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【コミカライズ】人類裏切ったら幼なじみの勇者にぶっ殺された  作者: 溝上 良
第4章 構ってちゃん天使編

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第76話 さっさとこれを引き取っていただいていいですか

 










「おーもーしーろーくーなーいーでーすー!」

「うるさいですね……」


 ジタバタと暴れるオフェリアを見て、シルフィが冷たく呟く。

 何で地べたに寝転がって暴れるのか。


 砂が巻きあがって身体が汚れるというのに、一切気にしていない。

 まあ、天使のことだし、どうでもいいや。


「誰が偽者か、分かりましたの?」

「……さっぱりわからん」

「見る目がないのう、お前様」


 姫さんは自信ありげだ。

 これは頼もしい。


「姫さんは誰か見当がついたのか?」

「…………妾の仕事じゃないし」


 そっと目をそらす姫さん。

 全然頼もしくなかった。


「誰か分からなければ、とりあえずこの女にしましょう、ラモン」

「とりあえずで殺そうとしてくる女をどう思う、お前様?」


 とりあえず、この二人を無視しよう。

 俺はそう決めた。


「なあ、オフェリア。本当にここにいる中で、誰かを本物から偽者にすり替えたのか?」

「それは本当です。ちなみに、それは一人だけです。ラモンが大好きだから、特別に教えてあげますです」


 ダメもとで聞いてみれば、オフェリアは意外とあっさりと答えてくれた。

 さすがの彼女でも、複数を取り換えることは大変だったのだろう。


 ……いや、シルフィや姫さんを複数取り換えられる力なんて持っているはずもないか。

 たとえ、俺がやろうとしても無理だろう。


 まったく自信がないし。


「やっぱり、この女です。斬首しましょう」

「いやいや、一番弱っちい妖精が怪しい。簡単にすり替えられるじゃろうし」

「執拗に他人を偽者だと言っている人が、一番怪しいですわ!」


 シルフィは姫さんを疑い、姫さんはナイアドを疑い、ナイアドはシルフィを疑う。

 嫌な三角関係になっている。


 うーむ……正直、俺から見ると、誰も怪しく見えないのだ。

 全員本物だという答えはないのだろうか?


 しかし、オフェリアは一人差し替えたと言っていた。

 その言葉を信じるわけではないが、それを否定して間違えれば……本物とは二度と会えなくなってしまうかもしれない。


 ……まあ、最悪オフェリアを物理的にどうにかしてしまえばいいか。

 俺はそう考えていると、あることを思い出す。


 このゲームで、皆言葉を発して議論した。

 俺も、ナイアドも、シルフィも、姫さんも。


 ……そういえば、今まで一切話していなかった奴がいるな。


「……偽者が分かった」

「お? 誰か教えてください」


 俺の顔を、興味深そうに覗き見るオフェリア。

 そうだ。


 唯一、普段と違った様子の仲間がいた。

 それは……。


「ダーインスレイヴだ」

「え?」

「ただの剣じゃないですの!」


 俺の答えに、シルフィは目を丸くし、ナイアドは怒って叩いてくる。

 妖精の小柄な体格だからまったく痛くないのだが、ペチペチと鬱陶しい。


 首根っこを掴んで引き離す。


「……いや、妾たちは、武器はすり替えられた対象に入らないと固定観念を持っていた。じゃが、この天使は『この中の誰か』と言った。その中に、意思のある魔剣は入るじゃろう」


