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36話 ゴミ屋敷。

麦、蛍、舞火、轟太の4人がゴミ屋敷で作業をはじめて1時間が経とうとしていた。


しかし、4人が作業している場所は未だにゴミ屋敷の玄関であった。


それも無理はないだろう。


玄関に溢れだすゴミの量を見ても4人では片付けることは困難なことはわかる上に4人は素人である。


ゴミを袋に入れて、それを処理するという行動の1つ1つがぎこちない。


「ふぅ……。しかし、量があるな」


腰を曲げてゴミを片付けていた麦は不意に肩にかけた白いタオルで汗を拭き取りため息を溢した。


その麦の行動に便乗するように蛍、舞火、轟太の3人も手を止めてため息を溢した。


「そうですね。こんな量、普通なら業者に頼むはずですけどね」


蛍の言うことは最もである。


修復屋は数年前から存在していた、といってもその一般的認知度は非常に低く、蛍が修復屋を知ったのも最近である。


恐らく温子がホームページを見て依頼してきたことは蛍にはわかっていたが、それでも腑に落ちない部分もあった。


「確かに。麦さんは頼りにはなりますけど……。それとこれは別って感じがするよね」


蛍に続いて舞火も温子が修復屋に仕事を依頼したことに疑問を持ち始めていた。


ホームページには修復屋の仕事概要が書かれている。


そして、何よりも従業員は2名としか書かれていない。


それにも関わらず、ゴミ屋敷の中に埋る指輪を探すことを温子は修復屋へ依頼した。


そこに何か理由があるのか、ないのか。


「おい、おい!麦のアニキだから、頼んだに決まってるだろ!この世で最も頼りになる人だぜ!」


麦を一番に慕う轟太は大きな声をあげて麦の信頼を口にした。


そんなことは轟太が言わなくても蛍も舞火も知っているし、何よりもそれを感じている。


しかし、現実的な問題として信頼と仕事効率は別の話になる。


「いや~。そんなオレって頼りになるなんて。なんか照れちゃうな」


轟太に褒められて、嬉しそうに頭を掻く麦を見た舞火は轟太のその行動に嫉妬を覚えたのか轟太と同じように麦を褒め始めた。


「あたしだって、麦さんはこの世で1番、頼りになる人だって思ってますよ!」


その舞火の行動は麦への好感度を上げる為のものであり、舞火の本音なのだろう。


だが、麦は照れて頭を掻いてるだけで舞火の恋心には気づいていないのだろう。


「さぁ!早く、玄関のゴミを片付けましょう!」


いつの間にか麦を褒める大会のように盛り上がっていた雰囲気を蛍は手を叩いて壊して見せると、3人に声をかけた。


蛍のその声を聞いた麦、舞火、轟太の3人は蛍に向けてやる気のない返事をすると再び、各々にゴミ袋を持って作業を開始した。


それから2時間が経った頃、ゴミ屋敷の玄関にはゴミがなくなっていた。


さすがの高校の蛍や舞火や轟太も作業での疲労が蓄積されており、膝をおってその場で動けなくなっていた。


「大丈夫か?」


「は、はい……。でも、ちょっと休憩を下さい」


中でも一番に追い込まれていたのは舞火であった。


舞火は麦に話し掛けられたのにも関わらず、麦と目を合わせることはせず、口から泡を吐いてその場で倒れた。


「舞火!大丈夫?」


「……うん」


ぜんぜん大丈夫ではない。


舞火の体を支えた蛍はそう思った。


これにはさすがの轟太も焦りを隠せず、麦に休憩を提案した。


「アニキ、これは一旦、休憩したほうがいいんじゃないんすか?」


「うーん……そうだな」


この作業ペースでは今日中にゴミ屋敷の中の指輪を見つけ出すことができない。


それを麦は感じていた為に麦はなかなか休憩することを提案することができないでいた。


だからこそ、麦は自身の力を活用することを決めた。


「マイカちゃん、手を出して」


「え……?」


麦が何をしようとしているのか、舞火にはわからなかったが、舞火は麦を信じて手を差し出した。


すると、麦は舞火の差し出した手を優しく握って見せた。


舞火はそんな麦の行動に顔を赤くしたが、すぐに自身の体の変化に気づいた。


「あれ?なんか、疲れが吹き飛んだ」


「えっ!?どういうこと?」


舞火の言っていることが理解できない蛍は首を傾げた。


「さぁ、ホタルちゃんもゴウタも作業を続けよう!」


急に元気になった舞火を見て不思議そうにする蛍と轟太の肩に手を置いた麦は2人に笑みを溢すとゴミ屋敷の中へ入っていった。


その瞬間、蛍と轟太の中に蓄積されていた疲れがなくなった。


いや、正確に言えば失った体力が体に戻ったと言ったほうが良いのかも知れない。


「これって…もしかして……」


「あぁ、間違いない。アニキの力だぜ」


麦の力の応用の凄まじいものを感じつつ、麦に感動を覚えた蛍と轟太は麦を追うようにゴミ屋敷の中へと足を進めたが、その中には地獄が広がっていた。


「あ……」


さすがの麦も声を出すことができないほどの光景であり、これがゴミ屋敷なのだ、と実感させられた。


玄関以上のゴミの量。


放たれる異臭に不快感。


そう、これからがゴミ屋敷の本番なのである。


ここからがゴミ屋敷なのだ…。

次回の更新は9月25日(火)です!

【登場人物】

花形 麦→修復屋ウィートの修復士。

半 重春→修復屋のオーナー。

水野 蛍→蜜柑高校1年1組。父親を探している。

春下 舞火→蛍の友達。蜜柑高校の生徒。

月並 零花→病気が完治。

嵐山 轟太→学校の問題児?

嵐山 雪子→轟太の6つ下の妹。

青野 温子→ゴミ屋敷の住人。

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