プロローグ(早坂ver)
マン・ホール島 8時45分ごろ
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俺――早坂一哉――は日本の夏特有のじめっとした暑さに刺激をされ目を覚ます。
この辺りは海が近いため、盆地などに比べれば暑いわけではないが、それでも暑いものは暑い。
「やっぱり夏は嫌いだ、早く冬になってくれ」
そう思いながらいつものように布団から出ようと、腕に力を入れると違和感。とても固い感触が手に伝わる。この感触は家の中じゃ絶対にない。
――というよりも家の中じゃまずありえない。
「・・・なんで外にいるんだ?」
そう、俺は外にいた。
夏は強敵だ。コンクリートの照り返しにより地面からは陽炎が見え、空を見れば夏特有の肌を刺すような暑さが俺のことを襲う。
俺の一番嫌いな暑さが視覚的にも、肉体的にも、休みなく攻めてくる。
その感触のおかげでだんだんと昨日のこと思い出していく。
昨日は休日だったため、友人の良壱のやつと飯も食わずに夜通し能力を使って遊んでいたはず。そしてそのあと、確か日付が回った後だったか、そのくらいの時にお互い今日は授業があるため解散をしたはず。
そしてふと思い出す。
――俺あの後ぶっ倒れたな・・・
飯も食わず、しかも能力を使ってぶっ続けで遊んでいたのだ、いくら高校生とはいえ強化系の能力でない俺にはそこまでの無茶はできない。
俺は良壱と別れるまでは意地を張って平然としていたが、そのあと緊張の糸が切れたのだろう、適当な場所でぶっ倒れた。この辺りの道は学生が通りにくい場所ではあるが、学生寮からそう離れているわけでもない。
――疲れた。
「・・・帰る。」
正直もう学校に行く気がもう起きないから、今日は休もう。
そんなことを考えながら疲れた体に鞭を打ち歩いていると、足元を見ていなかったせいか、この島名物のやけに多いマンホールにぶつかって転んでしまう。
転んだ衝撃からか、体にあったけだるさがかなり増える。
もう帰るのすらおっくうになってくる。しかし最低でも端っこに動かなければならない。そうしないとコンクリートに赤い染みを作ることになってしまう。
しかし現実は非情なもの。
動かない体に鞭を打って動かそうとしても、うんともすんともしない。
ついでに言えば動こうとする気力も、うんともすんともしない。
まあ能力使えば、一度撥ねられるくらい痛いのに我慢すればなんとでもなる。
それにいっそのこと轢かせて飯をたかる方が、飯代が浮くし、寮まで運んでもらえるしで一石二鳥。最高ではないか。
そんな完全に頭の逝った考えに突入していると、前から車ではなく人が歩いてくる。
腹の減りすぎと、疲労からくる脱力感で、目の前が少しかすんでいるが、その人物はうちの学校の女性用の制服を着ていることから、うちの学校の生徒だということがわかる。
つまり運が良ければ金が借りれる。
勝てば満腹、負ければ死亡
俺は大して回ってない頭でそんなことを思いつつも、顔をしっかりとあげて助けを求める。
「たすけてくれぇ。」
「ふぇ!?」
女性はゾンビのようなうなり声で助けを求めていたこちらのことを、完全に引いていたが、倒れているのを見ると近寄ってくる。女性特有のいい香りがする。
「えっと・・・なんですか?」
「飯を・・・飯をおごぅてくれぇ・・・」
「は、はぁ。」
女性は困惑しながらも了解の意を言ってくれたので、よろよろと立ち上がり顔を見る。
今思うと、このときが俺の面白おかしい学園生活の幕が上がったときだと思う。
キャラ紹介のコーナー
名前:早坂一哉
性別:男
年齢:16
クラス:2-3
能力:???
能力内容:???
容姿:普通チョイ上
性格:めんどくさがり、身内思い
武装:お守り(健康祈願)