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46話 封印解除。

麦達が住む町から数十キロ離れたある森には大きな岩がある。


その岩はただの邪魔な岩ではなくこの数十年間、しっかりとその役目を果たしてきた。


そう、“封印石”として。


「はぁ……綱が切れているな。どうやら、封印は解かれているようだな」


封印石に巻かれた太い綱が切れていることを確認した剣持(けんもち) 境矢(きょうや)はため息を溢した。


「一刻も早く、“奴”を見つけないといけないな。あと、この封印石の修復もしないと……」


決して、境矢は修復術に長けている訳ではない。


むしろ、その逆である。


しかし、封印石の修復は必要であることは確かである。


この封印石に封印されていた“者”は決して非力ではない。


だからこそ、封印するという行為に至ったのだ。


もしも、境矢が“その者”と対峙した時、封印石が修復されているほうが都合が良いのだ。


「とりあえず、教団に連絡をするか。あと、付近の町も見ておかないとな」


境矢はポケットから携帯電話を取り出すと周辺の地図を画面に映して辺りの町を確認した。


「さてと、行きますか」


町までの道のりを頭に入れた境矢は封印石を背にして町を目指して歩き始めた。


その頃、修復屋ではいつものように蛍達が居座っていた。


学校へ行って、修復屋に立ち寄るのが蛍達の日課になっていた。


「あ~、わからないよ!」


カウンター席に座りノートを広げる舞火は頭を抱えて苦しみの声を吐き出した。


そう、蜜柑高校ではそろそろ中間テストが行われようとしていた。


その為、蛍達は日々、修復屋で勉学に励んでいた。


「舞火、ここだよ。ここのこの公式を使えばこの問題は解けるよ」


数式に苦しむ舞火を見た蛍はすぐに教科書に書かれている数式を指差して解き方を教えるが、舞火の頭はそれについていけていないようだった。


「うーん……」


「どう?解けそう?」


「ダメ。蛍、休憩しようよ……」


「はぁ…仕方ないな」


姿勢を崩してカウンターで踞る舞火を見た蛍はため息を溢しつつも、笑みを溢して背伸びをした。


そんな2人とは反対に隣に座る轟太は鬼の形相で教科書に目を通している。


「嵐山先輩は休憩しないんですか?」


少し身を退いて真剣に教科書に目を通す轟太に蛍は休憩を促したが轟太はそれどころではなさそうであった。


目を血走り、くまが目のしたに刻まれている。


「駄目だ。この試験で赤点だったら俺は……俺は……留年なんだよ」


轟太の放った留年という言葉に蛍も舞火も声がでなくなった。


轟太は学校でも不良で通っており、留年したとしても自業自得である、と多くの者は思うだろう。


だが、轟太の血走った目を見た蛍と舞火は同情するものがあった。


「御愁傷様です」


しかしながら、蛍と舞火の対応は冷たく、2人は手を合わせて声を揃えると轟太の留年を悟った。


「ちょっと、まだ希望はあるんだけど!?」


蛍と舞火の態度に精神を乱す轟太に重春はそっとコーヒーを差し出した。


「これは……?」


「ワシからの差し入れじゃ。ほら、君達も飲みなさい」


轟太にコーヒーをすすめた重治は感動して喜ぶ轟太を見て笑みを溢すと蛍と舞火にも同じようにコーヒーを差し入れた。


「すみません、頂きます」


「ありがとうございます!」


感謝の言葉を口にした蛍と舞火は重春がいれたコーヒーを口にして疲れた体を癒した。


「ほれ、コムギ。お前さんもどうじゃ?」


蛍達の座っているカウンター席から少し離れたテーブルで麦はノートパソコンを睨み付けていた。


その姿はまるで何かに悩んでいるようで、ビジネスマンを連想させる。


「いや…おやっさん、オレはいいよ」


いつもフワフワとした麦が休憩を断り真剣な表情で悩んでいる。


その様子に重春は驚きを隠せなかったが、それ以上に嬉しさが込み上げてきた。


「コムギ、何を悩んでおるんじゃ?」


「あぁ…。この間、作ったホームページが好評でさ、それで依頼の確認をしてるんだよ」


「そうか、そうか。それは感心じゃな」


「うん、この間も迷子になった犬を探しに行ってさ……」


「迷子になった犬…じゃと?」


「あ……」


麦は重春に仕事の内容を伝える時と伝えない時がある。


その違いは報酬を貰っているか、貰っていないかである。


損得で物事を考えない麦だからこそ、無償でその力を使う時がある。


だが、それは重春の怒りをかう行為であると麦はわかっているからこそ、麦は重春にそれを伝えないのだ。


「ワシはそれを聞いてないんじゃが……」


「いや…言ってたと思うけどなぁ~…」


「このバカもん!!」


何としても、しらをきろうとする麦に対して重春はげんこつをお見舞いした。


その頭蓋骨を砕くような音は蛍、舞火、轟太に恐怖を与えて3人の顔を青くさせた。


「痛い、痛い、痛い……。これはヤバいやつだ」


頭をおさえて痛みを堪える麦を目にして重春は大きくため息を溢して失望を露にした。


そんな最悪なタイミングで修復屋の扉が開いた…。

次回の更新は11月11日(日)です!

【登場人物】

花形 麦→修復屋ウィートの修復士。

半 重春→修復屋のオーナー。

水野 蛍→蜜柑高校1年1組。父親を探している。

春下 舞火→蛍の友達。蜜柑高校の生徒。

月並 零花→病気が完治。

嵐山 轟太→学校の問題児?

嵐山 雪子→轟太の6つ下の妹。

青野 温子→ゴミ屋敷の住人。

青野 槙子→ゴミ屋敷の幽霊。

剣持 境矢→??

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