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【コミカライズ】人類裏切ったら幼なじみの勇者にぶっ殺された  作者: 溝上 良
第4章 構ってちゃん天使編

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第78話 蘇らせた理由

 










 オフェリアとのゲームから数日。

 さっさとどこかに行くかと思っていたのだが、彼女は俺たちにへばりついてきていた。


 ……本当についてくるつもりか?

 誰も許可を出していないのに、平気で居座ることのできる彼女のメンタルの強さに唖然とする。


 ちなみに、一番食料を要求する図々しさも持ち合わせている。

 何だこの天使……。


 後ろでは、シルフィとオフェリアの会話も聞こえてくる。


「なんでこの豚もついてきているんですか?」

「ぶ、豚!? どこを見て……ああ、僕のこれですね。いやいや、嫉妬の視線が熱いですねぇ」

「そこまで大きいと無駄です。切り取っては?」

「でも、ラモンは大きい方が好きですよ?」

「…………私もありますから」


 何の話をしているの?

 最初は喧嘩しているのかと思っていれば、俺の話も?


 待ってくれ。

 俺は何も話していないのに、大きい胸が好きだと断定しないでほしい。


「嫌いですの?」


 ……まあ、それはいいとして。


「……なんだか嫌な会話をされている気がする」

「気のせいじゃないぞ、お前様」


 背中にへばりついてくる姫さんが笑う。

 もうアイリスに治してもらったのだから、自分で歩けるだろうに。


 彼女は甘えるように抱き着いてくるから、色々と大変だ。

 現在、俺たちはミカエルと会うことを目的にしている。


 俺を蘇らせたのは本当に彼なのか。

 その理由は?


 天使なんぞに生き返らせられたのだから、嫌な予感しかしない。

 そのこともちゃんと調べておかないと、後で痛い目に合いそうだ。


「あなたはそのミカエルって人と会ったことはありますの?」

「いや、ないな。あの時も襲ってこなかったし」

「襲ってきていたら殺していたしの」


 姫さんの言葉にうん、と頷く。

 天使に慈悲はない。


「まあ、天使の長って感じだし、ろくでもないだろうな」

「あ、あなたがそこまで言うのって、珍しいですわよね、本当」


 ナイアドは驚いたように俺を見ている。

 まあ、あんまり怒ったりしないしな、俺。


 エネルギーの無駄だから、むっとした時も深呼吸をしてすぐに落ち着けるようにしている。

 ただ、天使だけはどうしても我慢というか優しくすることができなかった。


 むかつく。


「オフェリア、ミカエルのいる場所に案内してくれ」

「僕たちの本拠地ですよ? ラモン大嫌いな天使も大勢いますし、全面戦争になりますけど……」


 キョトンと目を丸くして問いかけてくるオフェリア。

 確かに、彼女のような天使の方が珍しい。


 ゲームだなんてことは言わず、いきなり殺しにかかってきても不思議ではない。


「邪魔するんだったら殺す。天使だし」

「そういうところ、好きっ♡」


 自分の同胞を殺すと言われて蕩けた表情を浮かべるオフェリア。

 やっぱりこいつ、どこかおかしいよ……。


「僕もそっちの方が面白いと思うから教えてもいいですけど……多分、お願いしたらあっちから出向いてくるですよ?」

「……天使が?」

「天使が」


 コクリと頷くオフェリア。

 俺と姫さんは目を合わせる。


 二人とも天使のことをよく知っているから言えるが、それはありえない。

 傲慢で自分勝手なのが天使だ。


 用件があるから来てください、なんて言われて大人しくやってくる天使なんていない。

 しかも、天使長。


 倫理観が著しく欠如した天使たちの頭である。

 到底信じられなかった。


「そんなバカな……」

「いや、僕もミカエルじゃないから分からないですけど、たぶん来るですよ。むしろ、こっちから出向いて大規模な戦闘になったら、ミカエルの胃が死にますです。面白いからそっちでもいいですね……」

「えぇ……? どういう人ですの? オフェリアのことを見ていれば、こんなのを束ねている人なんてやばい奴なんでしょうけれども」


 くっくっくとほくそ笑むオフェリアに、ナイアドが問いかける。

 彼女はキョトンと首を傾げて答えた。


「常識人で苦労人です。だから、天使の中でめちゃくちゃ浮いていますです」

「えぇ……?」


 天使長が浮いちゃうってどういうこと?

 物理的というわけではないだろう。


 こう……集団のはみ出し者みたいな感じなのだろうが。

 まともな人が浮く集団って、やっぱりおかしいぞ。


「……やっぱり、ミカエルが苦しんでいる顔を見るほうが面白いですね! よし、僕も手助けするので、一緒に本拠地に乗り込もう!」

「いや、それは止めていただけないですか、オフェリア」


 嬉々として案内しようとするオフェリアを止めたのは、俺たち以外の存在。

 光が降りてきた。


 最初、そう思った。

 バサッとはためく白く大きな翼。


 頭上に浮かんでいる真っ白な輪。

 彼の身体から光が発せられていた。


 誰が見ても一目で天使だと分かる男は、俺に向かってニッコリと笑いかけてきた。


「初めまして。私はミカエル。ラモンさんに、お話をしに来ました」











 ◆



 少し開けた場所に座って、ミカエルと向き直る。

 ……まぶしい。


 なんで身体から発光しているんだ、この人。

 最初に降りて来た時よりは落ち着いているが、それでもじんわりと光っている。


 天使だからというわけではないだろう。

 オフェリアとかは光っていないし。


 天使長だから?

 よくわからんな。


「天使長なんて大層な立場にいるのに、そっちから来てくれるんだな。俺の方から出向いても良かったんだけど?」

「勘弁してください。あなたが天使の本拠地に来るようなことになれば、また全面衝突になりかねません。そうしても、私たち双方に何らメリットはありませんよ」


 疲れた笑みを浮かべるミカエル。

 まあ、俺もメルファを倒した以上、積極的に天使と関わろうとも思わない。


 別に天使を皆殺しにする、なんて凶悪な思想も持っていないし。


「でも、天使のリーダーが呼び出される形で出向くなんて、他の天使が了承するのか?」

「それは大丈夫です。私のことを天使長としてちゃんと敬っている天使なんていませんし」

「お、おう……」


 ニッコリと笑うミカエルに、言葉が詰まる。

 なんでこの人は天使長なんてしているんだ……?


「あんたとは初対面だし、別に気を遣う必要性も感じないから、単刀直入に聞くぞ」


 仲良く会話をするつもりはない。

 俺は手っ取り早く、問いかけた。


「どうして俺を蘇らせた?」


 天使からして、俺は天敵。

 よっぽどのことがなければ、蘇らせることなんてしないだろう。


 それに、死者蘇生なんて大層なことをするには、相応の代償を支払ったはずだ。

 それは、超常の存在である天使でも、だ。


 何の目的で?

 仮にミカエルが自分たち天使のために俺を復活させたのだとしたら……。


 ダーインスレイヴを握る手に力がこもる。

 彼女からは、いざとなったら自分が天使を殺戮するという強い意志が伝わってくる。


 愛剣の優しさ(?)に少し安堵しつつ、ミカエルの言葉を待った。


「では、私も余計なことを一切除いてお話しします」


 余計なことを話したら俺との関係が悪化すると悟ったのだろう。

 ミカエルは端的に、その理由を話した。


「【鏖殺の聖勇者】が、復活させられました」




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新作です! よければ見てください!


その聖剣、選ばれし筋力で ~選ばれてないけど聖剣抜いちゃいました。精霊さん? 知らんがな~


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