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49話 予想外の好機。

境矢が修復屋に訪れてから1日が経過した。


この日の修復屋には麦しかおらず、重春は朝早くから老人会の集まりに行くために店に姿を見せなかった。


「さて、そろそろ行くか」


誰もいない店内に目を通した麦はリュックを背をおって店に鍵を閉めて、待ち合わせの駅を目指した。


待ち合わせ時間が15時であるが、その10分前に麦が駅に着いた頃には境矢が駅で待っていたが、待っていたのは境矢だけではなかった。


「オッス、早いな……ってなんで皆が?」


麦が境矢の隣を指して驚いたのは無理もない。


なぜなら、蛍、舞火、轟太の3人も待ち合わせ場所にいたからである。


「重春さんにムギさんのことを頼まれたので」


「麦さんと出掛けられるなんて最高です!」


「アニキのことは俺が守りますよ!」


蛍も舞火も轟太もその口調から浮かれているようで麦は不安を抱いたが、そんな不安はため息と共に外へと吐き出した。


「おやっさんに頼まれたんなら…仕方ないな。皆で行くか」


麦がため息を溢して笑みを溢すと蛍と舞火と轟太の3人も笑みを溢して喜びを表に出した。


「さて、それでは行きましょうか」


盛り上がる4人に手を叩いた境矢は4人を駅へ促すとそのまま電車へと5人で乗り込んだ。


麦達の町から電車で50分、そこからバスに乗り換えて40分行ったある小さな森に今回の依頼物がある。


その間に一同は自己紹介などを済ませた。


長時間の移動を終えてバスから降りた境矢はバス停から見える小さな森を指差して見せた。


「あの森には綱があります。あと…皆さん、僕から離れないで下さいね」


その境矢の言葉は意味深であり、蛍の警戒心を強めた。


「それはどういうことですか?」


「僕はここへ何回か来てますから、ここの土地勘は皆さんよりはあるってことですよ。さぁ、行きましょう」


蛍の問い掛けをさらりと避けた境矢は麦達の前に立って歩き出した。


長時間の移動のせいか、皆、緊張感を忘れているようで森に入っても世間話に盛り上がったが境矢だけは違った。


自分の感覚を研ぎ澄ませているようで、警戒しているようで落ち着かない様子であった。


そんな境矢に麦は気づいていたが、あえて麦は声をかけることはしなかった。


森に入って数十分。


麦達の前に1mほどの黒い石が姿を見せた。


「この石です。そして、ここに巻かれている綱を治してほしいんですが……」


「わかった、任せてくれ」


麦は何も怪しむことなく、綱に近づくと手をかざした。


麦が綱に手をかざすと麦の手から黄金の光が放たれ、切れた綱は次第に元通りになっていく。


「さすが、アニキだぜ!」


「はぁ…これでお出掛けも終わりか……」


麦に対して尊敬を口にする轟太とは反対に舞火はこの旅の終わりを悟って露骨に口にした。


「まぁまぁ。そもそも、私たちは遊びに来た訳じゃないし」


「そうだけど……」


へこむ舞火を励ますように蛍は舞火の肩を叩いた。


そんな3人を置いて麦は順調に綱の修復をすすめて、わずか数秒で修復を終わらせてしまった。


その様子を境矢は怖い顔で見つめていた。


「キョウヤ、終わったよ」


「あっ……ありがとうございます、助かりました」


「じゃ、帰ろうか」


その麦の言葉に舞火は深いため息を溢したが、次の境矢の言葉で舞火の深いため息は不発に終わる。


「実はバスが1日に2本しかなくて……」


「それはつまり……?」


境矢の言葉に一番に反応したのは舞火であった。


「はい。旅館を僕のほうで用意させてもらったのでそこで体を休めましょう」


まさかの言葉に麦は言葉をなくしたが、舞火と轟太はやったー、と声を出して喜びを表に出した。


そんな2人とは違って蛍は冷静に振る舞っているが、内心は穏やかではない。


麦と一夜を共にできることに対して胸をうるさく鳴らしていた。


「はぁ…。そうだな、じゃ、案内してくれるか」


「わかりました。それでは行きましょう」


綺麗に治った綱を一瞥した境矢は一瞬、険しい顔を浮かべると笑みを浮かべて麦達を旅館へと案内した。


旅館は歩いて数分の所にあり、古い屋敷であるがそれが古風であり、落ち着いた雰囲気を感じさせられる。


旅館へついた麦達は旅館の落ち着いた雰囲気を感じると同時に旅館の仲居に連れられて部屋へと向かった。


そして、部屋について麦達は驚きの声をあげた。


「えぇ!皆、同じ部屋なの!?」


「はい、すみません。まさか、花形さん以外にも人が来ると思わなかったので……」


声を合わせて驚いた麦、蛍、舞火、轟太の4人は境矢にそう言われると何も言えなくなった。


こうなったのも重春の気遣いが原因なのだから。


しかしながら、これはチャンスと感じている人物が2人いた。


そう、それは言わずと知れた蛍と舞火である。


舞火は鼻息を荒立てて露骨に興奮を表に出しているが、蛍は頬を赤くするだけでそれ以上、感情を表に出すことはなかった。


「ま、とりあえず、疲れたから温泉にでも行くか」


やはり、麦は呑気であり恋の嵐にも気づかずにタオルを肩に掛けると部屋を後にした…。

次回の更新は11月24日(土)です!

【登場人物】

花形 麦→修復屋ウィートの修復士。

半 重春→修復屋のオーナー。

水野 蛍→蜜柑高校1年1組。父親を探している。

春下 舞火→蛍の友達。蜜柑高校の生徒。

月並 零花→病気が完治。

嵐山 轟太→学校の問題児?

嵐山 雪子→轟太の6つ下の妹。

青野 温子→ゴミ屋敷の住人。

青野 槙子→ゴミ屋敷の幽霊。

剣持 境矢→??

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