おんなのことはじめてのともだち
ここのまちはかいしゃのひとがいってた
「次の建設地あの呪われた町だってさ」
「えっあの…”殺人鬼”がいる…あの?」
「そうそうもういっそのこと社長が殺されればいいのに」
「っしそんなこと言って知られたらクビだぞ!」
そのはなしのよくじつ、そのひとたちはかいしゃにはいなくなってしまった。
とはいっても、ここはあのばしょよりかはまだまし。
わたしにとってここはじゆう、てんごくなんだ。
あのおとうさんのかおをみずにすむ
あの”じけん”のこともわすれていいんだ
わたしはまちをたんけんした
ふつうのいえがいっけん…にけん…
ずらりとならんでいた
わたしはそれをかぞえた
それさえたのしいとおもえるのはしんせんだからかもしれない
「クスクス…おもしろい」
すすんでいくと、こうえんがあった。
いつもよこめでみていた、あのたのしそうなみんなのかお
わたしはそこにあったブランコにのった。
ギィ…ギィ…
ブランコにのるのははじめて。
このブランコ、さいきんだれもつかってないからかなぁ…さびちゃってる。
でもうごかせる
ギィギィ…
こぐたびに音はだんだん小さくなって
こいでいるわたしになびくかぜのおとしかきこえなくなっていた
そのとき
ガサッ
「!?」
わたしはものおとをしたほうにかおをむけた
そこには…
ひとりのおとこのこがいた。
「…だれ?なんでぼくのまちにいるの?」
おとこのこがきいてきた
そのあと
「なんで…”いきているの”!!」
おとこのこはこわいかおをした。
どこかさみしそうな…どこかでみたことがあるような…
そんなかお。
わたしはブランコをおりた
そしておとこのこにちかづいた
「あなたこそ…なぜいきているの?」
おとこのこがいっぽさがった
「ここはぼくのまちだから…」
わたしはいっぽすすむ
「じゃぁわたしはきみのまちの”じゅうにん”ね?」
おとこのこはいっしゅんうれしそうなかおをした
けれどそれをかくすようにくびをよこにふった。
「…みとめない。ぼくはひとり…だから」
おとこのこはしたをむいたまま
じめんにすわりこんだ
「ぼくが…こわくないの?」
おとこのこはきいてきた。
なんでそんなことをきくんだろう。
「こわくないよ…」
わたしはほんとうのことをいった。
ほんとうにこわくはなかった。
だってわかるから
”きみはやさしいこ”だってわかるから…
「だってきみのなかのじゅうにんがきみをこわがるわけないじゃん」
わたしはおとこのこにてをさしのべた
「…そっか。そうだね。」
おとこのこは…わらった。
わたしも…わらった。
おとこのこはわたしのてをつかんでたちあがった。
「きみはぼくをうらぎらないよね」
「もちろん!わたしはあなたのみかただから。」
つながれていたてはとってもあったかかった。
はじめてのともだち
それは…ひとりぼっちのおとこのこだったのでした。