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Efectors-エフェクターズ  作者: STTT
能力者狩り編
25/87

能力者狩り(その他ver) 3


「そんな・・・生徒会長がやられた・・・?」

 草子は唖然とし呟いた。

「これがこの学校の生徒会長か。呆気ないものだな」

 先程、生徒会長を倒した男がエレキギターをしまい呟いていた。

 それを聞き、頭に血がのぼる毒島に背負われた美遊。


「おいそこのクソガキィ?ウチのボスが呆気ないやて?」

 新たに現れた草子と毒島と美遊の3人に気づいた男。黒城。


「ん?俺は事実を言ったまでなんだが?」

「このガキ殺すっ!」

 毒島の背で激昂する美遊。

「落ち着いてください美遊さん!生徒会長を倒した相手に俺たちだけでかなうわけありません!ここは逃げましょう!」


 美遊を必死になだめようとする毒島。


「逃げる?ソイツは無理な注文だな。俺は今日、ここにいる能力者は全員ぶっ潰すって決めてんだよ」

 黒城は冷たい目で3人を一瞥すると言った。

音響手榴弾(ガスタネット)!」


 黒城は指を鳴らす。毒島達の周りの空間が爆発する。しかし、毒島が能力で出現させた腕で爆発の衝撃から3人を守っていた。


「毒島、アイツに接近しや。私がコレでアイツのど頭に1発ぶち込んでやる」


 美遊は毒島の胸元の拳銃を取り言った。


「くっ。南無三!」


 毒島は美遊を抱えたまま黒城に突進した。

音響地雷原(クラリネット)!」

 爆発する地面の衝撃を能力で出した腕で防ぐ毒島。

「そこや!」

 毒島の背から拳銃を構え、黒城の頭部に照準する美遊。

音響手榴弾(ガスタネット)!」

「ぐっ」

 黒城の発生させた爆発で狙いがそらされる。

「二人ともその男から離れて!」

 

背後から草子の声が聞こえて、毒島は距離を取る。その直後、黒城に雷が落ちる。

 草子の能力だ。草子の持っているノートには「sks高校 落雷が発生。また避雷針が老朽化により破損」と書かれている。

 黒城は雷に身を灼かれている・・・筈だった。


「全く。俺にこの能力を短時間で2回も発動させるなんてな」

 黒城は能力で作り出した「音楽室(サウンドルーム」で守られていた。


「二人ともここは下がって」

 草子はペンを両手に合計8本装備し言った。

「会長がやられて頭に来てるのは私も同じなのよ。ただの書記係だと思われてたんじゃ困るわ」

 草子は黒城に接近した。

音響地雷原(クラリネット)!」


 地面の爆発を軽やかなステップで回避する草子。

 5m程まで接近し、足元の爆発をジャンプしてかわしながらペンの一つを投げナイフの如く黒城に向かって投擲する。


「チィッ」


 顔を狙ったペンを首をひねって回避する黒城。その足元を草子が一陣の風となって吹き抜けた。黒城のズボンの一箇所が裂け、血が噴き出す。


「は。何だこの程度」


 黒城は笑って言うが、その瞬間、体を虚脱感が襲い、手足が痺れて動かなくなる。

「ペンの先に毒島の能力で麻痺毒を塗っておいたのよ」

 草子が言う。

「麻痺毒か・・・やられたなヒュー」

 黒城は感嘆したのか口笛を吹く。

「さて大人しくお縄になってもらおうかしら」

 草子は麻酔を取り出した。

 しかし、

音響手榴弾(ガスタネット)!」

 黒城は指を鳴らした。草子の持っていた注射器が爆ぜる。

「そんな・・・俺の麻痺毒を食らって指を鳴らせる程動けるのか!?」


 毒島は驚愕の声を上げる。

「悪いな。その麻痺毒ってのはさっき無力化させてもらったよ」

「なに!?」

「癒しの息吹(ヒーリング・ブレース。俺の口笛には解毒作用と若干の傷の回復効果があるんだよ」

「ここまで付き合ってもらったんだし、俺の芸をもう一つ見せちまうか」

 

