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Skill Make Online  作者: 金平琥珀
<崩壊する日常編>
67/73

状況確認は冷静に。

どうも金平です。


なんと一周年になりました。


イエーイ。


ってな感じで今年一年よろしくお願いします。

 ───レベルが上がりました。


 途切れそうな意識の中で聞いた声がそれだった。カノンはアイテムボックスの中から水を取り出すと傷口に掛けた。


「ぐっ」


 そこへ何故か真っ赤になったラムが現れ、触手をカノンを傷口に当てる。ラムが紅くなっていた原因がそれを見ていたカノンには分かっていた。


「……お前、そんなスキル持ってたか?」


 ラムは【吸収】を使い、垂れ流しになっているカノンの血液をうまく集め、これ以上外に流れないように手当をしていた。


「……助かる」


 カノンはラムを頭を撫でながらそんなことを言った。ラムは自身の細胞を切り離しカノンの傷口に定着させていく。


「……使い魔は主と共に成長する、か」


 レベルが1になったカノンはようやく冒険者としてのスタートラインに立つことが出来た。レベルが上がるということは使い魔のレベルも上がるということで、血を多く摂取し過ぎたラムは別の生き物へと変貌していた。


 ブラッティスライム。


 それが今のラム。ブラッティスライムに進化したラムが覚えたスキルは【血流操作】と【細胞分裂】の二つだった。その二つを駆使してラムは主を助けてくれた。


 そしてもう一つうれしいことがあった。


『カノン、カノン』


 ラムの細胞を自分に移植したためなのか、ラムの言語を理解することが出来るようになっていた。


 ある程度傷口を塞ぐことが出来たカノンは慣れない手つきでキリングベアの解体に取り掛かる。


『カノン、生きてるよ』


「俺は、生きてるよ」


 その回答に対してラムは柔らかい身体をぷるぷると震わせ、カノンの言葉を否定する。


「……?」


 ラムが三人の分の原型を留めていない死体の中にまさか、生きている人が混ざっているなんて思ってもいなかったカノンは急いで死体を寄せた。


「女の子か……よく無事だったな」


 体中かなり汚れが目立つが外傷は特に見当たらないし、無事であろうことは心拍数から確認することが出来た。


『どうする、どうする?』


「どうするつってもな……とりあえず街まで運ぶしかないが、金がない」


 街まで連れて行ったところで宿へ泊る金なんて持ち合わせていないのだ。そしておそらくまだ目を覚まさない彼女も金なんて持っていないだろう。


一応回復薬ポーションでも使ってみるか」


『カノン』


 カノンが回復薬ポーションを使おうとするとラムが何かに気付き、それを止める。


「ん……誰?」


 アイテムを使うまで起きた彼女は開口一番にそう尋ねた。


「俺はカノン。あんたと同じプレイヤーだ」


「……プレイヤー?」


「あんた、記憶が……」


 あまりの恐怖に心が壊れ、記憶を失ってしまう話はよく聞く。もしかしたら彼女もその類なのかもしれない。


「俺はカノン」


「女の子なのに俺?」


「悪いが、俺は男だ。この世界は現実らしいからな……それに現実なら演じる必要もない」


 演じるのは楽しいがその楽しさはもういらない。いつまでも演じていてはこころが疲れていくだけだ。


「んー。頭があれな人?」


「……記憶の飛んでいるお前に言われたくないな。ところで名前は?」


「シェーレ。シェーレ・アドバンス。れっきとした冒険者だよ」


 彼女は自分を冒険者だと言った。プレイヤーではなく、冒険者だと言った。それに気になるのはファミリーネームを有していることだ。


「確認するが、お前は記憶喪失ではないのか?」


「記憶はちゃんとあるよ。キリングベアに襲われて、盾でなんとか攻撃を凌いでたんだけど……村人みたいな人たちに遭遇して彼らが僕を庇って……それから」


 それからのことは目を覚まして俺がいたと彼女は言った。


「……この世界の人間ってことなのか?」


「さっきから大丈夫?自分のことを男だって言うし、この世界がどうのこうの言うし、なんだか血だらけだし、って血だらけじゃない!!」


