第17話 造海城攻略戦
間が開いて申し訳ありません。
ようやく投稿です。楽しんでもらえれば幸いです。
天文21(1552)年6月 浦賀水道
内房には里見水軍の基地として造海城、金谷城、勝山城、岡本城、館山城がある。
そのうち、金谷城と勝山城は安西氏が、岡本城は岡本氏が、館山城は里見義頼が入っていた。
残る造海城は現在、内房正木氏の持つ唯一の海城であり、この地域を統治するための拠点として使用されていた。標高100mほどの独立した険阻な岩山の上にある堅城である。港は二か所あり、城の北側、白狐川付近と城の南側、津浜に置かれていた。
地域的に見ても江戸湾の入り口にあり、幕末には江戸湾防衛のために砲台が築かれるなど海の関所として重要視される位置にある。そのため、江戸湾航路の確保、内房攻略の拠点として北条氏は何としても手に入れたい場所であった。北条氏の領地である三浦半島から直線で10kmほどであるため、その影響を強く受けており、調略もあって軍民共に北条寄りであった。
この造海城を攻略するべく、最新鋭艦である桜型巡洋艦[桜]、[橘]、そして図南丸型4隻を主力とした里見水軍は明け方に館山港を出港。目一杯に風上へ切り上がり、内房正木氏の水軍拠点である造海城(現在の富津市竹岡)の攻略に向かっていた。
桜型巡洋艦は2本マストのトップスル・スクーナーであり、完全な西洋式帆船として設計、建造された艦である。図南丸型よりも安定性が高く、堅牢。両舷合わせて10門の艦砲を持ち、攻守ともに現状の里見家で最高の艦である。
そしてこの時、里見水軍は以下の通りの兵力で編成されていた。
里見水軍 総大将 里見義頼
第一艦隊 里見義頼
・桜型一番艦 [桜](旗艦) 岡本安泰
・桜型二番艦 [橘] 安西清勝
・図南丸型 4隻
第二艦隊 正木時忠
・第一日新丸
・関船(スクーナー型)16隻
・小早(スループ型) 10隻
第一艦隊は軍船の撃破、また造海城に砲撃を行う艦隊である。第二艦隊は勝浦正木水軍、つまり正木時忠の水軍である。こちらは第一艦隊が軍船を撃破した後、北側の港から上陸。城攻めを行う艦隊であった。
南側の津浜も港ではあるが小さな砂浜で、細かい岩場があるため係留されているのは小早を中心とした小型艦が殆どであった。数も多く置けず、上陸には向かない。
近くに領地を持つ安西氏は、主力が内陸の土豪勢の鎮圧にあたっており、また北条水軍が来襲するかもしれない状況下では城から動かせられなかった。そのため喫水の浅く、直接浜に乗りつけられる艦を多く所有している時忠の水軍が出向くことになった。
「良いな。凄く良い艦だ」
露天艦橋に立つ義頼が嬉しそうな声で言う。義頼が設計し、建造にも関わっていたが、忙しくて今まで乗ったことが無かったのだ。図南丸型も良い船であるが、喫水が浅いため安定性がやや低くなっている。桜型は軍艦として安定性、防御力を重視して設計されたため、揺れが少ない。
それだけでなく、自分の装備や、目の前の光景も機嫌が良い理由の一つであった。
義頼は真新しい紺色の軍帽をかぶり、漆の塗られた桶側胴。腰には小太刀と、腰袋があり、足には脚絆を着けていた。[桜]艦長となった安泰も同様である。
水兵たちは全員が揃いの木綿製の白い、動きやすい作業服を身につけ、頭には軍帽を被っていた。兵たちの軍帽は白地に、側面には紺色の線がある。区別するため、兵は1本線、砲術長や掌帆長といった班長達は2本線になっている。水兵たちは小気味良く、自信に満ちた顔で働いていた。
「安定した軍艦に、統一された服装。そして誇りを持って動く水兵。良い光景だな」
