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Skill Make Online  作者: 金平琥珀
<始まりのダンジョン編>
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蟲と薬。

<始まりのダンジョン 第二層>


 第一層が墓地風だったのに比べ今回のステージは森だ。どこまでも深い樹海。気を抜いたらすぐにでも迷子になってしまうのではないかと恐怖に駆られながらもカノンは樹木に傷をつけ目印を付けていく。


 こうでもしなければこんな場所迷うに決まっている。


 それに背中に背負っていたはずの長剣はすでに抜刀状態でいつでも敵を斬ることが出来る状態だった。


「……蟲……蟲……蟲」


 カノンは大の虫嫌いでということは知人や肉親なら誰でも知っていることだ。今回のステージはカノンにとってかなり相性が悪い。


 特に芋虫みたいな奴とか、足がいっぱいあるような奴はダメだ。あれが視界に入っただけでも錯乱状態になる。


『情けない、たかだか蟲程度で』


 カタフラクトは主に飛び掛かろうとしている蟲たちを次々に排除していく。とてもレベル1の動きには見えない。


『マスター、このあたりの蟲どもは排除した。それにこれはマスターの求めているものではないのか?』


 カタフラクトが倒した蟲のドロップ品の中にはブラックペッパーや塩などといった調味料が手に入った。これは多いに越したことはない。


『仕方ない、我が戦うとしよう。それに元は我のレベル上げでもあるのだろ?ならせめてマスターと同等までは稼がせてもらうとしよう』


 カタフラクトが独りでに狩りまくっている間。


 カノンは手に入ったアイテムの整理をしていた。何でも間でもアイテムボックスに入れると流石に空きスペースをかなり使ってしまうので、選別のためでもある。


 実際に具現オブジェクト化しているポーチに入る分はそちらに入れる。ちなみにポーチに入るのは容量で表示するなら20くらいだ。


「調味料関係はこっちに入れて、と。回復アイテムは別にいらないから……」


 そんなことをしていると、カタフラクトが敵を殲滅出来たのかカノンのところに戻ってきた。


『マスター、これが収穫だ』


「ん、ありがと」


『死んでいる蟲は触れれるのだな、生きているのと大して変わらないだろうに』


「だってこれ、アイテムじゃん」


『その区分が分からん』


 カノンはアイテム化している死骸に触れながら、解体作業を始める。これは最近知ったことなのだが、使い魔などに魔物を倒させることで、一定の確率で魔物がアイテム名『死骸』として残ることがある。そしてこれに対して行える作業が二つ。一つはカノンがやっているように解体してより高品質のアイテムを入手すること、もう一つは【死霊術】というスキルを入手し、それによって使役すること。


 【死霊術】は【テイマー】の派生スキルらしいが入手条件はよくわかっていない。


「それよりもだいぶ奥の方まで来たんじゃない?」


『残念だが、まだ序盤だ。それにどうやらセーフティエリアだそうだ』


 カノンは近くにあった丸太に腰を掛けるとポーチからあらかじめ用意してきたサンドイッチを取り出すとそれを頬張った。


「当面の目標はこのエリアの制覇だろうけど……森ってどこまで続いてるんだろ」


 カノンはどうでもいいことを呟きながらさらに一口二口とサンドイッチ食べる。


 サンドイッチを食べ終わった頃になるとカノンは一度荷物をまとめ、慣れた手つきで『死骸』から必要になりそうなアイテムを取っていく。それが終わると錬成を使い、『死骸』を消去する。


 そのまま放っておくゾンビ化するので必ず処理する。


◇◇◇◇


 ダンジョンから帰ってきたカノンはこれから何人になるか分からないが店を訪ねるという連絡があったので、すぐに店に戻ることにした。


 店に戻ると同じ甲冑に見を包んだ男女数人が立っていた。


「どこに行ってたんだ?カノン」


「ん?ちょっとしたレベリングだよ。それよりもどうしたのさ、こんなに大人数で」


「お前から頼まれてた生産に使えそうなアイテムを持ってくるのに手伝ってもらってたんだ。それとこれが追加の素材だ」


 グレイはどこで集めてきたのか分からない数百もの薬草を質素なテーブルの上に置いた。


「結構集めてきたね。あ、そうだ……試作品のポーションを作ったんだけど、良かったら使ってみてよ。それとこれは買っていくの?」


 通常のポーション200個。定価なら一つ100ガルム程だが、今はポーションが不足していてかなり高騰しているという。


「因みにポーションの価格ってどれくらいになってるの?あ、リンダさんに聞いておけばよかった」


「ポーションの価格なら今は一つ210ガルムってとこだな。二倍になってるんだから品薄なのは確かだ。そうだ……カノンに紹介しておくよ。これがうちのギルドのメンバーだ」


 グレイの紹介の後最初に名乗りを上げたのは、かなり小型の、もとい子供のような体型をしたエルフだった。


「グレイさんのところで副マスしてますです。ニーナっていいますです、よろしくお願いしますです」


 グレイのところには似つかわしくない愛らしさだが、カノンがそれを口に出すことはなかった。


 その次に名乗ったのだが、猟銃のような武器を携えている陰険そうな男。


「団長の知り合いと聞いてどんな方かと思いましたが、ふむ。なるほど……団長のセンスも中々に怪しいところがあります。団長には前々から言うべきかと思っていましたが、ロリ───ブフッ」


「貴様の話は長い。もう少し弁えたらどうだ。それとも一度殴ってその口を閉じてやろうか?」


「既に殴ってますよ、それに痛いではありませんか。それにルビアは相も変わらず暴力に訴えますか。それも交渉の一つではありますが、貴女のようなやり方では物事を平和的に且つ効率よく解決するのにはよくありませんね、そうは思いませんか?カノンさん」


「『あたし』としては別にどうでもいいんだけど……えーと、ニーナさんに、ルビアさんに……貴方は?」


 陰険そうな男は咳払いをすると改めて


「カロルドと申します。以後お見知りおきを」


 カノンは苦笑しながらにぎやかなギルドだねと言った。それに対してうるさいくらいだがな、とこちらも笑う。


 尋ねて来た要件を尋ねるカノンだった。

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