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Skill Make Online  作者: 金平琥珀
プロローグという名の肩慣らし
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救世主リンダさん。

 項垂れながら路地裏を歩いているとカノンの目にある露店が映った。風呂敷を広げ、その上に商品を並べるとても質素なものであったがカノンにとってそれ以上に魅力的なものがあった。


 外套を被っているせいか顔は見ることが出来なかったがそれでも悪い人には見えなかった。これはカノンの勘なのであるが。


「すいません。初心者用のポーションって販売してますか?」


 カノンが声を掛けた人物は頭の上にプレイヤーである証拠としてプレイヤーネームが表示されていた。


「あるけど、どうしたの?NPCの店に行けば買えるのに」


 声からして女性プレイヤーのようだ。このゲームにおいてネカマなんてものは存在しない。自身がそうなのだが……これはとりあえず置いておくとして。


 VRMMOの生体認証システムにおいてその情報を基にキャラクターの性別を決めている。故に本来の性別と反対の性別にすることは不可能なのだ。


 カノンは彼女が女性であることが分かると少しばかり警戒を解く。


「……事情がありまして」


「その容姿に関係ありそうだね、私はリンダ。β時代を経験している生産職だよ。容姿のことは聞かないからさ、名前教えてよ」


 カノンは一瞬躊躇ったが彼女が女性であることで警戒が緩まっており、深呼吸すると改めて自己紹介した。


 “女性プレイヤー”として。


「“あたし”はカノン。正規版から始めた素人」


「カノンちゃんか。良かったらフレンド登録しようか」


 やはりβ時代を経験しているのだろう、慣れた手つきでウインドを操作し登録を済ませる。


「!珍しいね、もう称号付いてる。それにこの称号……」


 カノンは自分の称号を見るためにステータス画面を開くとそこにはあまりにも不名誉な称号がついていた。


<称号>

 【見習い魔王】

 魔物を使役することで得ることのできる称号。

 

 STR50 INT25 MDF50



 強い。確かに強いのであるが……【見習い魔王】ということはこのままいくと将来的に魔王になるということだ。


【民からの嫌われ者】

 NPC(客商売をしている)から嫌われる。

 娯楽施設の使用制限。

 格下に対してステータス2倍。



「……いじめだよね、これ」


「苦労してるね、カノンちゃん。それにしてもβ時代には無かったよ、どっちも。やっぱ種族が関係してるのかな?」


 称号と種族のことを気にしているが【スキル】について尋ねてくるようすはない。やはりそれはマナーなのだろう。


 それでも気になることがあってどうしても聞かずにはいられなかった。


「生産系の【スキル】ってどんなのがあるんですか?」


「生産系となると一般的には【調合】、【合成】、【細工】、【彫刻】、【鍛冶】まだまだあるけどこれ以上あげるときりがないからね。ん?どうしたの?そんなに驚いた顔して」


「だって」


「あ~。所持している【スキル】について聞くのはマナー違反だけど、別に存在している【スキル】にどんなのがあるかは別に教えても問題ないし。それにスキル屋に行けば簡単な【スキル】なら買うことが出来るよ。それなりには高いけどね。一番安いのでも4000Gくらいはするよね。ごめんね、私ばっか喋っちゃって。私さ、トークが大好きだから」


 リンダさんのマシンガントークが一区切り付くと話の話題が商談へと移っていた。


「カノンちゃんはある理由からNPCの店での買い物が出来なっているのよね?」


「そうです」


「だったら私の店なら買い物できるってことよね?プレイヤーの露店だし。それにもうすぐ露店じゃなくて店をオープンする予定だからよろしくね」


「そうなんですか?え~とおめでとうございます」


「私のお店の常連さんになるわけだからこれサービスしておくね」


 そう言って腰に着けているバッグからビンに入った緑色の液体を手渡ししてきた。


「……これは?」


 どう見ても青汁だ。


「ポーション。市販しているやつだし……β時代からこのポーション不人気でさ。とてつもなく苦いんだよ。でもこれないと回復出来ないし、苦くても飲むみたいだけど。ほら良薬は口に苦しっていうじゃない?」


「どの世界でも薬は苦いものってことですか……好意はしっかりと受け取っておきます。……飲んでくれるかな?」


 かなり不安を覚えるカノンだった。


ポーションって苦いよね。


いろんな栄養ドリンクを混ぜてポーションだって作ったことあるけど。


吐きそうだった。

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