恋慕
ルビが多い(笑)
賭けろというならば生涯こそ
一番 小さなチップで
博奕に敗れれば 身包み剥がされ
裸一貫の魂 奈落まで堕ちるのでしょう
光ひとつ零れて来ないのは
貴方という太陽を失くした所為か
既にこの眼を灼かれたか
誰ぞ在る
この問いに答えてくれませい
報われるを求めるからこそ
恋は我が身を焦がす炎でもあるのなら
雹のような冷たい夕立に出逢えて
己に帰った者は幸せだ
痛みに先んじて火照りは鎮まると
寄越せというなら将来こそ
取り立てに困る金子で
どうぞと差し出せど 推して参られる
武芸百般の武士 追い剥ぎと見紛う輩
救いひとつ乞う気も失せたのは
恋慕という患いに窶れた胸の
奥に巣喰うを知るが 故
誰ぞ在る
この愚か 嗤ってくれませい
叶わずとも満ち得るからこそ
恋は我が身に向けた刃でもあるのさあ
今日のように真っ赤な夕暮れに染められ
時間を忘れるうちは幸せだ
火照りが収まれば痛みが目を醒ます