能力犯罪(早坂&哀原ver)2
雪と早坂は階段を上り、上の階で戦っていると思われる良壱の元を目指していた。
先ほどの楠との戦闘により早坂は体のいたるところにダメージを負っていたが能力により今では傷が塞がり、雪の手前を走っていた。
広い空間にでた。戦闘の音が近づいてくる。自然と走るスピードも上がる。
「もう少しだ。哀原!」
その時、音もなく一条の細い光線が伸びてきて、早坂の足元に着弾し、ジュッと床を焦がす。
「初めまして、sks高等学校の生徒さん方。ウチの楠君がお世話になったみたいで」
見ると行く手には背の高い銀髪の男がいた。体型はスリムでタキシードを着こなしている。
「なんだテメェは?そこをどけよ今急いでるんだ」
早坂が凄む。
「そうは行きませんね。やんちゃ坊主とはいえウチの仲間を可愛がってくれたお礼はキチンとさせて頂きませんと」
男はにこやかに微笑んだ。しかしその紫の眼光は鋭く早坂を見据えている。
「私の名はレオンと申します。以後お見知りおきを」
レオンと名乗る男は丁寧にお辞儀をした。
「私、分身の身でありまして誠に恐縮ですがここで少しお相手をさせて頂きたく存じます」
次の瞬間レオンは左手を払った。するとレオンの周りからいくつかの光球が出現する。光球は光の槍に姿を変えると猛烈なスピードで雪と早坂に襲いかかる。
光の槍は壁や床に着弾すると着弾した箇所が溶解する。
「なんだコレ!?」
早坂は絶叫する。その隣に光の速度で移動してきたレオンが出現し、早坂の横腹に蹴りを入れる。早坂は壁まで吹き飛ばされ激突すると壁に人型の窪みを作りそこにめり込む。
「早坂君っ!?」
雪が絶叫する。
「さて・・・」
パンパンと手を叩き、レオンはゆったりした動きで雪の方を見る。
「お嬢さんも覚悟はいいですかな?」
レオンの口元が吊りあがった。
「オイオイ何シカトこいてんだ老け顔?お前の相手は俺なんだよ」
壁にめり込んでいた早坂が立ち上がっていた。
「頑丈な少年だ。そんなに痛い思いをしたいのですか?」
レオンは早坂を侮蔑したような目で見る。早坂は口から血の塊を吐き出すと、
「くだばれやキザ野郎!」レオンに突進した。
「やれやれ」
―ガギィン
早坂の繰り出した拳に対して、レオンは左手で光の盾を作り出しこれを防いでいた。
「!?」
早坂は大きくバックステップを取った。すると一瞬前まで早坂の胸部があった場所をレオンが右手で作り出した光の剣がブゥンと振動音を残して通過していた。
「くっ!?」
「ほう、その攻撃を避けるのですか?これは思ったよりも優秀ですね」
レオンはまるで教師が生徒にでも言うように言ってきた。そして早坂は確信した、この相手には明らかに勝てない。能力の錬度や相性、そして何よりもこいつと俺では「人を殺す」という覚悟に圧倒的な差がある。しかしそれでも時間を稼ぐことはできると。ならば早坂が次に何をすればいいかはわかりきったことだった。
「哀原ぁ!!これから5分間時間を稼ぐ、その間に逃げろ!!」
そう、せめて仲間を逃がすことだった。だが死ぬつもりは毛頭ない。ただの義務感からやっていることで命をかけられるほど馬鹿ではない。
「なっ!?何言ってるんですか!?そんなことできる分けないじゃないですか!?」
「うるせぇ、多少ならできる。だから逃げろ!!」
そう言った瞬間、早坂の体の周りに変化が起きた。周りのゴミが離れたり近づいたりまるで早坂の能力のように離れたり、集まったりとゆらゆらとしている。
全力の状態の早坂を見て、レオンはまさか自分相手に善戦できそうなレベルになったことに驚きながら言った。
「ほぉ、それがあなたの全力ですか?ならば私もそれに答えましょう!!」
そう言った瞬間、レオンの体は今まで使ってた光のようになった。
「私は体全体を光に置き換えることができます。さぁあなたは一体どんなことができるんですかねぇ!?」
言い終わると一緒にレオンは早坂の目の前まで来た。その光景に慌てた哀原は
「早坂君!避けて!!」と叫んだ。しかしその叫びは届かず
ーザシュ
早坂の腕を切り落とした。
「早坂君!?」
哀原は自分の無力さに嘆いたもっと力があれば...と一方腕を切り落とした張本人であるレオンは困惑した。
(なぜこんなにも反応がない?)
