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ガールズバーで人気ナンバーワンの私が、ヒロインに転生しましたわ

作者: ぺいた
掲載日:2026/06/25

ついに来た! メクルメク王立学園! 前世でやってた乙女ゲームの世界!

私は学園の門の前で、これからの学生生活にワクワクしていた。


◇◇◇


ゲームのヒロインであるアンナ・ヒーロイン。

ネーミングが実に適当なゲームだったがそこはおいといて、そのアンナに、自分が転生したと気づいたのは10歳の時。

吹けば飛ぶような男爵家の令嬢だけど、光魔法が使える。

この貴重な魔法のおかげで、王太子はじめ高位の貴族たちを攻略できるのだ。


私はなんといっても王太子推し! 

やっぱかっこいいし身分が一番高いし! 

王妃とかやってみたい!

難易度も一番高いけど、いける気がしていた。


だって私、前世はガールズバーで大人気だったんだもの!


ためしに幼馴染の男爵子息に営業かけてみたら、めっちゃちょろかった。

「年の近い男の子と話すの初めてでドキドキする!」

ってちょっとはにかんだように笑って、

「私といると楽しいって、思ってくれるとうれしいな」

と上目遣いで見上げただけで、ころっといった。

すぐ婚約の打診が来たけど、私は王太子狙いなので「お互いまだ若いので」と保留にしてもらった。


そういう実績があるので、私には自信があったのだ。

見た目は完璧な美少女、そして私のトーク術があれば、怖いものなしじゃない?

光魔法の使い方はわからないので、これの練習だけはしておいた。

これでたぶん、王太子妃の座ゲットだぜ!


◇◇◇


そして今、とうとうあのゲームのスタート地点に来られたのだ。感動。

私はさっそく、中庭を歩いた。ここで王太子との出会いがあるはずなのだ。


いた。殿下だ。シナリオ通り、足元の小鳥を優しく拾い上げていた。


私は偶然それを目にしたような顔をして近づき「あの…」と声をかけた。


「ん? 君は?」

殿下が聞く。シナリオ通り!


「アンナ・ヒーロインと申します。そちらの小鳥、ケガをしているようなので、よければ見せてもらえないでしょうか」


「ん? あっ、アンナといったな、君はもしかして、光魔法の……」


「ええ、治せるかもしれませんので……」


私は殿下の前で、小鳥に回復魔法をかけた。小鳥はすぐにバサバサと羽を広げて飛んで行った。


「すごいな! 回復魔法というのは!」

殿下が感心してる。ふふふふふ。訓練していてよかった。


「殿下? そちらにいらっしゃいますの?」

穏やかな女性らしい声が聞こえた。シナリオ通りなら、現れるのは…。


「クラウディア、すまない、遅れたか」

殿下が返事をする。視線の先にいるのは、殿下の婚約者、クラウディア公爵令嬢だ。


「で、でんかって、もしかして…」

知ってたけど、知らないふりしておののいてみせる。


「ああ、名乗っていなかったな。アラン・オーゾックだ」


「王太子殿下! 私ったらとんだ無礼を! 申し訳ありません!」


「ああいや、学園内では立場を気にせずふるまうことが許されている。気にすることはないよ」


「寛大なお言葉、ありがとうございます!」


「失礼だけど、あなたは?」クラウディア様が聞く。


「失礼しました! ヒーロイン男爵家のアンナと申します」恭しく礼をした。


「先ほど、傷ついて飛べないでいた小鳥を癒してくれたのだ」殿下が説明してくれた。


「まあ、ではあなたが、光魔法の使い手だという…。私はクラウディア・コシャークと申します。よろしくお願いしますね」クラウディア様が美しく微笑んだ。


美しい…けど負けない! 私には愛嬌とトーク力があるし!


「殿下、そろそろ公務に戻りませんと」

「あっそうか、ではまたね、ヒーロイン嬢。小鳥を治してくれてありがとう」


2人は学園内の執務室に向かった。私は2人を見送って、「ふう」と息をついた。

もうちょっとお話したかったけど、好印象は残せた気がする!

あとは殿下との仲を深めていくだけ! がんばるぞーーー!


◇◇◇


ある日の放課後。「殿下、相談したいことがあるんです…」と話しかける。


「ん? なんだい?」気さくに答える殿下。


「実は、光魔法がうまく使えなくて…」とうつむきがちに答える。

どうよこの悩める美少女。思わず助けてあげたくなるでしょ?


「そう言われても、私は光魔法のことはわからないしな…クラウディアー!」


え!?


「君、光魔法の本を読んだって言ってたよな? ヒーロイン嬢の相談に乗ってあげてくれないか?」


ええ~? 殿下は助けてくれないのー?


「そう言われても、私も本を読んだだけですから、そうだわ、この学園の図書館にありますから、どこにあるかお教えしますわ。探すのも大変ですから」とクラウディア様。


そしてクラウディア様と連れ立って図書室に行って、光魔法の本を読んだ。

おかしいな…こんなはずじゃ…。


◇◇◇


ある日、殿下が通るはずの廊下からよく見えるベンチで、わざとらしくしょんぼりする私。


「ヒーロイン嬢じゃないか。元気がないな、どうした?」

うまく殿下が気にしてくれた。あとはこっちのもんよ!