 姫さんが解説してくれた。

 ダーインスレイヴは喋らない。


 だが、この中の誰よりも、自己主張は激しく強かった。

 それなのに、ダーインスレイヴは一切意思を発することはなかった。


 それは、彼女が偽者だからだ。


「どうだ?」


 俺が問いかければ、オフェリアは下を向いてプルプルと震えた。

 そして……次に顔を上げれば、彼女はキラキラとした目をむけてきていた。


「……だいっっっっ正解です!!」


 ぴょんぴょんと飛び跳ねるオフェリア。

 大きな胸部も大暴れしている。


 ……ナイアドのビンタが激しさを増していた。

 ごめん。


「さっすがラモン、よく正解しましたですね!」

「俺のパートナーだからな。そりゃ、忘れるわけにはいかないだろ」


 忘れたら呪い殺されそう。


「正解していなかったら、あのじゃじゃ馬を持っていくつもりじゃったのか? あれはこの人以外に扱える代物じゃないぞ」


 姫さんが眉をひそめながら言う。

 彼女がダーインスレイヴを一時的に保管することができていたのは、俺とのつながりがあったから。


 そして、ダーインスレイヴが俺を待ち続けていたからというのが大きいと、姫さんが言っていた。

 しかし、今俺はこうして存在しているし、オフェリアはダーインスレイヴの許可を得て持っているわけではない。


 ということは……。


「……まあ、そうですね、はい。今、一番よく理解していますです」


 プルプルと震えているオフェリア。

 しかし、それは先ほどまでの感動を我慢するようなものではなく……。


 ブハッと血を大量に吐き出すオフェリア。

 どこからか、ダーインスレイヴを取り出す。


「うわぁ……」


 所有者であるから分かる。

 ダーインスレイヴさん、ブチ切れていらっしゃる……。


 時空がゆがんでいるほどの怒気を発している。


「あの……さっさとこれを引き取っていただいていいですか……?」


 顔面を蒼白にさせながら、オフェリアはプルプルと震えつつダーインスレイヴを差し出してくるのであった。











 ◆



 勝手にラモンから自分を引き離すなんて許せない何の許可があってそのようなことをするのか許可を出した奴を殺す実行した奴も殺すまた天使たちに対してジェノサイド・パーティーだ皆殺しにしてやるさあラモン私を使え!!


「……いや、オーバーキルになるから使う予定はないかな」


 ダーインスレイヴから絶え間なく意思が飛んでくるのだが、俺はそれを実行するつもりはない。

 なぜなら……。


「がふっ、げふっ!」

「うわぁ……。絶え間なく血を吐いていますわ……。呪いですの?」


 地面に寝そべりながら、血を吐き続けるオフェリア。

 俺が何かしなくても、絶賛ダーインスレイヴが呪い中だからである。


 俺の力、必要ないじゃん。


「いや、ダーインスレイヴの癇癪」

「癇癪で死にかけるほどの拷問を受けますの!?」


 げほぉっ! ぐはぁっ! と大げさなまでに悲鳴を上げて血を吐き続けているオフェリア。

 彼女が天使でなければ、俺もひどく罪悪感に打ちのめされていたことだろう。


 だが、天使だから何ら問題ない。

 何とも思わない。


「じゃあ、俺たちは行くから」

「あっれー!? 僕を助けてもらえない感じですかごふぅっ!!」


 さっさと手を振ってこの場を後にしようとすると、オフェリアが足にへばりついてくる。

 吐血しながら組み付いてこないで。


 血で汚れるから。


「訳の分からんゲームまで強制されて、あんたを助けてあげようと思うはずないだろ」

「そのドライなとこも好きですっ♡ とりあえず、一回死んどくですか」


 ダーインスレイヴからのダメージが深刻だったのだろう。

 一度コテリと倒れるオフェリア。


 しかし、すぐに顔を上げる。

 その時には、呪いのダメージはどこにも残っていなかった。


 一度死んで、リセットしたのだろう。

 魂のストックがなければ、到底できないことだ。


 何だこのずるい力は……。


「ふー、復活! で、ラモンはどこに行くですか? 付き合うですよ!」

「いや、いらない」

「冷たい!」


 当たり前のように旅に同行しようとしてくる。

 全力で遠慮したい。


 明確な敵とまではいかないが、今回のような愉快犯を仕掛けてくる女だ。

 身内に入れるには危険すぎる。


 凶悪な不発弾みたいなものだ。

 しかも、時々小さく爆発する。


「別に、俺たちは今目的地があって旅をしているわけじゃないしな」

「じゃあ、目的はあるんですか?」

「一応、俺が蘇った理由を調べようと思っているけど……」


 今のところ、旅の目的はそれだ。

 幸いにして他のみんなも寿命は長いため、それをゆっくりと調べて……。


 終わったら、どこかに定住してもいい。

 そう思っていると……。


「あっ、それなら僕知っているですよ」

「……え?」


 あっさりと、オフェリアは答えた。

 ……え? もう解決?


 知人と会うということもほぼ済んだし、俺の蘇った理由もわかるの?

 やばいな。


 どうやってこれから過ごそう。


「ラモンが生き返った理由、知っているんですの?」

「ええ。知ったからこそ、こうして遊びに来られたわけですから」


 コクリと頷くオフェリア。

 さて、どうやって彼女から聞き出すか。


 悩んでいると、彼女の方から口を開いた。


「あ、じゃあ、ゲームに勝ったご褒美に、教えてあげるですよ。ラモンを蘇らせたのは……」


 ニヤニヤと楽しそうに笑って、オフェリアはその人物の名前を言った。


「天使長ミカエルです」




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