能力者狩り(早坂ver) 4
―sks高校体育館―
黒城秀俊は体育館のステージの上で座り、エレキギターのチューニングをしていた。
「・・・この心音。来たな早坂ァ?それともう一つは・・・あぁあの時一緒に居た女か」
「あぁ来てやったぜ黒城。散々舐めた真似してくれやがって。派手にぶっ飛ばしてやらねぇと気が収まらねぇぜ」
体育館の入口から黒城の姿を視認し言う早坂。後ろに控えめに立つ雪。
「まぁそうカッカすんなよ。舎弟を可愛がられてトサカにキテるのはこっちなんだ。派手に血祭りにあげてやるよ」
黒城はそう言い、パチンと指を鳴らして言う
「音響手榴弾」
早坂達の背後の体育館入り口が爆発し、崩落し、瓦礫が埋まる。
「黒城ォッ!!」
早坂は絶叫し黒城に殴りかかった。30メートルあった距離を一瞬で0にし早坂の拳が黒城の顔面に迫る。
―ガキィン
早坂の拳をエレキギターで受ける黒城。そのままエレキギターを振り、早坂を振り払う。
「さぁ派手なステージを始めようぜ!」
黒城は獰猛な笑みを浮かべ言った。不意に早坂の別方向から冷気を纏った風が吹き抜けてくる。鎖鎌を携えた雪が黒城に接近していた。
雪の鎌と分銅の斬撃と打撃を黒城は担いでいたバックから取り出した太鼓のバチ2本で受け止めていた。
―ドカッ
雪の攻撃を受け止め、開いた雪の腹部に黒城の蹴りが入る。
「うっ・・・」
悶絶し後退する雪。
「てめぇっ!」
早坂は激昂し、黒城に再び殴りかかる。
しかし、拳はまたも取り出したエレキギターに阻まれ届かない。
「なんつーかお前。戦い方が直線的過ぎんだよ。そんなんで俺に攻撃が通ると思ってんのか?」
「あぁ”!?」
「それとなお前らちょっと近すぎんだよ。観客は観客席で俺の曲を聴いてろ」
黒城は指を鳴らす。
「音響地雷原」
黒城の周囲の床が爆発し、破片が飛ぶ。破片から雪をかばっていた早坂。煙が晴れると黒城は遠くに居た。
「死の息吹」
黒城はバッグからフルートを取り出し吹いた。黒城から早坂の方までの床が腐食していく。危険を感じた早坂は雪を担ぎその軌道上から退避する。
「避けんじゃねぇよ」
「避けるわっ!」
「・・・見た感じ、お前はそのバッグから色んな楽器を取り出して戦うって感じか?よく色んな物入るんだなソレ?」
「あぁこれか。これは特注品でな。ここらで紹介しておくか。出てきていいぞ。すみれ」
黒城の背負っていたバッグが光る。そしてバッグは身長140cmほどの少女の姿に変わる。
「俺の妹、すみれだ」
バッグから変身した少女、黒城すみれは無機質な瞳で早坂と雪を一瞥する。
「なるほど、おそらくその子はバッグに変態する能力でも持っていて、変態したバッグの中に大量に物をいれる事ができ、戦闘時にはそれを駆使するってことか」
早坂は黒城達の分析する。
「そうさ。俺とすみれのタッグを出す相手ってもそうそういないんだぜ?感謝して挽き肉になりなぁ!!」
黒城は叫び、すみれは先程のような光を発し、バッグへと変身した。黒城はすみれが変身したバッグからいくつも連結した太鼓を取り出す。
「轟け!雷音!」
黒城は叫び、太鼓をバチで打ち鳴らす。
―ドカッ
爆音と共に体育館の天井が大小の破片になって落下してくる。破片から雪を守る早坂。
「もう一丁だオラァ!」
更に黒城は太鼓を打つ。
上空に発生した黒雲から雷が発生し、避雷針など見向きもせずに早坂の方向に直撃する。
「ハッ黒焦げじゃねぇか」
黒城は哄笑する。
しかし、「なんだ今のぬるい静電気は?」早坂は雪をかばいつつも何のダメージも受けていなかった。
「なっ!?雷を受けて人間がなんともないわけが!?」
「確かに普通の人間ならお前の言う通り黒焦げになってたかもな。だが俺は体内の物を操れる能力者だ。身体を構成する物質を絶縁体のゴム状に変えさせてもらったぜ」
「くっ小癪な」
「今度は俺からいくぜぇ!」
早坂は黒城に突進。殴りかかる。しかし、
黒城は篠笛を取り出す。
「ついばめ、喰剃」
黒城は篠笛を吹いた。
黒城の周囲に4羽の光のエネルギー体で構成された鳥の形をした物が出現した。
鳥達は早坂の方に飛ぶと嘴で早坂の身体をつつく。早坂の身体が傷つき、出血する。
「ちぃっなんだコイツらぁ!?」
早坂は4羽のうち1羽を拳で叩き落としながら叫ぶ。
その時、黒城は背後から氷の殺気を感じた。
―ガギィン
雪の鎖鎌の鎌と黒城のエレキギターが交錯する。
「人が気持ちよくデュエットしてるところに邪魔すんじゃねぇよ」
「あなたこそ私の大切な・・・あわわ、ととと友達を傷つけないでくださいっ!」
雪は赤熱。その熱が鎌からエレキギターを通して黒城に伝わる。
「チィッ」
黒城はエレキギターを振り払い、バッグから太鼓のバチを2本取り出し、雪に殴りかかる。しかし、黒城の攻撃は雪には届かなかった。光の鳥を全て振り払った早坂からの蹴りを黒城はバチで受けたからだ。
「お前ら!あんま寄ってくんじゃねぇよ!音響地雷原!!」
黒城の周囲がまたも爆発。
吹き飛ばされる早坂と雪。
「くっ立てるか哀原?」
「はい。早坂君。黒城さんの弱点見つけました。ちょっと耳を貸してください」
晴れる煙。その中から姿を現す黒城。
「作戦タイムは終了か?あぁ!?」
―ドシン
早坂は床を殴った。殴った衝撃で床が激しく揺れ黒城は若干体制を崩す。
「今だ哀原っ!」
雪は鎖鎌の分銅の部分を黒城に投擲していた。分銅は黒城ではなく黒城の背負うバッグに命中。バッグはダメージを受けた事で強制的に変身が解除され、少女の姿を取り戻す。
早坂は更に力強く床を殴った。今度のは床に穴をあけ、亀裂が変身が解けた少女すみれに向かってはしる。すみれは早坂の作った亀裂に落ちていく。
「すみれっ!?」
黒城は妹に手を伸ばす。しかしその手は雪から発生された氷の槍に遮られる。
「早坂君!後はお願いします!」
雪はそう言って早坂が作りすみれが落ちていった巨大な亀裂に自らも飛び降りていった。
「ハッ俺とすみれを引き離して、弱体化を狙ったつもりか早坂ァ?」
残された黒城は雪の氷の槍に凍結された手をいとも簡単に開放すると嘲笑するように言った。
「あぁこれでタイマンだな黒城」
「言っておくが俺の能力ってのはすみれの能力に依存しきったチャチなもんじゃねぇ。それを今からお前に教えてやるよ」
黒城は落ちていたエレキギターを拾い、肩に担ぐと不敵に言った。
「第2ラウンドだな」
「来い」
天井に穴が空き、床には亀裂が入った体育館をステージにsks高校最後のタイマンが開始されようとしていた。