「殿下…ありがとうございます。ちょっと嫌なことがあったんですけど、殿下に話しかけてもらえたので、ふっとんじゃいました」

と、力なく笑ってみせる。


殿下は「そうか! それならよかった」と去っていこうとする。


あれ?


「あ、あのちょっと、嫌なことはなんだったかって聞かないのですか?」


「えっだって、嫌なことがせっかくふっとんだのに、聞いたら思い出して嫌な気持ちになっちゃうだろ?」


「な…なるほど…でもあの、私は殿下に聞いてほしいです…」


「そうなのか? なら聞くぞ? どうした?」


「私…コシャーク様に嫌われているみたいで…」


「コシャークって、クラウディアか? あいつは人を嫌いになっても、それを相手に気づかせるような失態は犯さないはずだぞ?」


うっなんか、めっちゃ信頼してるような発言…でも負けない!


「でも…今日も、授業が休講になることを教えていただけなかったし…」


「おーい! 誰かクラウディア呼んできてー!」


え!!! なんで呼ぶの!?


「こっ困ります殿下! コシャーク様に怒られます!」あわあわ。


「なんでだ。こういうことははっきりさせといたほうがお互いのためにいいんだぞ。ああきたきたクラウディア。おまえヒーロイン嬢に意地悪してるのか?」


うわーど直球で聞いてるー。こわこわこわー。どうしようー。


「してませんけど…」

「でも休講のことを教えなかったって言ってるぞ」


「休講…」

クラウディア様は私をちらりと見て、

「たしかに、お伝えしていませんが…。休講のことは先週から決まっていたことですから、私がお教えしなくても、皆さまご存じのことと思っておりましたわ」

と答える。


いや、その通りなんですけどね。いじめられてる風を装いたかっただけなんですけどね。


「あ、あの、私の勘違いでした! 申し訳ありません!」

こういうときは、素直に謝るに限る。今回は失敗! 流せ! 流すんだ! 次いこう!


「ふふ。殿下の気を引きたいのね。かわいいこと」


……なんだと? 


「そ、そういうわけでは…」

その通りだけど、否定しておくことは大事。


「ははは、ほら違うってよ。クラウディアもたまには間違うんだな」

殿下がのんきに言う。


「そうですの? 一生懸命無駄なアプローチして健気だなあと思ってましたのに。変な誤解をしてごめんなさいね」


なんだとうーーー!


何が「無駄なアプローチ」だ! おまえは私を怒らせた! こうなったら何が何でも殿下を攻略する! 私の本気を見せてやるーーー!


◇◇◇


完敗でした。


卒業の日を迎えて、殿下とクラウディア様は、相変わらず仲睦まじいベストカップル。

私は殿下に固執していたので、他の誰とも仲良くなれず、婚約保留の幼馴染とあらためて婚約することになると思う。

光魔法だけは役に立つので、卒業したら神殿で働くことになっているけど、それだけ。


何が悪かったんだ…。ハーレムは無理でも、ゲームの攻略対象のひとりぐらいは落とせてもよくない?

現実はゲームのようにはいかない…というか、ゲームの世界は現実ガールズバーのようにはいかない、ってことなのかなあ。


◇◇◇


クラウディア・コシャークは、殿下の横で微笑みながら、勝利を実感していた。


アンナ・ヒーロインが転生者であることは、初対面で気づいた。


「で、でんかって、もしかして…」ってわざとらしくおののいてたけど、わからんわけないだろ。この国の王太子だぞ。あんな麗しいお姿、遠目で見たって忘れないし見間違えないだろ。ブロマイドみたいな姿絵も出回ってるんだし。


そしてあからさまな殿下狙いはわかってたけど、こちとら前世は銀座のクラブを経営してたママだ。小娘が、私の男を狙うなんて30年早いんだよ。学園に入学する前から、がっちりホールドしてたわ。


だいたい、銀座で店を構えるために、どれだけ教養を蓄えたと思ってるんだ。心理学や礼儀作法で対応を学んだのはもちろん、政治から歴史から科学から文学から経営から投資に至るまで、何の話題をふられても答えられるように学んできたんだぞ。


高位貴族が「あたしー、難しい話わかんないー。すごおい」なんて娘を、結婚相手にするわけないだろ。領土や民を大事に思うなら、一緒に治めていける人間を選ぶんだよ。淑女なめんな。


「クラウディア、どうかした?」

殿下に聞かれた。怖い顔になっていたのかもしれない。

いけないいけない、私はプロの顔になって、「いいえ、なんでもありませんわ」と微笑んだ。

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― 新着の感想 ―
ヒロイン、銀座ママ令嬢に弟子入りと言うか、ねえさま!っていって侍女になって付いて回るようになるかと思ったんだけどね。(笑) 
めっちゃ好き。 公爵令嬢、報われたね良かったね、とそれを上回るさすがです!!感が小気味良かったです。 断罪も追放も無くてハッピーエンドだし、 私の本気を見せてやるー、には元気貰えたし、 淑女なめんな…
上には上がいた 銀ママかー。一介のガールズでは太刀打ちできまへんわな。 いつも予想外の展開で楽しく読ませていただいております! ありがたや〜\( 'ω')/
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