能力研究所(その他ver)
病院のベッドで雪は目覚めた。身体はあちこち火傷に覆われ、右目は眼帯でふさがっている。
「・・・ッ!!」
これまでの事を一気に思い出し、動こうとするが身体が激痛に襲われベッドから動く事ができない。
病室は静けさに満ちていた。それも当然である。唯一の幼馴染である美遊によって美遊以外に初めてできた親友かそれ以上と呼べる早坂は大いに傷つき、拉致されてしまったのだから見舞いに来る人間などいない。
―筈だった。
「まだ動かない方がいいですわよ」
ベッドサイドにツインテールを揺らし、生徒会長が雪を見下ろしていた。
「何があったのか説明してもらえますか?」
雪は全てを話していた。それほど広くもない個室の病室に大勢の能力者が集まっていた。その間に治療系の能力者である救護班の教諭が能力で少しずつ雪の傷を癒していた。
今回集まったメンツ。
生徒会長
書記 虹草子
雑務 板石鋼太郎
雑用 毒島拳太郎
生徒会メンバー以上4名
黒城秀俊
黒城すみれ
真炎こころ
楠尚史
「元」黒城グループメンバー以上4名
そして、「1年後の生徒会を担うべき候補生のみなさんですわ」生徒会長がにこやかに紹介する。
「なんで私がこんな記念すべきバカの集まりに参加しなきゃならねぇんだヴォケが?」
「そう言ってくれるなよ真殿?この話を聞いたときはレベリングのチャンスだと言って舞い上がってたのではないかね?」
「俺の出番ですか。改良型の強化外骨格の出番だ」
天野真
小柴龍馬
夜刀祓剣
新生徒会候補生以上3名
普段ならお目にかかれないほどの学校内でも上位の能力者たちが並んでいる
が、ここに普段ならいるであろう二人がいないのは悲しいことだった。そして唯一の男子である龍馬は、学園でも最下クラスの能力者であるが、気合は十分だった。
「この12名で一般生徒、早坂一哉、小柴楓の救出ならびに同じく一般生徒、小柴良壱の護衛ミッションを遂行したいと思いますわ」
「ふざけんな!そんなミッション、アタイらのメリットがねぇじゃねぇか!?」
一番に声を荒げるこころ。
「・・・早坂には借りを返さねぇといけねぇからなァ。こんなところでくたばってもらっちゃ困るぜ、それにまぁ小柴楓とか言うやつもついでに助けてやる。」
黒城が呟いた。
「みんな!そういうことだ!張り切ってこうぜ異論のある奴はアタイがぶっとばす!」
一瞬で旗色を翻すこころ。
「クックック。我が宿命の古傷が疼きおるわ」
何事が呟いている楠。
「「お兄ちゃんが行くところなら私もついてかないと・・・。すぐ物をぶっ潰すから」
携帯端末で喋るすみれ。
「現役生徒会の皆さんの異論はないですね?」
現役生徒会のメンバーの表情は皆引き締まっている。会計新井美遊の離反と副会長小柴楓の拉致を受け、組織が内部分裂する事なくむしろ結束を強めたと言ってよい。
「新生徒会候補生の皆さんの異論は?」
「さっきまであらかたぶちまけてたっつうの。さっさと作戦内容を提示しろや金髪ドリル」
敵意を丸出しにしながら睨む毒島を手で制止しながら生徒会長が言った。
「よろしいでしょう。ではチームを二手に分けましょう。早坂一哉、小柴楓救出ミッションには黒城さんと妹さん、真炎さん、楠さん、夜刀祓さん、そして天野さんの計6名、小柴良一護衛ミッションには現役生徒会メンバーの、虹さん、板石さん、毒島さんの3名に候補生の小柴(龍馬)さんを加えた計4名で当たっていただきます」
「おいおい。攻撃側に7人で防御側に5人じゃバランス悪くねぇか?しかも金髪ドリルお前はこの作戦には入ってないのかよ?」
真が問う。
「私は能力を用い、島中のマンホールで通信することで皆さんの後方支援をする役割がありますわ。新井さんが敵に寝返っていなければ・・・考えても詮無き事ですわ」
「あと、人数の問題に関しては折衷案が見つかりませんでしたの。生徒会メンバーは連携に慣れているので人員を割く事で戦力を落としたくないですし、他のメンバーは我の強い方ばかりで・・・」
「・・・悪ィが俺は小柴だかなんだかの護衛ミッションに回されるんなら降りるぜ?ダリィ」
「「私もお兄ちゃんが降りるなら帰る」」
「右に同じ」
「クックック。早坂ぁ・・・まさか我から救いの手が差し伸べられようとは夢にも思うまい」
「・・・待ってるのもいいけど、今日の私は斬り込みに行きたい気分です」
「うぅぅ剣ちゃんが行くんならボクもいくよぉ・・・」
「護衛なんてかったるくてやってられるわけないだろーが、ガチ殴り込んでレベル上げるに決まってんだろjk」
「とまぁ早坂救出ミッション側のメンツが我の強い方ばかりで、唯一護衛ミッション側に残っていいと言ってくれた良心は小柴(龍馬)さんくらいで・・・」
生徒会長が肩を落とす。この人選でかなり気を使ったようだった。
「指定時間までに各自準備を整え、作戦行動を開始して頂きます。それでは一同解散!」
今回の敵能力者集団とsks高校生徒会+αの全面戦争の火蓋が切って落とされようとしていた。
なんて纏まりがない連中なんだ、まるで我々作者陣のようだ……。