「全くです。これでようやく理想の海軍、いや水軍らしくなりました」
これも安泰の教育のお蔭だな、と義頼が言うと安泰はやや気恥ずかしそうに有難うございます、と答えた。実際、安泰の今までの教育が無ければ此処までにはならない。
里見水軍、その証として軍帽は作られたのだが、識別の他にこれを誇りとし、また定められた規律を守っている。だが、統一された服装は意識の誘導と、補強に過ぎない。兵たちに誇りや規律という意識が無ければ意味が無く、これらは教育で培われていく。
誇りと規律で動く兵は強い。これは歴史でも証明されている。
安泰は、私はただかつての事を思い出してやっただけですよ、と謙遜していたが、それが出来たら誰も苦労しない。
義頼は功績に報いるため、父上に掛け合って加増させるか、と内心考えていると、澄んだ金属音が響いた。時鐘だ。30分ごとに鳴らすようになっている。館山を出港して4回目。2時間経ったことになる。
「そろそろだな」
この速力ならばもう造海城が見える頃であった。もうすぐ戦だと言うのに甲板にいる水兵たちに緊張感は見られない。
暫くして、見張り兵から声が響いた。
「前方に艦隊発見!〝三つ引両〟です!」
〝三つ引両〟、正木氏の家紋だ。
「北条はいないのか!?数はどうだッ!」安泰が聞き返した。
「〝三つ盛鱗〟は確認できませんッ!数は、大型が、2、4、……7隻ッ!小型が多数!全部で30隻ほどと思われます!」
「そうか!何か動きが有ったら知らせろ!」
「了解です!」
やり取りを聞いていた義頼は露天艦橋の前に立つ。甲板にいる水兵を見やり、大音声を上げた。
「聞いての通りだ。総員、戦闘準備!かかれ!」
戦闘を知らせる鐘が響く。船室で休んでいた水兵たちは素早く反応し、戦闘準備にかかる。直ぐに上甲板では操帆員が増えていった。艦内も砲手が砲甲板で慌ただしく動いているはずだ。桜型は作業しやすく、雨天時でも砲撃できるようにと艦内に一層の砲甲板を設けていた。図南丸型は捕鯨漁船であるため船体に砲門をつけるのは望ましくなく、甲板上に変わらず置かれている。
「少ないな」義頼が小さく零した。想定よりも数が少ない。北条水軍がいないのだ。
「三浦水軍は動いていないのか?」
「以前、調べた時よりも軍船の数は増えています。新造か、北条から購入、もしくは譲渡されたのでしょう」安泰が答えた。
「北条水軍は手薄になった此方を襲撃しようとしているのか、何か理由があって動けないのか、どれかですかな」
「……後者だな。恐らく、水軍の増強中で動かせられないのだろう」
僅かに思案した後、義頼が言う。
手薄になっているとはいえ、房総半島には内房を中心に哨戒艦が巡回している。なにより、航路防衛として大房岬と州崎には砲台が有る。備え付けられている要塞砲は陸軍や水軍で使用している物より長射程で高威力だ。近づく前に一方的に沈められるだろう。大砲を持たない艦船で砲台と殴りあうなど、自殺でしかない。大きく迂回すればその限りではないが、マトモな航海術も無く、内海用として建造された軍船では太平洋の荒波は耐えられない。
流石に現状では北条も無茶はしないだろう。
そして義頼はここで水軍が動かないのなら、現在は増強中だと考えた。自分だったら、まず水軍の強化を行うからだ。
里見水軍は総数こそ少ないが、強力な大砲を載せている。これにより遠距離から一方的に攻撃ができるようになった。
北条水軍は先の海戦で痛手を受けたが、まだ三浦と伊豆の水軍が残っている。江戸の水軍とは比べ物にならない程の、国力に見合った大規模な水軍だ。
