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52話 現れた脅威。

蛍と境矢が全身に緊張を走らせる数分前。


蛍と境矢が姿を消した部屋に残っていた麦、舞火、轟太の3人は食事を楽しんでいた。


「あ~……手が痛いなぁ……」


箸をテーブルに置いた舞火は気だるそうにそう口にすると麦をちらりと見て、手首を回した。


これは演技である。


麦の気を引くための演技あることは明白であるにも関わらず、肝心の麦はそれに気づかずに舞火の手を取った。


「大丈夫?怪我でもした?それならオレが治すけど……」


「い、いいえ!治さなくていいです!そのかわり……」


麦の暖かい手に自身の手を重ねた舞火は頬を赤く染めて麦を見つめた。


しかし、麦は舞火の恋心に気づいていないようで首を傾げた。


「お箸が持てないから、食べさせて下さい」


麦に箸を渡した舞火は口を大きく開けて、麦が箸をつき出すのを待った。


さすがの麦もこれに感じるものがあり、頬を赤くして頭を掻きながら照れて見せた。


「早く、お願いします」


とても女子高生が(かも)し出せると思えないほどの妖艶な魅力。


口を大きく開ける姿は色っぽく、舞火が着ている浴衣が着崩れしているのも麦を刺激する。


舞火に箸を渡された麦があたふたしていると轟太がテーブルを強く叩いた。


「おい、春下!アニキを困らせるなよ!」


テーブルを叩いた轟太は麦に甘える舞火を強く睨み付けたが、そんな轟太に負けじと舞火も轟太に強く睨み返した。


麦に好意を抱く舞火と麦を慕う轟太。


この2人が麦に抱く感情はプラスなものであるだろう。


だが、だからこそ、ぶつかってしまうのだ。


その人を自分のものにしたいと思ってしまうから。


「困らせる?先輩こそ迷惑ですよ!」


「迷惑だ!?アニキの顔を見てみろ!」


轟太に言われて麦に目を向けた舞火は麦を見つめてると悲しそうな顔を作って麦の腕にしがみついた。


その行動を目にした轟太は口を大きく開けて驚いて見せた。


「麦さん、あたし迷惑ですか~?」


「はっはは……いや~…あの~…」


ベタベタとくっつきながら腕に胸を当ててくる舞火に麦は戸惑いを隠せなかった。


麦は性格上、過剰な推しに免疫がない。


その為、迫る舞火にあたふたすることしかできないのだ。


「アニキから離れろ!」


「いやだ!」


怒鳴る轟太に麦にしがみつく舞火。


場が完全な修羅場になろうとした時、麦は窓の外から僅かな殺気を感じた。


それは強い殺気であり、次第にこちらへ向かってくることがわかる。


「2人共、身を伏せて!」


麦が口を開けた頃にはもうすでに遅かった。


麦の声に気を取られた舞火と轟太は大きく部屋に飛び散った窓ガラスに顔を隠した。


そして、目を丸くした。


「ワタシニ、足ヲ……ソノ…綺麗ナ足ヲ……」


窓ガラスをぶち割ってきたのは白い衣を纏った長い髪の女であったが、その様子は奇怪であった。


“奇怪”その言葉の通り女の言動は理解できない。


しかしながら、3人が目をやったのは女の下半身であった。


長く伸びた尻尾のように伸びていて、それは人のものではないとわかる。


いや、その体つきが麦達にそう思わせたのではない。


遺伝子レベルで目の前にいる女が人間でないことが理解できた。


「なに………この人……」


舞火は腰を抜かして動けなくなっていた。


それは無理もない話であるが、喧嘩で百戦錬磨の轟太も恐怖を抑えられないでいた。


「こいつは……」


その中でも麦だけが冷静を保つことができていた。


「お前は何者だ?アシってなんだ?」


「オ前デハナイ。オ前ダ……」


女は麦を見て首を振ると舞火を指差した。


そして、女は素早い動きで舞火に近づくと舞火をその腕に巻き付けて窓から飛び降りて行った。


よく見ればその腕は長く、その動きは素早すぎて麦も轟太も舞火が連れ去られたことに気付くことができなかった。


女が部屋から消えて数秒後、麦が口を開いた。


「マイカちゃん……」


「アニキ…春下が………」


「わかってる!ゴウタはこのことをホタルちゃんとキョウヤに伝えてくれ」


「アニキは?」


「オレはマイカちゃんを追う!」


麦は険しい表情を作って、破れた窓からその身を投げ出した。


麦達のいる部屋から玄関までは高さ5m以上はある。


勢いよく身を投げ出せば骨折は確実であるが、麦はそうはならなかった。


窓から身を投げた麦は地面に着地をするとそのまま、森へと走っていった。


麦の力である。


麦は着地と同時に自身の足を治したのだ。


「マイカちゃん……」


森へ走る麦の心にあるのは舞火のことであった。


自分があの場にいて何もできなかった。


その罪の意識が麦を走らせているのだ。


その後、すぐに部屋へとやってきた蛍と境矢は目を丸した。


「何が…あったの?」


「それが……春下が訳のわからん女に……」


蛍は轟太の話を聞いて目を丸していたが、境矢は違った。


厳しい顔をして追い込まれた表情を浮かべている…。

次回の更新は12月4日(火)です!

【登場人物】

花形 麦→修復屋ウィートの修復士。

半 重春→修復屋のオーナー。

水野 蛍→蜜柑高校1年1組。父親を探している。

春下 舞火→蛍の友達。蜜柑高校の生徒。

月並 零花→病気が完治。

嵐山 轟太→学校の問題児?

嵐山 雪子→轟太の6つ下の妹。

青野 温子→ゴミ屋敷の住人。

青野 槙子→ゴミ屋敷の幽霊。

剣持 境矢→??

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