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-2-「パトロールに行こう!」

ここは人族と魔族の境界に位置する国、『ネクサス』。規模としては、まぁ小国家だろう。


場所が場所なだけに治安の悪いところであったが、勇者アイがここを魔王たちの収容所として決めてから、驚くほどにその治安はよくなった。


そりゃあそのはずで……。



アイ

「魔王くんたち!これからパトロールに行くよー!


じゃあ今日はねぇ、マグナスくんと、ヘリアくん!あと新人のジルくんもね!お仕事覚えてカッコいい男の子になるんだよーっ!」



そう。定期的に勇者が魔王引き連れてパトロールするからである。一般人からしてみたら頼もしい限り、犯罪者からしたら生きた心地しないだろうなぁ。


ふん、しかしこれで治安が良くなるのもまた人間の浅ましいところだが。結局は圧倒的な暴力の前には屈するのだな。



して……名前の呼ばれた中に、『マグナス』と『ヘリア』の名が現れたな。


まず、マグナスを見てみようか?



マグナス

「あぁっ、勇者様!私を選んでいただき光栄です!どうか抱きしめてくださいな!」



アイ

「えー!?また肋骨折れちゃうよ!?」



マグナス

「構いません、勇者様の抱擁で折れる程度の骨なら必要ありませんもの!」



アイ

「そーなのかぁ!分かった、ギューーーー!!!」



妖艶な美女の嬌声とも断末魔とも取れる絶叫が響き渡った。狂ってるでしょ、この女。


これでも彼女は、私よりずっと前に魔王をしていた歴とした強者である。


『闇夜の魔王 マグナス』。影や暗闇を扱う魔法と暗殺術に優れた魔王だった。彼女が現役の魔王の頃は、自分の影にいつの間にか誰かの死体が転がっていたり、一晩のうちに国家が壊滅していたりするのが茶飯事だったらしい。


それが、まさか憎きはずの勇者に尻尾を振る情けない女に様変わりしちゃったって。こんなの魔族のみんなに見せられない!



アイ

「ヘリアくん、ご機嫌いかが!?チュー◯だよー!」



ヘリア

「にゃーん。普通に肉をくれにゃ、ミディアムレア。」



アイ

「贅沢だねー!じゃあパトロール終わったらお昼ご飯ステーキだーっ!」



もっとあり得ない元魔王、ヘリア。ネコ耳と尻尾生えた三毛少女になっちゃってんだけど。


いや、もちろんこんな魔王じゃなかったよ。当たり前だろう、こんなんでなれるほど魔王って楽じゃないから!


『怪獣の魔王 ヘリア』。単純な身体火力で人族を圧倒していた化け物だった。歴代魔王の中でも腕っ節は随一だと思う。


見た目ももう凄かったって聞いてるんだけどな、腕が何本もあったり、身体は空にまで届いてて、歩くだけで国が滅びるみたいな……。



ヘリア

「新人、早く準備するにゃ。ステーキ、ステーキ。」



なにがどうなってこんな……飼い猫になっちゃったんだ!!!



ジル

「狂ってる!ヘリアもマグナスも、魔王の威厳はどこ行っちゃったんだ!?


ここは……なにがどうなってんの!!!」



マグナス

「錯乱してるわね。何度も見た光景、ゲホォ、ね。」



ヘリア

「そんなもんにゃ。」



ジル

「いやいやいや!そんなもんにゃじゃにゃいだろお!」



ヘリア

「へい、噛んだ噛んだ。」



アイ

「かわいーっ!!!」



ジル

「な……ナメるなァ……!!!」



めっちゃ恥ずかしい思いした!最悪だ!


しかしジル、ここでハッと冷静になる。そうか、もしかしてこうやって油断させておいて寝首をかくって算段かな!?


そうだそうだ、今ここには私を含めて40人の元魔王がいるんだ!裏で一致団結してて、レジスタンスを組んでるに違いない!



アイ

「さー、行こうねー!


ねーねー、マグナスくん!おいしいクレープ屋さん見つけたんだぁー!食べよっかー!」



マグナス

「こ、光栄ですわ、勇者様!私、できれば貴方様を性的に食したいものです!あなたのクレープに包まれたバナナから生クリームをガーニッシュ!!!」



ヘリア

「牛もいいけど豚もいいにゃ。お腹空いたにゃーん。」



……レジスタンス、組んでる?


普通にまったり楽しそうな日常送ってない?

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