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第4話

ヒロインどうするかな...。必要かなぁ?

6歳になった頃、ようやく剣術の稽古が始まった。

使用するのは両刃の全長 1 m ほどの長剣と、同じく両刃で全長 50 cm ほどの短剣で、教えるのはハゲ親父ことハゲナイ父さんである。

稽古は自宅で行われ、うちが保有している騎士団と兄妹全員で行っている。

流派名は【リヒテンアワー流】というらしく、伝統ある宗教系の流派と比べると歴史は浅く人気はないものの、僕の目から見てもなかなか実戦的な剣術だった。


とはいっても、実は僕自身はもっと早くから剣や槍など武器を調達して前世の武術の稽古を再開していた。

前世では、体術・剣術・居合術・杖術・槍術・薙刀術・手裏剣術を修めていた僕だが、今世では相手がいないため今まで一人稽古を行うことしかできなかった。

なので、ハゲ親父との稽古は物足りないながらも無いよりはマシだった。


ただ、一緒に稽古をしているお姉さまや兄さんがやたらと僕の相手をしたがるのは大問題だ。

上手く初心者のフリをしているが、いつボロが出るかわかったもんじゃない。

あの二人はそれぞれ方向性が違うが、子供にしてはかなりの才能があると断言できるのだ。


兄さんは、技の選択や魔力を用いない純粋な技術が素晴らしい。

だが僕がそれ以上に褒めたいのは、柔軟な戦闘スタイルの変更ができる引き出しの多さだ。

自分と相手の戦闘スピードに応じて攻撃主体と防御主体を切り替えられ、さらに初見の武器すら瞬時に特徴を見抜き対応できてしまう。

さすがモテ男は違うなぁ...悔しいが将来が期待できるほどの才能だ。


お姉さまについては、脱力による重い斬撃と戦闘継続能力、起こりの察知による先を取る動きが凄い。

しかしなによりも、魔力の運用と操作が化物レベルだ。

必要な箇所を必要な分だけ、必要最小限に魔力を供給して強化する。

そしてその強化の精度がまたエグイ...供給した魔力をほぼすべて無駄なく強化に使用している。

得物に氣を通すのに前世の僕は苦労したんだけどなぁ...これが才能か。


父さんは...まぁ経験があるだけで別段褒めるような箇所もない。

なぜあの父親からこんな天才たちが生まれたのか...謎である。


そして僕はというと、可もなく不可もなくといった感じに収まるように演じていた。

目指すべきは中の上、並よりは優れているけどその程度かなーって感じの評価だ。

圧倒的な強さを得るまで、目立つわけにはいかない。

出る杭は打たれるのだ、用心するに越したことはない。



◇ ◇



剣術だけではなく、並行して魔力技術の稽古も行っていた。

こちらはバイオレンス母さんが教えている。


こちらは個人レッスンのため、適度に手を抜くだけなので正直言って楽勝だ。

そもそも僕は黒髪で才能がない扱いになっているため属性変換などは教わられず、魔力運用や操作といったことだけを修練するだけ。

真面目に取り組み少しずつ上達しているように演じつつ、別のことを考える時間となっていた。



実は魔力について自主的に研究を進めており、色々と分かったことがある。

まず、氣と違って属性の付与が非常に容易である。

この理由を解明するには、そもそも魔力とは何かを調べる必要があった。


魔力とは何だろうか?

調査の結果、氣にナニカが混じったことで氣の性質が変化したもの、それが魔力だと僕は結論付けた。

そして、そのナニカを【魔素】と呼ぶことにした。


その肝心の魔素だが、観測する手段が現状見つかっていないため、正体は分かっていない。

しかし、魔素の観測を試みる中で有益な発見があった。


氣を練ることを【練氣】とよぶが、練氣を行うことで生命エネルギーを活性化することができる。

生命エネルギーは誰もが持っており、通常は自然と湧き出て容器いっぱいに収まったらそれ以上は外に溢れてしまう。

生命エネルギーには感情が乗りやすく、これを人は《殺気》や《邪気》、あるいは《気配》などと呼ぶ。

容器がいっぱいになるといわゆる《元気》な状態になるため、魂は生命エネルギーの生成を抑えるようになる。


だが、その生命エネルギーを、さながらデータファイルのように圧縮したらどうなるか?

より高密度でコンパクトになるため、外に溢れることがなくなる。

結果として、魂は元気な状態まで氣を貯めるために生命エネルギーの生成を強めて活性化することで、氣の生成スピードが上昇する。

これが練氣の効果である。


では魔素と氣の融合した魔力は練氣でどうなるか?


面白いことに、生成された氣はすぐに魔力へと性質変化をしたのだ。

つまり、練氣により魔力の生成スピードを上げて魔力の消費量を上回れば、理論上は魔力量に上限がなくなるのだ。

とはいえ、魔素が尽きれば魔力は尽きるのだが、そのときはこれまで通りに氣を用いればいいだけだ。


そして、属性と髪色についても分かったことがある。


人によって属性に得手不得手があるのは前世と同じだ。

魂には歪みがあり、それが肉体にフィードバックされた結果、本来平等に扱えるはずの属性を歪めているのだ。

武術の稽古では身体の左右差や歪みを取り除くことで、肉体から魂へフィードバックをすることで魂の歪みを取り除くことも重要視されている。


この世界では人体も魔素を取り込んでいるらしく、どうやら特に髪はその影響が出やすいようだ。

そのため、歪みが限りなく少なく属性が調和している僕は黒髪でも特に漆黒のごとき黒髪に、人々はそれぞれの歪み(属性)に応じて色が目立つのではないか。

そのように考えると辻褄があう。


しかし、それでは白髪と黒髪の違いが気になるだろう。

これについては、おそらく属性が【調和】しているか【抗衡(こうこう)】しているかの違いだろうと考えている。

魂のイメージとしては、調和が真円球、抗衡が極限までトゲを増やしたイガグリといったところだろうか?


どちらも属性ごとの扱いに差がなく万能型だろうが、僕としては調和しているほうが好みだ。

調和ってなんかカッコいいじゃない!

しかしなぜ世間では黒髪は才能がないなどと言われているのか、その理由は分からない。


(あ、そういえばハゲ親父が社交会デビューがあるとかそんなことを言ってたな。)


どうやら近々貴族同士の顔合わせとなる社交会があり、数え年で7歳になる僕も出なければいけないらしい。

庶民にしろ貴族にしろ人付き合いとは面倒なものだ。


(いや、待てよ。黒髪不遇説を調査するためのサンプル確保のいい機会になるか...。)


あれだけ社交会に後ろ向きだったネイピアスが突如前向きになったことを訝しむ者もいたが、追及されることなく当日を向かえるのだった。

やることなかったらサクッと書いて気まぐれで更新します。

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