能力犯罪(早坂&哀原ver)
雪と早坂は押し寄せてくる警備ロボットと戦っていた。
ロボットの台数は6台。
狭い廊下を3台が1列にならび、マシンガンを掃射してくる。残りの3台は後方で待機している。
早坂は能力で体の部位の硬度を上げ雪を守っていた。
ロボットのマシンガンの弾がリロード状態になった瞬間を見計らって雪が飛び出しロボットの内の1台に接近し、掌をあてる。
「ハァッ」
雪の出した気合と共に、掌と接触していたロボットがオーバーヒートし焦げ臭いにおいをあげて動かなくなる。
リロードの終わった他の2台が雪を掃射しようとマシンガンを向けるがこれらは早坂が飛び出してパンチと蹴りで破壊してしまった。
後方で待機していた3台がマシンガンを掃射してきたが、再び早坂が雪を守り、マシンガンの弾が尽きた時、先ほどと同じように残りの3台も破壊された。
「おし、ここは片付いた。良壱のところまで急ぐぞ」
早坂は言い、雪も頷く。
雪と早坂は階段を上り、次の階に行った。
広いホールにでた。
雪と早坂が足を踏み入れると、
「クックック」
含み笑いが聞こえてきた。
男が立っていた。
黒いマントを羽織り、黒髪黒目、そして何故か片方に眼帯を着けている。口元には狂的な笑みが張り付いていた。
「誰なんですかあなたはっ!?」
「ククク。我が名は漆黒の翼。この世界では楠尚史と呼ばれているがな」
「てめーも【選ばれし者】っつうふざけた連中の仲間か!?」
「はっ。【選ばれし者】の仲間?あんな奴らとは利害が一致しているだけに過ぎん。我が真に契約せりは悪魔よ」
楠は嘲笑しながら答えた。
「関係ない人を大勢傷つけて何とも思わないんですか!?」
「フッ全ては大いなる計画の為の小さな犠牲に過ぎんよ」
雪は鎖鎌の分銅を楠に向かって投擲する。
分銅が楠に命中する。その刹那、分銅は何かに弾かれたようにその軌道を180度変え、雪に向かって跳ね返ってくる。
―ガツッ
早坂が分銅を受け止めていた。
「クククッ。我が闇の力の前では鉄分を含んだ物体によるあらゆる攻撃は無力。当然銃撃も効かん」
楠は余裕な態度で笑っている。
「哀原。お前はさがっていろ。コイツは俺が片付ける」
早坂は憤怒の形相で楠を睨みながら言った。
雪は早坂の形相に畏怖を覚えるとともに、この戦闘において自分は早坂の足手まといにしかならないと理解した。
早坂は悠然と立つ楠に突進した。
「フッ我が力の前に無策に飛び込んでくるとは愚かな・・・」
楠はマントの中に手を入れるとその中から何かを取りだし、宙にばら撒いた。
それは黒い砂状の物体で、空中で数本の槍の形状を取ると早坂に殺到する。
「闇の炎に抱かれて消えろっ!」
黒い砂状の物体の正体は砂鉄で、指方性を持ったそれは早坂を取り囲むとその体を切り裂こうとする。
「早坂さんっ!」
後ろに下がっていた雪が悲鳴をあげる。
―ザシュッ
砂鉄によってできた塊を突き破って早坂が飛び出てくる。
「ほう?我が攻撃を受けて無事でいられる人間を見たのは初めてだ。貴様。名を聞こう」
「早坂一哉だ!」
「なるほど貴様の名は早坂一哉というのか、では早坂よ貴様誇るがいい我が攻撃を耐えることができたのだからな。しかしそう何度もできるのか?」
楠は早坂を見下しながらそういってきた。その様は相手のことを完全になめていてスキだらけだった。
しかし、そんなことは激昂をした早坂には関係ない。
「おいお前楠とかいったな?てめぇ俺の前であんなことほざきやがって、お前覚悟しておけよ?」
そう早坂にはもう「楠をぶっ潰す」そのこと以外頭の中には存在していないからだ。
そのようすに楠は少しの恐怖を覚えた。しかし楠は、自分の能力は最強だ、という自分の能力への絶対の自信からその不安を無理やりねじ伏せた。
「フフフたいした自信だ、しかしどうやってこの我が能力を突破する?一度は受けられたが果たして二度目はどうかな?」
楠は先ほどと同じように砂鉄でできた槍で早坂を切り裂こうとした。
しかし
「ハッ!まったく同じ攻撃をもう一回しても無駄なんだよ!」
早坂は足に筋肉を集め、まるでハードルを飛ぶかのように、槍を飛び越し楠の眼帯をつけているほうに回り込んだ。
その方向は眼帯で目が見えない楠には当然死角となっていた。
「なっ!?貴様きたないぞ!!......というと思ったか?」
その言葉とともに楠のマントから突然先ほどと同じような槍が早坂に飛んできた。
「ちっ、やっぱ決まらないか」
早坂はその攻撃を少し掠ったが能力で直せるので実質無傷だろう。
「ふむ....存外にすばやいようだな。しかしこの我に近接戦で挑んでくると
は....、よかろう格の違いを見せてやる。」
そういうと楠の体に変化が起きた。
そのマントの中に隠してあったであろう砂鉄が出てきて体の回りにまるで鎧のようにまとわり付いた。
その様子をみた早坂は内心相手にやる気を出したことに舌打ちをしつつ相手の出方をみていた。
