たせねぇぜ?」


 漆黒のマントを閃かせ、楠が格好つけて登場していた。


「・・・予定変更。邪魔が入ったわ。目標は自分で排除して頂戴。私はこっちのお邪魔虫を排除する」


 クロエは光の球を霧散させ、嘆息しながら楠に向き直って言った。


「・・・私の射撃を邪魔したというのならそれ相応の覚悟があると取っても良くて?」

「覚悟?そんなもの俺には必要ないな。なぜなら俺が為すと決定した事項。既に為されたも同然だからなァ!?」

「・・・言ってる事意味不明。だけど私にケンカを売っているという事だけは何となく理解できたわ」


 クロエは身につけていた漆黒のローブの大部分を翼に変換し、飛翔して言った。


「なるほど。面妖な能力・・・」

「面妖なだけでは済まされなくてよ?」


 飛翔したクロエの周囲に光弾が育成される。

 それは楠に殺到する。


「・・・ッ!?」

 しかしのけぞったのはクロエの方だった。

 楠は自身の前方に砂鉄によって、光沢のある金属の盾を精製しこれを反射していた。


「小癪な・・・」

 クロエは展開した翼を躰の前で交差して盾にし、反射された光弾を受け止めていた。光の残滓を翼で振り払い呻く。右の頬が光弾の余波を受け、微かに煙を上げている。

「どうした?俺はただ光を反射しただけだぞ?」

 楠は涼しげに言う。

「焼滅による死ではなく、黒翼による蹂躙を所望のようね」


 クロエは翼をはためかせて言った。次の瞬間クロエは楠に向けて飛翔した。衝突の刹那、クロエは翼の幾分かを使用し、漆黒の直剣を精製し、楠に斬りかかる。

 しかし、楠が足元から発生させた砂鉄の渦に阻まれる。クロエは片方の翼で渦の直撃を防ぐと片手を楠に向ける。

 向けた片手から鋭い漆黒の槍が形成される。楠はこれを躱すが左上腕に槍が掠める。砂鉄の渦の出力が弱まったのを見てとり、クロエは剣で砂鉄を霧散させると楠に大上段で斬りかかる。

 楠はクロエの漆黒の剣を両手から砂鉄の剣を発生させて受け止める。

 クロエは一旦引いて着地すると翼を小型化させ、右手に直剣、左手に漆黒の円盾を形成すると楠に斬りかかる。


 クロエの右の剣を楠は左の剣で受けると右の剣でクロエを刺突する。クロエは左の盾に身を隠し、これを防ぐ。そのまま盾で楠の顔を殴打する。

 楠はたたらを踏み後退する。その隙に右の剣で斬りかかるが楠の両の剣に剣を捕捉される。

 楠はクロエの空いた腹部に蹴りを入れる。

 クロエは弾き飛ばされるが地面に転がる事なく剣と盾を翼に変換し直し、空へエスケープする。


「チィッちょこまかと」


 楠は円盾で殴られた際にできた口内の血だまりを地面に唾棄すると忌々しげに呻いた。


「こうなりゃいけ好かねぇ紫電の野郎用に編み出した我が宝具を出すか」

 楠はそう言い、マントの陰に装備されていた2本の直剣を抜いた。

「ごめんなさいさっきの砂鉄の剣と違いが分からないわ」

「理解できねぇか?ならば刮目するがいい。その時が貴様の最期だ」


 楠はそう言い剣の片方をクロエに投擲する。

 剣は回転しながら直線の軌道でクロエに迫る。


「ヤケでも起こしたのかしら?」


 クロエはつまらなそうに首の動きだけで躱す。


「フッ・・・」

 楠がニヤリと口の端を歪める。クロエは背後から迫る風圧と嫌な感じを覚え、身を翻す。先程までクロエが居た場所を楠が投擲した剣が通過する。


「我が一撃。初見で避けるとは流石だな」

 楠は手元に返ってきた剣をキャッチしながら言った。


「何なのよその剣」

「良い質問だ。この剣の名は磁双剣。我が能力から生み出した砂鉄より鍛えし宝具よ。片方の剣がS極。もう片方がN極であり、対の剣は引かれあい、片方の剣を保持している限り、もう片方を自在に操る事ができる。」