 今頃カノンの状態に気付いたシェーレは慌てふためいていた。


「大丈夫だ、傷自体は塞がっている。悪いが今の状況を教えてくれないか?」


「状況というと?」


「情勢だとか、歴史だとかそんなとこを」


「……本当に大丈夫?教えるのは別に問題ないけど……。質問があったら言ってね」


 この世界はスキラントとっていう10の大陸からなる世界で、世界の中心にはユグドラシルの塔と呼ばれる100層の塔があるの。


 ユグドラシルの塔へ至る道は未だ発見されていなくて誰もその塔へ行くことは出来ない。


 ほら、ここからでも見えるでしょ。


 この世界にはいくつもの種族がいて、いくつもの文化がある。もちろん文化があるということは国がある。ヒューマンの国だけでもどれくらいあるのか分からないくらい。


 大きな国だけを数えるのであれば、ラシュヘイト王国。ここは王様がいてかなり賑わっている国でもある。それからヘルヘイト帝国。ここは王国とは違って軍事が物を言っている国で、一番偉い人は大元帥様って人。後はルーンヘイト共和国にガイバ小国連合、セルス教皇国が有名ね。


「通貨は何で通ってる?ガルムか?」


 通貨の話をすると確かにガルムって名前の通貨を使っているけど、そう言う人は大商人くらいで一般的には銅貨や銀貨で通ってる。


 因みに1ガルムは銅貨換算で1枚、100枚で銀貨が1枚っていうレートよ。


 それと気になるんだけどカノンってどんな種族なの?ヒューマンみたいだけど、ヒューマンにそんな髪の人はいないよ。


「……俺は咎人だ」


 咎人?何か前科でもあるの?盗賊だったとか?それともう一つ気になってるんだけどその後ろのモンスターは何?


「これは俺の使い魔だ」


 ……もしかして魔族?


「魔族?」


 魔族は種族分類の中でも戦闘に秀でていて殺すことを快楽とするような連中よ、モンスターを使役することで知られている。


「悪いが魔族とやらではないな、これは俺の【テイマー】のおかげで仲間になっているようなものだしな」


 【テイマー】という言葉にシェーレは怪訝そうな顔をする。どうやらその概念すらないことこの世界を知っているような口調からやはりプレイヤーではないことがうかがえる。


「シェーレは街に戻るのか?」


「うん、そうするつもり。元々ギルドから薬草を取ってくるように頼まれてたから」


 シェーレは腰に着けたポーチから百合のような植物を取り出すと、それをカノンに見せた。


「……それなら俺も確か」


 カノンが同様の植物を取り出すと今まで未鑑定状態だった植物のそれは薬草であることが分かった。


「なるほど……こういう仕様なのか。知っている誰かに見てもらえば、もしくは自分で知識を付ければ分かるようになる」


「おーい、大丈夫?カノンも一度街に行くの?」


 カノンは少し考えるような素振りをしながら、ここにいても出来ることがないと考え、一度街に戻ることにした。

<ステータス>


 名前 カノン

 種族 咎人

 レベル 1


 HP80/80

 MP40/40


 攻撃力5+7

 防御力1+1

 魔法攻撃力2

 魔法防御力1

 回避力7

 速度7+2

 技術力4

 幸運1


 所持金0ガルム

 貯金0ガルム


 固有技能ユニークスキル

 【ギルティブレイドⅠ】レベル1


 独自技能オリジナルスキル

 【錬金術師アルケミスト】レベル1


 既存技能ノーマルスキル

 【テイマー】レベル1


 職業技能ジョブスキル

 なし


<装備>


 武器 『カノンの木刀』(+20)

 盾  なし

 頭  なし

 胴体 村人の衣服(+1)

 腰  中古の腰巻(±0)

 脚  壊れかけのサンダル(±0)

 羽織 なし

 装飾 なし

    なし  

    なし

    なし


<称号>


 【被験体モルモット

 一度だけ体力が1残る。※町に戻ることでリセット。


 【異界の放浪者】

 異世界からやって来た者。

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