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34話 宝探し。

麦と蛍がホームページを作成して数日。


せっかくの週末にも関わらず、蛍と舞火と轟太の3人は麦に呼ばれて町のあるゴミ屋敷の前に立っていた。


「これは……一体……」


蛍は目の前にあるゴミ屋敷を目にして喉から絞り出すように声を出した。


麦から連絡が来たのは昨日の夜だった。


蛍もまさか、麦からメールが来るなんてことを思っていなかった為に昨晩、はしゃいだことは間違い。


『力を貸してほしい』


麦から蛍へと送信されたメールの内容はそれだけであり、普通ならばその内容を聞くところだが、舞い上がった蛍は麦にすぐに承諾のメールを送信してしまった。


そして、現在に至る。


蓋をあけて見れば、目の前にあるのはゴミ屋敷であり、おまけに舞火や轟太まで呼ばれている。


自分1人だけだと思い、舞い上がっていた自分があまりにも恥ずかしい、と蛍は感じていた。


「はぁ…麦さんから連絡が来たから舞い上がってたのに……」


ゴミ屋敷に腰を抜かした蛍の横で舞火は露骨に自身の欲求を口にして、へこんで見せた。


きっと、舞花のように素直にへこむことができれば蛍も少し楽になるのだろう。


「くぅぅぅ~…。麦のアニキに頼られていると思うと胸が熱くなるぜ!」


蛍と舞火がため息を溢してへこむ中、轟太は拳を握り締めて麦への尊敬とやる気を燃やしている。


これが男の友情なのだろうか、と蛍と舞火は轟太を横目で見るとその暑苦しさに身を退いた。


そんな3人の前に3人をゴミ屋敷へと誘い出した男が現れた。


「オッス!今日はよろしく頼むよ!」


麦は片手をあげて蛍、舞火、轟太の3人に笑みを溢して挨拶をした。


いつもと同じ、のんびりとした麦を見た3人は一気に麦との距離を積めると1人1人、自分の想いを麦にぶつけた。


「ムギさん、これはどういうことですか?」


「麦さん!今日はデートだと思ってスカートはいてきたんでよ!!」


「アニキ!俺はアニキに頼られて、感激っす!」


さすがの麦も3人からの一斉攻撃には対応できず、頭を掻いて苦笑いをすることしかできなかった。


だが、そんなことよりも蛍と舞火は一番に麦に確認しなければならないことがあった。


そして、それを口にしたのはお洒落なスカートをはいてきた舞火だった。


「それよりも麦さん……まさかとは思いますがこのゴミ屋敷を掃除するとか言わないですよね……?」


「察しが良くて助かったよ。うん、掃除するよ。だから、皆を呼んだのさ」


平然と答える麦に対して蛍と舞火は露骨に嫌なを顔をしたが、頼られていると勘違いした轟太を雄叫びをあげて興奮している。


「ま、掃除すると言うか…正確には“探す”かな」


「探す!?」


麦の意味深な言葉に3人が反応を見せた瞬間、目の前のゴミ屋敷の玄関と思われる所にある扉が開いた。


そして、中から姿を表したのは1人の老人であった。


「これはこれは、あなた達が修復屋さん?」


「はい。ご依頼を頂きありがとうございます。青野(あおの) 温子(あつこ)さん」


ゴミ屋敷から姿を見せた老人に蛍と舞火と轟太の3人は会釈をしたが、麦の言った“探す”の意味については理解できないでいた。


「それで、ご依頼の内容ですが……」


麦は笑みを浮かべながらもしっかりと礼儀をつくし、温子と話を進め始めた。


「えぇ、内容は“指輪探し”です」


それはあまりにも難しい依頼であることは麦がわかっているだろう。


目の前のゴミ屋敷は屋敷に入るまでもないほどにゴミが溢れだしている。


それはまさに、屋敷の中にゴミが溢れていることを意味する。


そんな屋敷の中から“指輪”を見つけ出すことは困難であることは言うまでもないだろう。


「麦さん、さすがにそれは私達がいても難しいんじゃないんですか?」


蛍はとっさに依頼の困難さを麦に口にしたが、それについて麦が口を開ける前に依頼者である温子が口をあけた。


「明日…うちの旦那が帰ってくるのよ。そう、結婚記念日なのよ。もう、50年になるかしら……。あの人と一緒になって」


今にも泣きそうな顔で旦那を語る温子。


その語りから温子の旦那がなぜ、家にいないのかが何となく蛍には理解できた。


そして、ゴミ屋敷に埋まっているだろう指輪が持つ、その価値の大きさも理解することができた。


きっと、麦もこの依頼が困難であることを理解したからこそ、3人を呼んだのだろう。


頼りになる3人を。


「うん。今、温子さんが言った通りだ。オレ達が今、すべきことは目の前の屋敷から指輪を見つけ出すことだ」


温子の想いを知った上で改めて、麦の言葉を耳にした3人は緊張感を覚えた。


ゴミ屋敷を掃除するだけの単純な作業ではないことを知ったからである。


「おっしゃあ!!やりましょう、アニキ!」


「そうですね。あたし頑張ります!」


轟太と舞火はやる気を口にして、蛍は麦に目を合わせて深く頷いて見せた。


3人のやる気を確認した麦は3人に感謝の言葉を口にして作業服を手渡して、着替えるように言った。


これから始まるのは宝探しである。


家族の絆、という大きな宝物を探す宝探しである…。

次回の更新は9月17日(月)です!

【登場人物】

花形 麦→修復屋ウィートの修復士。

半 重春→修復屋のオーナー。

水野 蛍→蜜柑高校1年1組。父親を探している。

春下 舞火→蛍の友達。蜜柑高校の生徒。

月並 零花→病気が完治。

嵐山 轟太→学校の問題児?

嵐山 雪子→轟太の6つ下の妹。

青野 温子→ゴミ屋敷の住人。

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