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第八話[あいさつ]




待ってましたとばかりに、


昇り始めたあたしの何か




第八話[あいさつ]





学校から家へ帰るとき、

ちょうど一本道の真ん中に見覚えのある黒いベンツが止まっていた。

運転席には綺麗な金色が見えて。


(あ、日向くんの付き人?さんだ・・・)


(なんでこんなところにいるんだろ?)


とりあえず顔見知りでもないし 

ただ気になるだけだったから、普通に横を通って家に入った。








翌日、玄関を出ると黒いベンツは無くなっていた。

日向くんを送りにいってるのかな・・・



『・・・・・・・』



『あーおいっ!』


 グイッ


『っぅわぁ!?』


いきなり方を掴まれて、うしろへ引っ張られた。

ちょっと考え事をしてたあたしにとってはカナリ吃驚した・・!


『あははっびっくりしたでしょー?』


すぐ横には明るい茶色が見えた。

あぁ、もう、この子は!


『あったりまえでしょ!ミサキ!』


『ごめん、ごめん』


ミサキはかわいい笑顔を見せながら、顔の前で掌を合わせて

ふざけたように無邪気に笑った。 


憎めないなぁ。


『ていうか何でこっちの道にいるの?遠回りになっちゃうでしょ?』


あたしとミサキは家が反対方向で、一緒に帰ったりできない。

本当は行きも帰りも一緒に行きたいんだけど・・・。


『今日はいつもより早めに起きれたし、葵と行こうと思って』


・・・え・・・?


まさか、


『・・・わざわざ来てくれたの?』


『うん』


なっ、なんて友達想いな子なのっ!!

うわ、どうしよ、めちゃめちゃ嬉しい・・・!


『ミッミサキ・・・!!』


『いい友達持ちましたねェ、久原さーん』



そのふざけた敬語がまたおもしろくて、嬉しくて



『はいっ本当に!!』


『・・あははっ!葵涙目ー!ホント涙もろいんだからっ』


ばん、とけっこう強めに背中を叩かれた。


ほんとにいい友達もったなー自分!








『おっはよーう!』


『おはよー』



教室のトビラをガラリと開けて、

ミサキに続いてあいさつをした。



『おはよう、葵ちゃん、ミサキちゃん』


『二人とも遅いよー』


『あれ、今日は二人できたの?』


クラスの女の子達が反応してくれてた。

男の子は気付いてるっぽいけどあいさつを返してくれない。

そういう年頃なのかもしれないけど、やっぱりちょっと物足りないなぁ




『久原、おはよ』




少しだけハスキーな声に振り向けば、やっぱり美形がこっちを見てた。



『ひゅ、日向くん!おはようっ』



慌ててあいさつを返したら、少しだけ笑われた。

胸らへんが少しだけきゅう、ってなって、顔が熱くなった気がする。

何だろう、これ?



『『おっおはよう、日向くん!』』


『『『きゃあ、律くんー!おはよう!』』』


周りの女の子達も次々に日向くんにあいさつしていく。

みんな頬がピンク色になっていて、眼がキラキラしてる。

恋ってそんなにすごいものなのかなぁ・・・?


っていうか今、誰か日向くんのこと名前で呼んでたよね。

話した事もないのに名前で呼ぶのって失礼じゃないかなぁ?



『あんたの彼氏、やっぱかっこいいわねェ・・・ありゃモテない方がおかしいわ』






・・・・・・・え、か、彼氏・・・・?








『ひゅ、日向くんって彼女いるのー!?』









・・・・・・・あ・・・・・・・し、しまった・・・・・!つ、つい・・・・!










『・・・・・あおい、声でかいよ』





ミサキが呆れたようにため息をつき、そういった瞬間

あたしたちの回りにいた女の子達が一気に日向くん方を見て、





『『『『『『『うそ―――――――――――――っっ!?!?!?』』』』』』』





学校中に聞こえたんじゃないかってくらいのおっきい(どころじゃない)声だった。


でもあたしにはそんなのどうだって良くて、

ただ日向くんの答えだけが気になってしょうがなくて。


日向くんの口が開いた瞬間、既にあたしの思考回路は止まっていた。



























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