仮に現状で北条水軍の全て里見水軍にぶつければ、間違いなく北条水軍が勝つ。ただ、損害は甚大なものになる。北条水軍の敵は里見だけでなく、駿河の今川水軍もいるのだ。その後は今川水軍を止められないだろう。
史実では天文23(1554)年に武田・北条・今川による三国同盟を結ぶが、弱っていれば遠慮無く襲いかかるだろう。北条も、弱肉強食の時代に同盟が有るから大丈夫と馬鹿な考えはしない。
となると、里見水軍に対抗するため、北条水軍も大砲、大筒を載せるだろう。だが、大規模な水軍に高価な大筒を大量に、更に貴重な火薬を配備する負担は重く、中々進まない。大筒を扱うには専門の兵の錬度を上げなければならない。唯でさえ金を喰う存在である水軍が、さらに倍以上の金を喰っていくのだ。
大国、大軍なればこそ、その育成には莫大な資金と時間がかかってしまうのだ。
里見水軍の場合、まだ小規模であり、転生者たちの努力でどうにか配備を進めているが、それでもかなりキツイ状況であった。
そこまで考えて、義頼は当たり前のことだが嫌な事を考えてしまった。
現在の北条水軍は莫大な負担で動けないが、時間が経てばそれが此方にやって来るからだ。
つまり、今後は酷いことになる。
「――先の事を考えると嫌になるな。道標はあっても足元が真っ暗だ」
「とりあえずは、目先の事を考えましょう。どうせ直前になってみなければその時の状況なんぞわかりやしません」
すぐそこに敵は来ていますよ、と安泰が忠告する。義頼はすまん、と小さく謝罪してから腰袋から望遠鏡を取り出した。
現在、艦隊からの距離は500間(約909m)ほど。位置は風上。〝三つ引両〟を掲げた関船が7隻に、小早が20隻ほど。確かに〝三つ盛鱗〟を掲げた軍船は無かった。内房正木水軍は密集し、艪走に切り替えていた。
「第二艦隊に伝達。[これより戦闘に入る。第二艦隊は後方にて待機]以上だ」
望遠鏡を腰袋に仕舞いながら義頼が言う。暫くして、時忠の乗る[第一日新丸]から返信が届いた。
「第二艦隊より返信![了解。思いっきりやって下さい]以上です!」
義頼と安泰は思わず苦笑した。見れば甲板にいる水兵たちも笑っていた。
「何と言うか、一応は時忠さんの同族なんだけどなぁ。遠慮が無い」
「時忠さんは相当、嫌味や嫌がらせを受けていたそうです。あの人、商売を邪魔されると激怒されますから、怨みもあるのでしょう」
「だから上陸部隊の指揮を取るのかな?まあ、此方も時忠さんの期待に応えるとしよう」
そう言っている間に右舷の、艦の横っ腹にある砲門が開き、五つの砲金色の砲身が迫り出す。同時にまだ若い水兵が1人、上甲板に出て来た。
「砲術長より報告![桜、砲撃準備ヨシ]でェす!」
「[橘]より手旗信号ッ![砲撃準備ヨシ]です!」
「[第一図南丸]より信号旗![図南丸各艦、砲撃準備ヨシ]です!」
「よろしい。では、始めようか」
義頼は努めて明るい声で答えた。笑顔だった。そして、大音声を張り上げた。
「全艦、砲撃用意!目標、敵艦。各艦は照準を開始せよ!」
号令と共に旗が掲げられる。砲撃開始の信号旗であった。
そして、6隻の艦は片舷、計22門の艦砲の照準を遠くの、此方に向けて遮二無二突っ込んでくる敵水軍に合わせた。
「撃てェい!」
一斉射撃が始まった。先の海戦よりも強い轟音と衝撃が艦を揺さぶる。辺りに白い砲煙が漂う。強い硝煙の臭いが鼻をついた。
撃ち出された砲弾は空を切り裂くように甲高い音を響かせ、数瞬後には敵船近くで爆発を起こした。撃ち出されたのは榴散弾であった。22発の榴散弾はそのうち、10発ほどは最も効果の出る、敵船の上で炸裂した。吐き出された鉛玉は敵兵を殺傷し、海面に無数の波紋をつくりだした。此方からは詳しくは分らないが数隻、特に小早の動きが鈍くなった。効果は出ている。
