能力研究所(黒城ver)
自由行動権を与えられた黒城は、いつものメンバーを連れてある場所に向かっていた。音の特性を持つ彼ならではの捜索方法。会長から離れた彼はエコローケーションによって音の反射による捜敵を行い、予め待ちかまえるようにマン・ホール島の海付近にいる人物を見つけ、その場に向かったのだった。
「見つけたぜ新井」
「あら。案外早かったな黒城?」
黒城はマン・ホール島のとある造船所で美遊に邂逅していた。
「アンタ一人か?」
「知った事か」
黒城は美遊との決戦にあたり一つの指示をメンバーに出していた。
すなわち伏兵に注意すべし。
黒城は雪の話にあった突如別方向から射撃してきた光の能力者を警戒していた。
すみれ、こころ、楠の3人は黒城の指示に従い、黒城と美遊の戦闘域となるであろう場所を取り囲む範囲を索敵していた。
「新井、てめぇの位置情報を変えない動き、おそらく本拠地をsks高側(俺ら)に発覚する事を防ぐ為とこの沿岸地帯で俺らを迎撃する為だろォがそうはいかねェ。ここでテメェには本拠地すなわち早阪の居場所洗いざらい吐いてもらうぜェ!?」
「ハッやれるもんならやってみぃ!?」
美遊の姿が一瞬にして掻き消えた。
次の瞬間、美遊は黒城の真横に現れていた。
―ガギィン
美遊の蹴りを黒城はエレキギターで受け止めていた。
しかし、黒城は蹴りの威力を相殺しきれず造船所の壁に激突していた。
「・・・なんやねん肩透かしやわ。ウチが自由に動けとったらこんなもんやったんかアンタ?」
「気が早ェよ女。まだ前奏が始まってねェだろォが?」
「ゴメンなもう終曲なんや」
再び黒城の真横に現れる美遊。
「不可壊な防音壁!」
美遊の蹴りを発生させた空気の壁で防ぐ黒城・
「もうそんな隠し玉を出しちゃうんかいアンタも面白ないな」
「・・・早坂はこれを初見で突破したぜ?」
「だったらなんやねん!?」
美遊は足元のコンクリートを蹴り上げる。コンクリートの地面が抉れ、岩石の礫となって黒城に殺到する。
先程発生させた空気の壁でこれを防ぐ黒城。
「甘いわ」
黒城の背後に姿を現した美遊。
「読んでたぜ」
しかしその蹴りは躱される。
「俺の防壁が一方向にしか発動できねェ。その読みは正しいなァ。だがそれまでがテメェら身体強化型の末路だ。結局テメェらは裏を掻かれるんだよ。俺達遠隔能力型のココになァ!?」
黒城は一定の距離を取り自らの頭を指差して言う。
「その身体強化型に前回アンタは負けたんやないんかい。それとウチを只の身体強化型と侮っとんならその考え訂正させてもらうわ。ウチは新井美遊や!」
美遊は足元のコンクリートの地面を踏みつける。美遊の足元から発生したコンクリートの亀裂が黒城の足元までに到達する。
次の瞬間。造船所全域の地面が爆発した。
黒城は海に投げ出されていた。
「どや? ウチはこの展開も見越してアンタをこの海のステージに招待したんや」
深みから美遊は届くことの無い言葉を発していた。
「音は水中では減衰する。さぁアンタの人生にここで終止符を打ってやるけぇ」
美遊は水中にいる黒城めがけてまるで人魚にように接近する。
「理解ってねェなァ?「音」は水中では遠くまで響くんだよ」
黒城は不敵に嗤い、指を鳴らした。
「水瀑!」
それは沿岸部の海中の水分を一度に蒸発させるかのような威力だった。
「黒城さん!大丈夫ですか!?」
砂浜に打ち上げられた黒城をこころとすみれが救出していた。
「問題ねェ。それより奴さん逃がしたわ。流石と言うべき危機管理能力だわ」
黒城は水を吐きながら言う。
「・・・楠はどうした?」
「それが、連絡が取れなくて・・・」
こころは言い淀む。
その頃、別の場所では戦闘は既に始まっていた。
今回は前回の章に登場した黒城一味の活躍です。




