能力者狩り(その他ver) 2
sks高等学校は混乱に陥っていた。突如殴り込んできたチンピラ風の男達。普通のチンピラならsks高生達ならば能力を使う事で容易く撃退できたであろう。
しかし・・・。
「何でだよっ!?何で能力が発動しない!?」
恐慌状態に陥った男子生徒の一人が喚く。
―グシャリ
怪音を立てて男子生徒の頭部がコンクリートの壁に叩きつけられる。
「グゥルオアァッ!」
男子生徒を一人屠った男が猛獣めいた唸り声をあげた。
男の胸には音楽機器がぶら下がっている。その音楽機器から能力者の能力の発動を妨害する無音の高周波が発生されている。
sks高生側は能力の発動ができない上、殴り込んできた男達は先刻の黒城の能力でバーサーカー状態と化している。
バーサーカー状態となった男達の腕力はコンクリートの壁を砕き、痛みすらあまり感じないようであった。
数の利こそsks高生側が有利であったが、校内はバーサーカーと化した男達が能力が使えず逃げ惑う生徒達を一方的にいたぶる地獄の様相とかしていた。
その様子を屋上から黒城秀俊が見ていた。
今回の目的は能力者を養成する機関。sks高等学校にダメージを与える事。そして・・・
「どこだ早坂ァ?」
一昨日、自分の舎弟を傷つけてくれたあの男。早坂一哉を探し出し、借りを返さなければ気が済まない。すでに早坂がsks高等学校の生徒だという情報は得ていた。
「うちの学校で随分舐めた真似してくれますわね?」
屋上のドアが開き、金髪ツインテールの生徒会長が姿を現した。
「この学校の生徒会長か?」
「如何にも。チンピラ集団のリーダーの黒城秀俊さんとお見受けしますわ」
「あぁ俺が黒城秀俊だ。生徒会長だかなんだか知らねえが能力者だっつうんなら容赦はしねえぜ」
両者は20mの距離をもち対峙した。
「能力を封じる能力ですか?悪いですけどそれは封じさせて頂きましたわ」
生徒会長は自らの耳に装着されたイヤホンを指さした。
「先程、襲いかかってきた殿方にお聞きしましたの。黒城さんの能力は聴覚を遮断する事で無効化できると」
「まぁその殿方は素手で少々痛い目を見て貰いまして情報を提供させて頂いたんですが、今はお休み頂いています」
「チッ俺の舎弟を可愛がってくれた奴がまた一人できたわけだ。あ~それと俺の能力がただ相手の能力を封じる能力だと思われてるんだったら心外だぜ」
―パチッ
「音響手榴弾」
黒城は指を鳴らした。生徒会長を取り巻く空間が爆発し、辺りは煙に包まれる。
「効きませんわ」
煙の中から姿を現した生徒会長は無傷だった。能力で何処からか飛来したマンホールの蓋で爆発の衝撃を防いだのだ。
「今度はこちらから行かせてもらいますわよ」
生徒会長は左手を振り複数のマンホールの蓋を黒城に向けて放った。
複数のマンホールの蓋が風切り音を立てて黒城に殺到する。
―ガッ
しかし複数のマンホールの蓋はどれも黒城に直撃する前に不可視の壁に阻まれたようにぶつかり、地面に落ちる。
「悪いが俺の音楽室はある程度応用がきいてな。効果範囲を俺の半径1mに限定する事で短時間、高音を立てて接近する物質を遮断する防壁として使用する事もできるんだよ」
「なるほど、お互いに遠隔系の能力者で互いにその能力から防衛する手段を持っているという事ですね」
「ならばこうさせて頂きます」
生徒会長はそう言ってコンクリートの地面を蹴った。飛来したマンホールの蓋が生徒会長の足場になる。マンホールの蓋を蹴り、またマンホールの蓋から発生された推進力と合わさり生徒会長は空に飛翔する。
上空から複数のマンホールの蓋を蹴りながらあろうことか自由自在に空を飛び回り、黒城を翻弄する動きで接近する。
「覇ッ!」
上空から放たれた生徒会長のかかと落としの一撃を躱す黒城。生徒会長は地面に激突せず、地面付近に回り込んだマンホールの蓋を蹴り再び空に跳躍する。
「次は外しませんよ」
生徒会長はそういい、今度は黒城の周りに2枚のマンホールの蓋を配置し、黒城を翻弄する動きで跳躍し右からの蹴りを放つ。
―ガッ
「チッ俺にコレを使わせるとはな」
黒城は背中からエレキギターを取り出しその背で生徒会長の蹴りを受け止めていた。
「クッ」