「良いぞ、次発装填!」
そう言って、義頼は笑みを深めた。そこには目論見が成功した喜びがあった。
艦船での砲撃戦というのは互いに常に動き回るため、どうしても長距離では命中率は下がる。近づけばその分命中率も上がるのが、危険も多い。前回の海戦では関船、小早の機動力を生かした火攻めを受けた。
では、戦訓を生かすためにはどうするのか。
義頼たちの答えは、「長距離からの榴散弾による砲撃」であった。
この時代の船は上からの攻撃に弱い。特に和船は戦闘時には帆柱を立てないため、直に鉛玉が当たる。そして、木造船では上空から降り注ぐ鉛玉を完全には防ぎきれない。
実際、試しに小早と関船の中に人形を用意し、試験を行ったところ、小早にいた人形には大量の鉛玉と破片が突き刺さっており、関船の板材を貫通して内部に入り込んだ破片もあったのだ。
その性質上、船そのものは沈められず火縄の調整が難しいが、矢倉の上にいる船軍者や兵、また矢倉の無い小早を減らすことができた。指揮する者がいなくなれば船は全く動けなくなる。そうなればしめたもので、此方が接近しても戦いやすくなる。砲弾がよほど見当違いな場所に行くか、何らかの理由で炸薬に引火せず破裂しない、というのを除けば、一度の斉射で数発分は当たるとされた。
「装填よおし!」
「撃て!」
再び轟音と衝撃。弾着。今度も半数が空中で炸裂した。目に見えて敵船の機動力が落ちており、突進力は無くなっていた。
敵船の方、人を見て、急に背筋がゾクリ、とした。奥底から込み上げてくる何かがあった。砲手から声が上がる。
「装填よぉし!」
「撃てェ!!」
義頼は反射的に答えた。轟音。足元と手すりから衝撃が伝わってくる。遠くから悲鳴が聞こえたような気がした。顔は敵船を睨み付けるように、身体を動かして震えを誤魔化す。衝撃や武者震いではなかった。
「弾種変換ッ!榴弾装填!」
敵船を轟沈させるため、砲弾を威力の高い榴弾に切り替えさせる。一時的に砲撃が止んだ。同時に、風向きが変わった。帆がばたつき、艦が失速する。
「転桁索につけ!」
すぐさま安泰が号令をかける。急がなければ動索が切れてしまう。操帆員たちがマストから伸びる帆桁の両端から下がる動索に取り付く。
「引け、転桁索!」
フォア、メインマストのガフセイルが風向きに合わせて正しく帆の開きを整える。風をしっかりととらえ、速力が再び戻る。
「取り舵、少々」
左へ動き、ようやく安定する。少し離れたか。敵艦隊との距離は400間(727m)ほど。
「彼らは勇敢ですな。まだ此方に向かってこようとする」
安泰が甘さの無い、戦場での声で言った。内房正木水軍は既に満身創痍だが、此方に低速で一丸となって向かってきていた。いや、単に流されているだけかもしれない。数は小早が何隻か減った程度か。
「そうだな」
義頼は軽く目を瞑り、眉を揉んだ。ゆっくりと目を開く。
「――彼らの果敢精神に敬意を表して、全力で相手しよう。榴弾、砲撃用意」
「了解!」
義頼の顔には歪んだ笑みが張り付いていた。砲撃準備完了。
「沈めろ」
再び砲撃が始まった。砲弾は目標に向かって着弾、炸裂する。
そして、始まって僅か四半刻(30分)もしないうちに精強と謳われた内房正木水軍は無くなった。
*
里見水軍、第一艦隊は内房正木水軍を沈めたのち、下手廻しを行い、反転。そのまま造海城の砲撃を開始した。そして正木時忠が率いる第二艦隊はそのまま直進し、上陸。城攻めを始めた。