そうあまりにも無反応だったからだ。いくら何でも自分の四肢を切られたのに動揺のひとつも体からでない。その疑問への回答はすぐに痛みとともに返された。
「見つけた」
そう言った後早坂はなんと光に変わってるはずのレオンの腹を殴った。
「ガッ!?」
レオンの頭の中には疑問でいっぱいだった。
そうしている間に早坂は、自分の腕を切り口につけたと思えばジュウという音の後に腕がくっついた。
その様子を見て哀原は驚き、そして早坂の言葉に納得した。おそらく早坂君は能力を全力解放していて5分がリミットなのだと。そして哀原は自身が足手纏いにしかなっていない今の状況にひどい憤りを感じた。そんなことをしているとレオンが興奮しながら話していた。
「ハハハハハ、素晴らしい!!今の私に傷を負わせることができるとは、よろしいならば私も全力で行きましょう!!」
そう言い終えたレオンはさっきまでと同じスピードでしかし何回もフェイントを混ぜながら向かってきた。
そして今回は腕ではなく首を狙ってきた。レオンはどんなに再生できようと即死なら関係ないと考えてだろう。
「らぁ!!」
それを早坂は拳で迎撃した、拳は見事剣を打ち砕いた。しかしその拳は剣の攻撃で真ん中から裂けた。
その傷だともうその腕は一生使えないだろう。しかし早坂の腕は自分たちでくっついていき、すぐまた元どうりになった。そんな拮抗している様子であったが早坂は焦っていた。
「おい哀原、さっさと逃げろ!!」
そう逃がす為の時間稼ぎなのに哀原が逃げないからだ。
「嫌です!私はここにいます!!」
その時突然レオンが喋り出した。
「失礼、本体が移動をし始めたので私も失礼します。」
その言葉に早坂は唖然とした。自分が全力で戦っていた奴があくまで本体から偵察の目的で出された分身で、本体の力はこれ以上だということに。
「それでは、あぁそれと後ろの子、あなたは今のままでは脆すぎます。これからに期待していますよ?」
そう言い残すとレオンは光となって消え去った。
「くっ!?」
もう限界が近づいていた早坂はその場に倒れた。
「大丈夫ですか!?」
「あぁなんとかな、しかし本格的に動けん。レオンの本体...おそらく小柴と戦っていたんだろう。見に行きたいがさすがに我が身の方が今は大事だ」
「はぁ....わかりました。なら二人で救援隊を待ちましょう、あのレオンは明らかに今回のリーダーでしょう、リーダーが居ないのならもういないでしょう。」
「だな。あぁそれともう限界だ後は任せた。」
そう言い終わると早坂は能力を酷使した副作用だろう、そのまま意識を失った。
「早坂君!?まぁ大丈夫そうですね、全く無茶のしすぎです。でも....ありがとうございます私を守ってくれて。」
こうして2人はこの事件を五体満足で過ごせた
キャラ紹介
名前:レオン・F・マキシマス
性別:男
年齢:18
組織:『選ばれし者』
能力:光子力
能力内容:掌や目からレーザーを照射する。予め想定した部位を光の粒子に変換し、文字通り光速での移動が可能。さらにレーザーを剣状に変えて武器として扱う事やそのまま投降も可能。ある程度の攻撃なら身体を光に変換すれば回避でき、さらに自身の光映像を実体化する事も可能。ただし、身体を光に変えていられる時間は、10秒間が限界。
容姿:身長183 青みがかった銀髪紫目の白人男性。体系はスリムで、服装は、上下タキシード。
性格:紳士的で、礼儀正しい性格。戦闘に関しても騎士道で持って相手と向かい合うが、闘争自体は非常に好んでいて、無能力者や無能力者に味方する者には容赦しない。
武装:どんな武器でも光を使って作り出せる。