 楠は双剣を構え言った。

「俺は貴様の質問に答えた。今度は貴様が俺の質問に答えてもらう。一つ問う。貴様光線の能力と衣服の形態を変化させる能力の他に隠している能力があるな?俺の鼻は誤魔化せんぞ?」

「あぁ。半分正解。まず不正解の部分から説明するけど、私は2つの能力までしか有していない。正解の部分としては、私が有している戦闘力はその2つだけじゃなくもう1つある。それは能力じゃなく・・・」


 クロエは上空に滞空したまま言う。


「・・・遺伝よ」

 クロエの姿が変質する。両手両足は黒く変質し鋭い爪が伸びる。口元からは白い牙を覗かせ、腰部中央から長い尻尾が伸び、漆黒の長髪の頭頂部からは太い2本の角が生える。その姿はまるで・・・。

「吸血鬼・・・」

 クロエは囁くように呟いた。

「吸血鬼・・・だと?」

 楠の表情がピクリとこわばる。

「ええ・・・。まぁ私は吸血鬼と人間のハーフっていう極めて稀なケースなんだけどね」

「だから強い日差しの下は苦手なの。おしゃべりが過ぎたわ。さっさと終わらせるわ」

 クロエは楠向けて再び急降下攻撃を仕掛けるべく構える。

 しかし・・・。

「吸血鬼だって!?やべぇモノホンは初めて見たぜ!ヒャッハーこれ夢じゃねぇよな?夢じゃねぇよなコレェ!?」

「は・・・?」

 我を忘れて興奮する楠。

「マジかっけぇ!名前と連絡先教えてよキミ?」

「・・・私の正体に驚きこそすれ、そういうリアクションを取られるとは想定外だったわ・・・」

 クロエは嘆息する。

「俺、楠尚志って言うんだ。ねぇキミなんていうの?」

 楠は相変わらず興奮している。

「分かったわ教えてあげましょう。その代わり条件があるわ」

「なになに?キミの言う事だったら何だって聞くお!?」

 もはやキャラがブレている楠。

「造船所側にいる私達にとっての敵勢力。今美遊が交戦している黒城?とか言ったか。すなわちあなたの仲間を屠る手伝いをしなさい」

「へっへっ。黒城を裏切ってそっちにつけばいいってか!?お安いご用だぜ!」

 楠は嬉々として言う。

「話は決まったようね。じゃあ早速あなたには・・・」

―シュッ

 クロエの頬を何かが高速で飛来し、頬を浅く切り裂く。

「・・・そこまでブレてねぇよ。馬鹿かお前?このコウモリ女」

 双剣の片割れを楠が投擲していた。

「クッ・・・」

 背後から再度奇襲してきた双剣の片割れを弾くクロエ。

「俺が同胞を・・・ダチを売る訳ねぇだろぉが。組織から切り捨てられようが。俺は俺だ。俺は信念は曲げねぇ。どこまで堕ち、ボロクズになって腐ろうとそれだけは守る」

 楠はクロエに弾かれてなお手元に戻った剣をキャッチし構え言った。その姿に先程までの気配はまるでなく、静かな闘志と充実した気合が満ちていた。

 その様子を上空に滞空し一瞥するクロエ。

「・・・残念ながら、活動限界が来てしまったようね。ここは引いてあげる。楠と言ったか。私を謀った事後悔させてあげる」

 クロエは身を翻し言う。

「待てよ。逃げるのかテメェ?」

「首を洗って待ってなさい。私の名はクロエ=カーティス。私の目的は・・・一族の悲願はなんとしても達成する」

 クロエは高度を上げ、離脱していった。


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