内房正木氏らは抵抗しようにも、兵は少ない。城に篭っても、砲撃で安全ではないと突きつけられた。戦意旺盛な時忠の部隊に攻め込まれ、完全に戦意を喪失した。中心人物であった正木時治は討ち死、造海城は僅かな時間で陥落することになった。
造海城陥落、という知らせを受け、義頼は安泰を残し、僅かな手勢と共に上陸した。
上陸場所には、時忠の近習が出迎えていた。
互いに型通りの挨拶を行い、此方へ、と案内される。周りには義頼が連れてきた護衛の他、時忠が寄越した兵が付いた。
時忠のいる大天幕は、港のすぐ近くにあった。海岸には直ぐに出港できるよう、第一日新丸が停泊していた。小早も数隻出港しようとしていた。残党による襲撃を警戒しているらしい。
義頼は護衛を残し、近習と共に天幕の中に入る。中はカンテラが灯っており、明るかった。鯨油を燃やしているため、獣臭さはあったが大して気にならない。水軍では明かりに良く使われている。
義頼と時忠はまったく型通りの挨拶を行う。
「此度の勝利、おめでとうございます。また義頼様の率いる第一艦隊の支援砲撃により、損害を低く抑えることが出来ました」
「有難うございます。此方も支援したとはいえ、正木時治らを討ち取り、捕縛したのは時忠殿の功績でしょう」
お互い、にこやかに笑い合う。
「茶を用意します。どうぞ、お座りください」
そう言って義頼に机と床几を進める。上座であった。時忠は義頼が座ったのを確認してから着席した。
近習が湯気の立つ赤銅色の金茶碗を持ってきた。中身は濃く出した煎茶だった。
義頼は貰うと一口、熱い茶を飲む。夏とはいえ海の上は寒い。冷えた身体がじんわりと暖かくなる。
その後、討ち取った正木時治らの首を検分し、終わったところで時忠は近習も退出させる。天幕の中には義頼と時忠だけとなった。
「――それで時忠さん。何があった?」
小さく、砕けた口調で義頼は話しかける。
「少々、厄介な事が。正木時治は討ち取って、大半は捕まえましたが、保田郷の地頭だった正木与五郎らの一族が見つかっていないのです」
「ということは、逃げている最中なのか、もしくは此処にいなかった、と言うことになります」
「できれば前者でありたいですけどね」
不機嫌な表情を隠さず、時忠が言う。かなり面倒な状況であった。
前者であったならば、まだやりようがある。ずっと隠れていることは出来ない。民衆も北条寄りではあったが、それは生活が楽になる、という美味しい話があったからだ。此方が褒賞金を用意すれば積極的に見つけようとするだろう。
問題は、既にいない、つまり北条に渡っていた場合だ。内房正木氏にも、農業、漁業改革や水軍の調練など一部の技術は伝わっており、それらを扱うことが出来る。加えて、風魔によって情報は少しずつ流失しているのだ。
「農業や漁業といった分野は完全に防げるものではないので、まだ良いですが、一気に差を縮められるかも知れません」
「万が一の場合は内房正木氏も知っている技術、特に農業、漁業分野は情報解放して、高く売りつけるしかないでしょう。周りの国力を上げることになりますが」
「それが良いかもしれません……」
急に、外が騒がしくなった。義頼と時忠はお互いに顔を見合わせ、外に出た。悪いことは重なる、そんな嫌な予感がした。
外には泡を吹いて横倒れになった馬と、荒い息を吐く、疲労困憊の兵がいた。見た事のある顔だ。館山にいるはずの伝令兵だった。
時忠の兵が両脇から抱え、どうにか立たす。義頼と時忠がいるのを見た伝令兵は荒い息のまま、告げた。
「た、大変ですッ!館山が、館山が燃えています!」
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