永遠の刹那
〇森の奥の魔女の家
魔女「今日も来たねぇ」
黒猫「にゃあ」
黒猫、椅子に飛び乗る
魔女「あんたはいつもどこから来てるんだい」
黒猫「にゃあ」
魔女「動物と会話する力でも目覚めてくれればまだおもしろいんだろうけどねぇ」
魔女、ソファに腰掛ける
魔女「あたしは一体いつになったら終われるんだろうねぇ」
黒猫「…?」
魔女、黒猫に話しかける
魔女「なんであたしは魔女なんだろうねぇ、終わらないのに生まれるってのは一体どういう理屈なんだい?」
黒猫「…」
魔女「お前がわかるわけでもないのにねぇ」
黒猫、家を出る
魔女、一息ついて一言
魔女「魔法が使えるわけでもない、ただ寿命がないだけのただの婆に魔女なんかたいそうな名前つけられたもんだ」
家の戸ノックされる
魔女、警戒気味に
魔女「誰だい?」
戸が開く、少女が立っている
少女「…」
魔女「なんだいあんたこんな辺鄙なところに、しかも一人で捨てられたのかい?」
少女、小さな声で
少女「…ううん」
魔女「じゃあなんなんだい?」
少女、うつむく
魔女「二百年生きてて初めてのことが起きるもんだね」
魔女、急かすように
魔女「そんなとこで立ってないでこっち入んな!」
少女、イスに腰掛ける
魔女、キッチンに向かう
魔女「あんた紅茶は飲めるかい?」
少女、小さくうなずく
少女「うん」
魔女「少し待ってな」
魔女、少女に紅茶を届ける
魔女「ほら、飲みな」
少女、目を輝かせて飲む
苦そうな表情をする
魔女「なんだい、あんた飲めないのかい」
少女、紅茶を見つめて立ち上がる
魔女「どうしたんだい、落ち着かない子だねぇ」
少女「あなたは孤独じゃない」
少女、少し間をあけて続ける
少女「私も同じ、私がいる」
魔女「あたしゃあんたと会うの初めてだけどね」
少女「違う、ここにいる」
魔女「この婆にも死期が来たのかい」
少女「またね」
少女、家を出る
魔女「死神にしちゃ弱そうだね」
魔女、少女が座っていたイスを見る
飲みかけの紅茶に目を移し少し考える
魔女「まさかね…」
〇ナレーション
これは永遠のような二百年を生きている魔女の人生の刹那




