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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
この連載作品は未完結のまま約3年以上の間、更新されていません。
今後、次話投稿されない可能性が極めて高いです。予めご了承下さい。

むかし聖女と崇められ追い出された十四歳の少女は、初対面の青年からお父さんと呼ばれた

作者:ズッキーマ
二人が初めて目を合わせたとき。
 青年は合羽を着てスコップを持っていた。
 少女は土まみれで、立てなかった。
 青年は見下ろしていた。少女は見上げていた。
 雨が降り、雷の鳴る山の中で、はっきりと、目が合っている、と二人とも思っていた。
 少女の傍にはひっくり返った車椅子があり、青年に目を奪われながらも無意識にそちらに手を伸ばすことから、少女が立つどころか歩けないことが傍目にわかる。
 だが青年は、お構いなしに、少女から目を離すことなく、自分たちの高低差を一気に詰めた。斜面を滑り降りたのである。足元には雨で濡れた草が茂っているにもかかわらず青年の体はぶれることなく、舞台役者のように颯爽と少女の元に降り立った。
 スコップを持った、きっと自分よりもうんと背の高い青年が恐ろしく感じ、だが、少女は悲鳴を上げなかった。
 迷いなく青年の足は少女に向かい、なおも距離を詰めてこようとしていたが、絶対に少女は悲鳴を上げなかった。
「――お父さん!」
 雷が再び二人を照らした。轟音は耳を刺すほど大きかった。
 青年は笑顔だった。凛々しい眉を柔らかく下げ、頬を紅潮させ、双眸をとろけそうなほど細めて、少女を見ているのを、まばゆく、雷が映し出した。
 少女は、フレームがゆがんだ眼鏡を掛けなおす。レンズには雨粒がいくつもついて、筋をつくるほどだった。雨が、光の差さない山がこんなにも視界を悪くしているのに、どうしてか青年の笑顔ははっきりと見えたし、それが、歯が震えるほど悔しかった。
「あ……たし、は……」
 十四歳である。
 お前とは初対面である。
 お前のような青い目はしていない。
 そんな風に少年はいくらでも、謎の呼称を否定する言葉を持っていたのだが、うっかり。
「精巣はないし、こないだから子宮もない……」
 少女の現在の環境を決定した原因を、口走っていた。



 不幸に浸る少女と不幸に気づいていない青年(どっちもさびしい)が時間と会話をかけて、お互いの存在によって寂しくなくなる話。
「悪人になり切れないだけで善人でもない」「露悪と偽善」「ぼくをひとりにしないで」
 欠落が満ち足りる、埋められる。誰も死なないハッピーエンド
「お父さん」
2021/10/17 00:23
「うち来る?」
2021/10/17 00:43
一緒に寝る
2021/10/17 01:13
迎え
2021/10/17 22:18
ひと段落
2021/10/17 22:40
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