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こぼれた水は返らない  作者: 瑚ノ果
3/6

「やり直す」ためには

 相手の立場になって考えられるように…


うん。やっぱり実際に自分で体験しないと、分からないコトってあるよね?


個人的に、ハムラビ法典、万歳!


やられた以上にやり返しちゃダメですよ!=

やられたのと同等までは… やり返して良し!


 あくまで個人的見解デス…


「そう、ですの。お話は分かりました。

正直、やり直すなど無理だと思っているのですが… そこまでおっしゃるのなら。

(わたくし)もここ半年ほど、いろいろと考えておりましたの。

でしたら。 3つ、お願いをさせてくださいませ。

そのお願いを叶えていただくかどうか、聞いたうえでそれでもまだやり直したいと思うかの判断は、貴方方にお任せします」


「本当か」「分かった」「ありがとう」「どんなことだ?」

「そうですわね、ちょっと口では説明が難しいのですが…

… あ、そういえば、お出ししているお茶、ちょっと珍しい物ですの。

せっかくですから、味わっておいて下さいな」

「ああ、すまない」



そうして私達は、出されていたお茶を慌てて飲み干した。

我らの過ちによって、会うことを拒否されていたコルディリアがせっかく用意してくれたものだ。

感謝して… !?


「ぐふっ ゴホッ… うう…」

「う… ゲェ…」


 何だ!? 茶が流れ込んだところがカッと熱くなり、胃から何かが込み上げてきて…

聞こえている限り、あれを飲んだ全員が、似たように苦しんでいて…


「あらあら」


ゆったりと自分の目の前のお茶に口を付けながら、笑顔を消したコルディリアは、苦しみ出した我らを見ても驚くでもなく ただ淡々と新しいカップに何かの液体を注いで…


「どうぞ。解毒剤ですわ。お飲みになって」


灼き付くような苦しさに、本能的にそれを掴んで口に流し込んだ。

舌に感じる苦さに 一瞬迷いはよぎったものの… 先ほどまで感じていた食道の熱さや吐き気はすぐに消えていき…


どうにか楽になって安堵したが… 落ち着いたら、先ほど言われた言葉の意味が頭に…

 『解毒剤』?

 え…? なら、先のお茶には…


「まずは、1つ目のお願いですの。

ちょっと毒を飲んでみて下さいませ。

といいますか、飲んでいただきました。ええ、先ほどのお茶に入れておりましたの」

「え……?」

予想は出来ていたが、事実をはっきりと口に出され、驚愕と疑問の呻きが漏れる。

私だけでなく他の者たちからも。


「そして2つ目のお願いですの。

先ほど毒を飲ませたことを、許して下さいな」

「は…?」


小首を傾げ無垢とすらいえる笑顔を浮かべて、さらなる想像を超えた願いを口にされ、思わず呆然とした声が漏れる。

表情から察するに、他の者も似た様な心境だろう。


 …え? コレは誰だ…? 


 悪びれもせず我々に毒を盛り、それを許せなど…

 しかも、自分の言い分が受け入れられることを、これっぽちも疑っていないような笑顔で… 



「何が問題ですの?

解毒剤は差し上げましたわよね? 今は、どうもありませんでしょう? 

万が一にも問題が起こりませんように、何度も実験を重ねて、安全性は徹底的に調査いたしておりますもの。

毒を飲んだという事実だけで、なにも変わっておりませんもの。元の通り(・・・・)ですわよね?

でしたら。無かったことになるのでしょう? 

ふふ。 1年前私が行ったとされ、今は訂正されて無かったことになったという犯罪のように」


 ええ、皆さんおっしゃってましたわよね。

『公衆の面前で責め立てた罪は誤りだったと訂正した』

『名誉は回復した』

(だから問題は無いだろう、無かったことにしてくれるだろう、と)


 やれやれ。人の口に戸は立てられませんわ。

たとえ原因が冤罪だろうと、公衆の面前で婚約破棄をされたという事実自体が、大層な醜聞ですのに。


「それに。よしんば何らかの影響が残ったとして… それの何が問題ですの?

皆さん、ずうっと、ついさっきもおっしゃって下さってたではありませんか。

『どのような罰でも甘んじて受ける』

『私の気が済むなら、信頼してもらえるなら、どんなことでもする』と。

 あれは嘘でしたの?

それとも、まさかとは思いますけれど、自分たちで決めた、自分たちが受け入れられる範囲だけの、償いとやらをするつもりだったのでしょうか?」


 先ほどまで謝罪や愛を囁いておりながら、まるで化け物を見るかのような目になり、さらに私が言葉を紡ぐごとに青ざめていく彼らを見て…

 滑稽さを感じながらも、心はどんどん冷えていきます。


失望? いえそれはありませんわね。はなから期待などしていなければ、失望もないでしょう?

単に確認をしているだけですわ。 愚かだった自分のね。 そして、事実の。



 先ほどから浮かべている無邪気そうな笑顔のまま、こてん、と首を反対側に倒して、さらに問いかけます。


「それにしても。皆さんとても意外そうにしてらっしゃいますのね。一体どうしてですの?

私が、このようなことをするとは思っておりませんでしたの?

まあ!? なぜ、そのような信頼をお持ちでらっしゃいますの?

