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勝利の絶対条件  作者: 高原 朝穂
プロローグ
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プロローグ

初投稿です。世界観としては、現実とは少し異なります。とはいっても相違点は教育システムや人物の名前などです。あまり気にせず読んでください。


 ※用語解説

   初等部:小学校とほぼ同じ。その学校の中等部に進学するのにも受験が必要。

    WPBA:NBAみたいの。要するに世界最高のバスケットリーグ。

 彼の生まれは平凡だった。いや、いささか不遇だったかもしれない。周りの家庭より彼の生まれた家庭は少し貧乏だった。

 彼の幼少期は至って平凡だった。少し内向的で、読書の好きな子であった。友達と遊ぶ時も少し後ろでニコニコ笑っている。付き合いが悪いわけではないが、特に自分から遊びに誘いに行くような性格でもなかった。

 そんな彼がバスケットボールと出会ったのは、彼が初等部3年生の時だった。きっかけは、彼の父親が、休日に家でずっと本を読んでいるのを見て、プロスポーツを見せ少しでも多くの世界に触れてほしい、そんな風に考えたからだった。彼はWPBA―World Professional Basketball Association―の試合を終始黙ったまま見たのち、彼の父親に、ジュニアクラブに入れてほしい、そう告げた。

 彼に父親はその時内心驚いていた。わが子ながらどこか飄々としていて、つかみどころのないようなところのある息子の目に、今まで見たことのないような、静かな炎が宿っていた。


 彼はジュニアクラブに入って、すぐにその才能を表した。彼の武器、それは飛びぬけた身体能力であった。初等部は1年から6年まであったが、クラブに入っていたのは4年生から6年生が中心であり、体のサイズが圧倒的に足りない彼であったが、その身体能力、スピードやジャンプ力はその差を埋めて余りあるものであった。彼のおとなしめの性格を知っていたチームメイトはそれに驚いた。

 彼は4年生となり、ついに先発ポイントガード(PG)の地位を獲得した。その時の彼のプレースタイルは、周りの体の大きい5・6年生を生かすためのパサー、ゲームメイカーであった。当時、チームには5年生にスター選手がいた。彼がチームのスコアラー(点取り屋)となり、チームは「そこそこの強豪校」という評判を手に入れることとなった。

 そして6年生となり、チームのスコアラーが卒業し、その役割は彼に任されることとなる。突然プレースタイルの変更を強いられた彼であったが、彼は見事に新人戦初戦で21得点12アシスト4リバウンドという好成績、ダブルダブルを達成した。初等部にして驚異的な数字を挙げた彼であるが、チームメイトに恵まれず、なかなかチームの勝利に結びつけることができずにいた。

 そして初等部最後の大会、彼のチームは全国レベルの強豪校と当たり、一人で35得点8アシスト6リバウンド3スティールという活躍にもかかわらず、64-82という大差で敗れることとなった。

 こうして、彼――ジム・ウェルフォードは人知れず初等部のバスケットボール界から去ることとなった。


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