2度目の攻撃を防がれた生徒会長は再び空に離脱。
「悪いが、俺に対して上を取るのはミステイクなんだよ。ちょうど天気が悪くなってきたところだしな」
黒城は呟く。空はにわかに黒雲が立ち込めていた。黒城はエレキギターを空にかざし叫ぶ。
「雷音ッ(ライオン)!」
上空の黒雲から雷が発生し、上空にいた生徒会長とマンホールの蓋に通電し、校舎屋上に設置されていた避雷針に吸収される。
「ガッ」
雷の直撃を受けた生徒会長は校舎の下に墜落した。
「これがこの学校の生徒会長か。呆気ないものだな」
黒城はエレキギターをしまい呟いた。
「油断しましたわ」
校舎裏に墜落した生徒会長はつぶやいていた。
「さすがにあの高所から墜落してはなかなかキツイですわね」
生徒会長の背後の地面は大きなクレーターができ、学生服は焦げている。
「少々休ませて頂きますわ」
そう言い、生徒会長は眼を閉じた。
―生徒会室―
「草子。355°の方向に2mm微調整や!」
「あ、待てや。20°の方向から風速13mの突風が来てもうた。風速3m以下になるまで射撃を中止や」
スナイパーライフルを構える草子に車椅子に座った美遊が射撃のタイミングを指示していた。
「アカン。標的が校舎に入る。170°の方向に5mm調整して私の言うタイミングで撃つんや!」
「そこや行け草子!」
スナイパーライフルから弾が発射される。ライフルから排出された弾は風により軌道を変えられるが、標的に向かって飛び、校舎中庭に植えられた樹木の葉を貫いて標的の首筋に命中。
「ガッ」
睡眠弾を首筋に受けた標的。侵入者の男は昏倒した。
「美遊さん!ここはもう持ちませんっ!」
生徒会入口のドアを守っていた毒島が悲鳴をあげる。
入口は机や椅子でバリケードが敷かれ更に毒島の能力により出現させた何十本もの腕で守られていた。
しかし、ドアの向こうの侵入者達の腕力は今まさにそれすら打ち破ろうとしていた。
「しゃあない。毒島、草子。アンタらは逃げな。ここは私が一人でも多く道連れにしたるわ」
車椅子に座ったままの美遊はショットガンを取り出し言った。
「ダメですよ美遊さん。みんなで逃げましょう!」
毒島は窓を開けると美遊を抱え飛び降りる。
「あ、ちょっと!」
しかし、校舎壁に発生させた腕で毒島は自らと美遊を掴んでいた。
草子も校舎壁に発生した腕に捕まった時、バリケードは崩壊し、数人の男達がなだれ込んできた。
「グルルルル・・・」
しかし狩るべき獲物がいないことに気がついた男達は悔しげな咆哮をあげた。
毒島は能力で発生させた腕を校舎屋上まで伸ばし、戦闘から離脱した。
しかし彼らを待ち受けていたのは予想外の出来事だった・・・。
毒島達は屋上に着地した。
そこでは既に戦闘が行われていた。
上空でマンホールを操り、自由自在に相手を翻弄する生徒会長。上空からの攻撃をエレキギターの腹で躱すホスト風の格好をした黒い男。
勝敗はその後すぐについた。
男。黒城がエレキギターを上空にかざし、発生させた雷撃で生徒会長を討ったのだ。
墜落する生徒会長。
「そんな・・・生徒会長がやられた・・・?」
草子は唖然とし呟いた。
キャラ紹介
名前:黒城秀俊
性別:男
年齢:15
クラス:不登校
能力:音を操る能力
能力内容:音を操ることができる。複雑な能力の発動は楽器を用いる事で発動する。
容姿:身長170cmホストのような格好。
性格:落ち着いた口調で一見クールに見える。しかし内面は能力者に対する憎悪の念で溢れている。
武装:楽器
名前:黒城すみれ
性別:女
年齢:14
クラス:不登校
能力:超収納能力。及び収納具への変態
能力内容:持っているバッグに10立方メートルまでの体積の物量を収納することができる。また、自らがバッグに変態し、同様の能力を発揮することができる。なお、変態中に攻撃を受けると変態は解除される。
容姿:身長140cm 青いウェーブがかった髪に青い瞳。ウサギのような耳付きのフードを被り、下はミニスカート。表情が乏しい。
性格:争いごとを好まない。
武装:バッグの中にありとあらゆる武器が入っている。基本二丁拳銃、手榴弾など。、
追記:黒城秀俊の実の妹。発語に障害を持ちしゃべることができない。