表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/130

40話 言葉の力。

その無邪気に喜ぶ様はまさに、普通の女の子である。


その為、肩に入っていた力が蛍の中から抜けた。


「それで、宝探しって何を見つけるの?」


『それはねぇ~……』


嬉しそうな顔を浮かべながら幽霊は体を揺らして蛍の質問の答えを焦らした。


それほどまでに遊びたかったのか。


女の子の幽霊の揺れる体を見て蛍は心を和ませた。


『指輪!』


「指輪!?」


しかしながら、その女の子の発言で蛍は一気に現実へと引き戻された。


女の子の幽霊は蛍を見てクスクスと笑っているが蛍にはそんな余裕はない。


指輪を探す。


それは修復屋にきた依頼と同じであり、女の子の幽霊がそれを偶然、口にしたとは蛍には思えなかった。


そう、女の子の幽霊は修復屋と温子との会話を聞いていたのだろう。


『どうしたの?』


色々な憶測が飛び交う蛍の頭の中に女の子の幽霊の声が飛び込んできた。


それはまるで、鎌を掛けられているようで蛍はゾッとしたがそれを決して、態度に表さなかった。


「ううん。じゃ、探そう。先に見つけたほうが勝ちってことでいいの?」


『うん。そうだね、先には指輪を見つけたほうが勝ち!』


そう言って女の子幽霊は無邪気に笑うと蛍に背を向けて、周りに目を向けて指輪を探し始めた。


そんな女の子の姿を見て蛍はその場にあるゴミを掻き分けて指輪を探し始めた。


指輪を探していくら、体を動かしても蛍の頭の中では女の子幽霊についての疑念は解けない。


なぜ、指輪を探すのか。


それについて、明確な理由が蛍にはわからない。


「あっ、おい。こんな所にいたのか」


「あっ、嵐山先輩……」


轟太から姿を消して10分以上の時間は経過していた為、轟太は蛍を心配して部屋を移動してきた。


『あ!さっきの大きな男の人だ!』


轟太の姿を見て轟太を嬉しそうに指を指した女の子の幽霊は轟太に近づいて轟太をジッと見つめた。


だが、轟太は女の子の幽霊に気づかず蛍に目を合わせている。


「俺は麦のアニキからお前のことを任されてるんだ。ほら、ゴミ袋だ」


「あ、ありがとうございます」


少し不機嫌そうにして轟太は自身の手に持つゴミ袋を蛍に手渡した。


ゴミ袋を手渡された蛍は反射的に轟太に感謝の言葉を口にしたが、実際はそんなことは思っていなかった。


轟太を見つめる女の子の幽霊が気になって仕方なかった。


「さぁ、掃除を始めようぜ」


轟太は蛍にゴミ袋を手渡すとその場のゴミを片付け始めた。


それでは意味がない。


蛍は自分がわざわざ部屋を移動した意味をその瞬間、なくしてしまった。


そして、この場を女の子の幽霊と共に離れる方法を必死で考えた。


「あの嵐山先輩…部屋を別れて掃除したほうが良いと思うんですが」


「いや、1つの部屋にどれだけゴミがあると思ってんだ。2人で掃除したほうが早いだろう。それに俺は麦のアニキからお前のことを……」


轟太の意見は正論であり、蛍は納得するしかなかった。


その後も麦の名前を出して轟太は声を張り上げてたが蛍はそれを無視するように手を動かした。


どうすれば自然と轟太から離れることができるのだろうか。


蛍はそれにこだわっていた。


なぜならば、霊に対して何の免疫を持たない轟太がもし、霊に憑かれたら。


それは大惨事になることは確実である。


女の子の幽霊にその気がないうちになんとしても蛍は轟太から離れる必要がある。


それも、女の子の幽霊を連れて。


「…そう言えばムギさんは作業、進んでいますかね?」


「あぁ、それなら大丈夫だ」


「えっ、なんでそんなことがわかるんですか?」


「さっき、見てきたからだ」


その轟太の答えに蛍は思わず、ため息を溢してしまった。


麦達の作業が進んでいることは嬉しいことではあるが、それでは轟太から距離を取れない。


もしも、麦達の所に行っていなかったとしたらそれを出汁に轟太と距離を取れただろう。


そんなことを考えているうちに蛍の中には大きな焦りが生まれていた。


何とかしなければならない。


一般人を巻き込んではいけない。


そんな思いが蛍を焦りの中に埋めていく。


『お姉ちゃん、どうしたの?』


そして、いつも決まったタイミングで女の子の幽霊は蛍に声を掛けてくる。


それはまるで、蛍の心の乱れを理解しているように。


「な、なにも……」


それを蛍も理解しているようで蛍は思わず声を震わせてしまった。


そして、それに反応したのは女の子の幽霊ではなく轟太であった。


「うん?なんだ?」


「いえ……独り言です。すみません」


轟太を誤魔化したことで蛍の焦りはピークをむかえた。


“幽霊”というものを轟太に説明したほうが動きやすくなることは間違いない。


だが、それは本当に正しいのか。


パニックを起こすのではないか。


蛍が再び、思考の海に溺れ始めた頃、女の子の幽霊は声を発した。


『大丈夫。私はあなた達に害を与えないから。だから、怖がらないで』


怖がらないで。


そのセリフはまるで、呪いの言葉のようであった…。

次回の更新は10月13日(土)です!

【登場人物】

花形 麦→修復屋ウィートの修復士。

半 重春→修復屋のオーナー。

水野 蛍→蜜柑高校1年1組。父親を探している。

春下 舞火→蛍の友達。蜜柑高校の生徒。

月並 零花→病気が完治。

嵐山 轟太→学校の問題児?

嵐山 雪子→轟太の6つ下の妹。

青野 温子→ゴミ屋敷の住人。

謎の子ども→ゴミ屋敷に現れた幽霊?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