そのまるで自分を恐れているような態度に楠は満足したのかそのまま得意げになって話しかける。
「どうだ早坂よ、この我の姿を見てもまだ戦うというのか?今なら地に這いつくばって許しを請うのなら命は助けてやってもよいそ?」
その慢心をしている姿に早坂はまだ勝利があると思った。
「ふざけんな!てめぇに下げる頭なんてこちとらもってねぇんだよ。」
「ふっ、これを見てもまだ心を折らぬか、ならばよかろう後悔をしても知らんぞ?」
そうして二人は駆けていった。
早坂は楠の鎧を見て、鎧そのものを能力で動かしすばやい動きをする。
そのように思っていたが、それだけではなかった。
「はぁぁぁ!!!」
早坂は眼帯をつけてる左に回りこむような動きを見せその逆側に回り込んだ。
その動きに驚いた楠、しかし
ーザシュ
鎧の一部が突然槍に変わり刺しにきた。
「ガッ!?」
肩口を切り裂かれつつ後退をした。幸い傷はさほど深くなかったので能力ですぐに散らすことができた。
「ふはははは!どうだ我が自慢の鎧は?どうだ痛かろう?しかしもう許しをこいてもゆるさんぞ、自ら生きる道を断った貴様はあの世で悔いるがよい!」
早坂は考えていた、どうしたらあいつを倒すことができるかを、あいつの能力を見て必要以上にいたぶることはできる余裕がないそう判断し、油断をなくし考えていた。
じつは破る方法はある、しかしその方法だと下手をすると死ぬ。
さてどうするか....そう早坂が考えていたとき
「早坂君!!がんばって!!」
そんな哀原の声が聞こえた。その声を聞いて早坂は覚悟を決めた。
(そうだよ、ここで死んだら哀原まで殺されるさすがにそれはいやだ。)
そのじっと動かない様子を見て楠は光悦の表情をして
「さぁ、死ぬがよい!!」
その砂鉄が圧縮された鎧をまとった右手が振り上げそして下ろされた。
即死にはならないが直撃をすれば致命傷は避けられない、そんな攻撃を早坂はなんと片手で抑えた。
その人外じみた筋力に楠は驚いたが、しかしそれだけで終わりではない。
「ばかめ!!先ほどのことを忘れたのか!!」
そう、鎧は形を変えることができる。
楠は鎧の表面に槍を作った。そして
「ガッ!?」
早坂の体のいたるとこに刺した。
「早坂君!!」
後ろで待機していた哀原は思わす叫んでしまった。自分でなくほかの人が来れば早坂君は....と自分を責めていた。だが刺された本人はなぜか口元に笑みがあった。
「三秒経過ー!!」
「貴様、ついに気でも触れたのカッ!?」
そう早坂が叫んだ瞬間いきなり楠は眠るかのように倒れた。
その様子を見て哀原は早坂が能力で勝ったのだろうと安心していた。
確かにそれは事実だ。しかし勝った本人はそんなこと気にしている余裕がなかった。
「ぐっ」
「早坂君!?」
そしてその様子を見て哀原は気づいた、早坂の傷に。
見ただけでも5~6箇所は刺されていた、だが早坂の能力によって大体は止血がされていた。
その様子を哀原が心配そうに見ていたすると
「おい、何してる哀原?さっさといくぞ?」
そんな無茶をいった。
「なにいってるんですかそんな傷で!?第一傷は塞げても血が足りないでしょう!?なのにd「うるせぇ!小柴はまだ戦ってるんだ!俺もいって手助けしなくてどうする!?あいつは俺みたいにお前みたいなやつがいるわけでもないだろう、だからあいつがぶっ倒れちまう前にさっさと向かってやんなくちゃやべぇだろう!....それに俺の能力で行くまでにちゃんと動けるようになるまではなれるから安心しろ。」
哀原はあきれつつその最後の言葉を聴きなら大丈夫だろう、と納得はしないが首を縦に振った。
「まったく....早坂君は馬鹿ですね、いいですよなら最後まで付き合ってあげます。」
早坂は信用してもらえてうれしかったのか満面の笑みで
「ははは、サンキュならはやくいこうぜ!」
「まったく....わかりましたよ。」
二人は上に向かっていくそこに何が待ち構えているかも知らずに....
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「わりぃ、足も刺されてうまく歩けないみたいだ。肩貸してくれ」
「はぁ.......」
こんなことがあったとかなかったとか。
キャラ紹介
名前:楠 尚史
性別:男
年齢:15
組織:『選ばれし者』
能力:地球磁石
能力内容:地球の持つ磁力を手足の如く操る事が出来る。コイルの法則で発電、磁力で鉄分を含む物体を自由自在に動かして攻撃する。ある一定範囲にのみ超磁力の磁界を精製し、其処にいる鉄分を持った人間を潰す事も可能。
容姿:黒眼黒髪何故か眼帯をつけている少年。マントを身に纏ってその中に大量の鉄くずを保持している。
性格:中二病をこじらせた中二病患者。実際に強力な力を持っているが、本人は悪魔との契約の対価だと言って真の能力は封印されていると思い込んでいる。
武装:周囲似る全ての金属。体中にも金属を纏っておりそれを操作する事で常人離れした動きも可能。