1年前におっしゃってらしたではありませんか。

『おまえがそのような人間だとは思わなかった』

『他人を妬心で蔑み、虐げ、殺そうとするような人間』だと。


ええ。私も1年前までは、そのようなことや今回のようなことをするような人間では無い、と信頼いただけていたと思っておりましたが… 信じていただけませんでしたのよね? それまでに何年ものお付き合いがあったにも関わらず。

なら私は、『他人を蔑み、虐げ、殺そうと』しかねない人間と思われているのでしょう?

今回の事に何の不思議がありまして?」



「このような手段になったことはお許し下さいな。

1年前のことで、私にも、貴方方のことが分からなくなってしまっておりまして。

一体どうすれば、私の心を理解していただけるのか分からず… これならきっと、と。


 ええ、リアーオ様。

以前は、お互いに愛し合い、信頼していただけていたと思っておりましたわ。

まさか、堂々と不貞をなさり、しかも婚約者に無実の罪を着せ、公衆の面前で晒し者になさるような方だとは思っておりませんでしたわ。

 ああ、謝らないで下さいませ。

きっと成婚間近で、やらなければならない事が多く、仕事を放りだしてまでべったりとお傍に付いておりませんでした私の分別が、いけませんでしたのね?


 オセロン様。ええ貴方は、寡黙で無骨なところはありましても、正しく判断をし、正義を尊ぶ方だと思っておりましたわ。

まさか片方の言い分だけを鵜呑みにし、一方的な判断を下し、無抵抗な女性に暴力を振るうような方だとは、とても思っておりませんでしたわ。

ええ、煩わせては悪いでしょうと、出来ることは自分一人で判断をし処理をして、ちょっとしたことでも泣き付いて頼ってみせませんでした私の頑張りが、いけませんでしたのね?


 ハーレット様。ええ貴方は、神の名をもって代弁なさってる以上、真実を尊び、周囲を等しく扱うようになさってるものだとばかり思っておりましたが… 

真実って、女性の涙で決まるものでしたのね? しかも涙自体は真実ではなくても。

きっと、はっきりと表情に出してしまえば、周囲が気兼ねしたり付け込まれたりいたしますので、高位貴族の一員として冷静さを保つようにしておりました、私の感情のままに動かない冷たそうな顔が、よろしくなかったのですわね?


 ええ、マーベス様。貴方はいずれの宰相として、殿下のために情報を集め調査し、それを正しく判断し取捨してお伝えする立場だと自負しておりましたわよね。

そして、もし殿下が間違ったならば、諌めるべき立場でもありましたのに… 見せかけの事実に惑わされ、諌めるどころか間違いを後押しなさって…。

そもそも殿下と愛し合っていたあの女性にとって、当時婚約者であった私は邪魔者ではありませんの?

そのような方のおっしゃる私の悪行を、証言する者がいたとはいえ、なぜ鵜呑みになさったのですか?

何度か申し上げていた通り、背後関係や関わっている者の感情までも考慮して調べて下されば、真実は分かったはずですのに…」



「そして。 <やり直す>ということ。


私は無理と思っておりますのに、皆さんは可能と思ってらっしゃるようでして…


一体私が1年前のことを大袈裟にとらえ過ぎていて弱いのか、それともそうではないのか… それも分からなくなってしまいましたの。


 ですので、先ほどのお願いをさせていただきました。


『許して下さるのですわよね?』

『まさかそのようなことをすると思っていなかった人物から、唐突に理不尽に傷付けられ』ても」


 ええ、貴方方が私に要求してきたことですもの。

まさか、自分がされた側になった途端、出来ないなどとはおっしゃいませんわよね?

ちゃんとお手本を見せて下さるのですわよね?


 そもそも、

「 … ああ、でも今回の件では、ちゃんとした理由はございますわね。


貴方方は、1年前に、私に、冤罪を押し付け、公衆の面前で貶めて晒し者にし、暴力まで振るっておりますもの。

れっきとした罰でもありますわね。 理不尽、ではありませんわね。


 ならば。

なおさら許していただけますのよね?」



<補足>

なぜか、遠回しな嫌みとしてすら、責任を認めてなかった誰かさん。

騎士団長子息(脳筋寄り)や教皇子息(世間知らず)に関しては、やらかしたのある程度は仕方ないと思ってます。だってそう(脳筋・世間知らず)だから。


でも! 誰かさんに関しては、仮にも身内なので、付き合い自体は一番長く、頭は良いけどバカな行いしてるのに、何度か忠告してました。


<例>ニヤニヤしながら金がなくなったと言う上級貴族の子に、オドオドしながらとある人物がそのあたりにいた、と証言する下級貴族の子。

目を丸くして自分の鞄から金を発見される成績の良い平民の子。

証言あるし、金出てきたし、平民の子に処分を~

って、ちょっと待ったーっ!

ほら、丁度その時間ではないけど、どう考えても移動が不可能な場所で、そのちょっと前に目撃されてるから!

証言した下級貴族の子、上級貴族のとこに頭上がんない関係性だから!

上級貴族の子、成績イマイチで、目障りだって平民の子によく絡んでるから!

通り一遍の事実だけじゃなく、背後関係もちゃんと考えようよ!


てなことが何度か…。


なのに、やらかしたんで…

《お前に関しては、私に責任は無い!》


それに、「優秀な私に任せとけば大丈夫です」とか自信満々に調子にのってたりもしてたので…。

なのにね…

《嫌みとしても、私に責任あるようには言いたくない!》

という裏事情があったり。

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