おんなのことおにいさん
ここはどこだろう…。
まわりにはなんにもない。
とりあえずここからでよう。
ここからでてきょうもおとこのこにあって、しゃべって、あそぶんだ。
わたしははしった…。
でぐちはどこだろう。
でもふうけいはかわらない。
ただまっしろのくうかんだ。
わたしはなにかをつかむようにてをのばす。
でもこのてをだれもつかんではくれなかった。
わたしのうではくうをきり、からだごとくずれおちた。
しかいがゆがむ…。
わたしはなみだをながしているのかな?
それすらわからない。
「わからないよぉ…。」
するとじめんのいちぶがくろくなった。
うえをみあげると、そこには…
”おにいちゃん”がいた。
「おにい…ちゃ…「いっしょにかえろう」
なまえをよびかけたしゅんかん、おにいちゃんのことばで
わたしのことばはとぎれた
「えっ…?」
「一緒に帰ろう。お母さんも待っているよ」
おかあさん?おかあさんはしんだはずだよね?
おにいちゃんももういないのに…なんで?
「…なんでおにいちゃんがいるの?」
くちからことばがこぼれた。わたしはそれをうけとるよにいそいでくちをてでふさいだ。
おにいちゃんはかおいろもいっさいかえずににっこりとほほえむ。
「なんでって…?ここはてんごくなんだよ?」
てんごく…?
わたし…しんじゃったの?
じゃぁこのおにいちゃんは…”ほんもの”?
「さぁほらてをつないでいっしょにかえろっか」
そうやっておにいちゃんはわたしのてをつかんだ。
なつかしい…おにいちゃんのやさしいてだ。
しんじゃったんならもういっか、おかあさんもまってるって、
さぁかえろう
さぁ…
「やだっ!やだよぉ!!」
「!?」
とつぜんうしろからこえがきこえてきた。
きいたことのあるこえ…もしかしておとこのこ…?
ふりかえるとひとりのしょうねんがいた。
おとこのことはちがう。もっと…幼い?
「やだぁ!もっとあそぶんだぁ!」
「だめでしょ。お兄さんも女の子もももうおうちに帰らなくちゃいけないの」
「ふんっ!やだもんね!せっかくなかよしになったのに!もっとあそぶんだぁ!」
あれ…?あそこにいるの…わたしだ。
おにいちゃん、おかあさんがいる。
「だいじょうぶ。またあしたあそぼっ!わたしぜったいにいくから。」
「またぼくもいっしょにおとこのことあそびたいな~」
「ふふっこの子たちもいっているのでまた明日遊びましょう?」
「う”~…ほんとうにあしたあえるの?」
「うん!あえるって。やくそく!」
「わ、わかった。あしたね!」
「「ゆーびきーりーげーんまーんうそついたらはりせんぼんのーまーす!」」
「「ゆびきった」」
そうだ…おとこのことあうのは…あれがはじめてじゃなかったんだ。
もっとずっとまえに…やくそくして…
それで…
”いけなかったんだ”
「…ごめんなさい」
わたしはおにいちゃんのてをはなした。
「え…?どう…して?」
おにいちゃんはおどろいていた。
「どうして!?お母さんが待ってるよ!ほら家に帰ろう!!君も望んでいたじゃないか!」
おにいちゃんらしくない。
なんでそんなにあせっているの?
わたし…
「かえらなきゃね。」
「!わかって…くれた?」
「おとこのこのせかいに…ね」
わたしははしりだした。
どこかもわからないくうかんでただはしっていた。
でぐちなんてないこのばしょで
わたしは…あがいて
そして…
あのこのもとに…
まだつたえてないよ…
まだあやまってないよ…
このまましんじゃうなんていやだから…
だからおねがい…わたしを
ふとしたしゅんかんだれかがわたしのてをひいていた