黒城は言い、背中のバックからカスタネットを二つ取り出し両手にはめた。


「音響手榴弾による(ダイ・ガスタネット)!」

 先程までとは比べ物にならない爆発が連続して起こり、毒島、美遊、草子を巻き込んだ。


「くっ」

 爆風の中、意識のあった美遊は瓦礫から這い出す。

 その手を黒城の足が踏みつける。

「早坂一哉って奴が今、どこにいるか知らないか?」

「けっ。誰がアンタみたいな奴に情報くれてやるねん」

「そうか。残念だ・・・。ならあっちの方の女を起こして情報を聞き出すんだが?」

 黒城は屋上の壁まで吹き飛ばされ血だまりを作る草子を顎でしゃくってみせて言った。

「くっ。早坂は・・・」

「やめて美遊。私達生徒会は悪党にはもう何があっても組みしないのよ」

 意識が戻ったらしい草子が言った。

 美遊の近くの瓦礫の山が爆発し、中から毒島が出てくる。

「おい兄ちゃん。俺にはあんなクソみてえな爆発効かねぇんだよ」

 立ち上がり、黒城の方に歩き出す毒島。能力により脳内麻薬物質を分泌し、痛みを鈍くしている。しかし強気な言葉とは裏腹に毒島の体は至るところから激しく出血している。

「やめや毒島!そんな体で戦ったら死ぬで!?」


 毒島の体にはパイプが1本突き刺さりそこから特に大量に出血している。


「美遊さん。俺、美遊さんや生徒会には感謝してるんです。不登校になって「選ばれし者」に利用されてた俺を助けてもらって、登校できた俺に勉強を教えてくれて・・・」

「だからさぁ・・・。一緒に地獄に落ちようぜクソ野郎ォッ!」

 毒島は血の尾を引き、毒のオーラを発生させながら黒城に突進した。

「見事な闘志だ。だが悲しいかな実力が足りないよ」

 黒城は呟いた。

音響手榴弾(ガスタネット)!」

 黒城は指を鳴らし、接近する毒島にピンポイントで爆発を放った。口から煙を上げ、くずおれる毒島。

「!?」

 

その時屋上全体が揺れ、地面に亀裂が走る。

 黒城は免れたが、毒島、美遊、草子の3人は崩落に巻き込まれていった。


「生徒会に入ったばっかの毒島には悪いけど、これが生徒会の覚悟ってものよ」

 草子は崩落に巻き込まれ見えなくなる前にそう残した。手元のノートには「sks高校屋上 老朽化による崩落が発生」とあった。

「チィッ」

 黒城は崩落後の屋上で一人取り残された。


「黒き者よ探し人か?(訳:よぉ黒城。早坂一哉を探してるって?)」

 崩落していないドア付近から声がした。

「楠か・・・」

 

黒眼黒髪、なぜか眼帯をつけたマントの男。楠尚志。


「これがヒトの業か黒き者よ。しかして汝の探し人の居所、我は知り得たり(訳:また派手にやったもんだな黒城。ところで早坂の居場所なら俺知ってるぜ)」

「本当か楠?」

「かの者とは以前に刃を交えたり。その折、彼奴の体内に我が眷属を忍ばせたり。故に我のみぞ彼奴の居所を知り得たり(訳:早坂とは前に一度戦ったんだがその時に奴の体に微小な磁石を取り付けておいたのよ。俺なら奴の居場所が分かるって事だ)」

「しかして黒き者よ我より先に手を出す事は許さぬ(訳:だが黒城。抜けがけはナシだぜ?アイツは俺の獲物だ)」

「そうか楠。お前も奴と因縁があんのか。なら俺はお前の後に順番待ちさせてもらうか」

「感謝するぞ黒き者よ。どれ褒美をやろう(訳:ありがとよ黒城。そういうお前にプレゼントがある)」

 

楠は方位磁石を取り出し黒城に投げた。


「天地が返ろうと起こりえぬが我が鼓動止まりし時はその宝具が汝に知らせよう。その折は汝が奴を討て(訳:万に一つもありえねぇが俺が戦闘不能になったらその方位磁石が反応するようになってる。そしたらお前が代わりに奴をボコボコにしてやってくれ)」

「了承した楠。ヘマするんじゃねぇぞ?あとお前の言葉やっぱ分かりにくいな」

「この我に失敗の2文字はない(訳:俺がヘマするかっての。あとほっとけよ)」

 楠はマントを翻し去っていった。

 黒城は楠には先程のように言ったものの、早坂ともう一度闘う運命を感じていた。

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