一時帰還。
カノンが意識を覚醒させたころにはダンジョンの第一層はカノンによってクリアされていた。
カノンは現在の自分の状態を調べた。
<ステータス>
名前 カノン
種族 咎人
レベル 10
HP530/530
MP300/300
攻撃力45
防御力22
魔法攻撃力28
魔法防御力27
回避力66
速度63
技術力64
幸運19
所持金 9万7千ガルム
固有スキル
【罪の剣Ⅰ】レベル2
オリジナルスキル
【錬金術師】
既存スキル
【見切り】レベル6 【拳強化】レベル5 【索敵】レベル6
【採取】レベル8 【剣術Ⅰ】レベル9 【見習い鑑定】レベル2
【投擲】レベル4 【弓術Ⅰ】レベル2 【思考加速】レベル5
【調合】レベル6 【テイマー】レベル3 【紙装甲】レベル1
職業系スキル
【剣士】レベル4 【拳闘士】レベル5 【弓術士】レベル1
称号
『スケルトンキラー』
スケルトンに対して攻撃力が1,5倍になる。
自分でもかなり成長できたと思っているカノンだが、生産職としてのスキルが少ないことに不満を覚えた。
カノンは一度ダンジョンから出ると町に戻ることにした。
◇◇◇◇
<始まりの町>に戻ってきたカノンは何故かお通夜モードになっていたグレイを見つけた。
「どうしたの?そんな暗い顔してさ」
「あ、カノンか。いや今日さエリア攻略をやりに行った」
カノンはああ、とグレイの状態を理解した。
「負けたの?」
「それも盛大にな、奴の体力がレッドゾーンに入るまではこちらが優勢って感じだったんだが、そこから奴は持っていた武器を捨てて違う武器を装備した」
「へえ。ボスも武器を切り替えることあるんだね」
「ああ、問題はそこからだ。奴が武器を切り替えたと思ったら今度はエリア全体効果ってのが変化して回復不可能になったんだよ」
エリアボスがいるボスの領域はたまにエリア効果と呼ばれる特殊な状態を作り出すことがあると公式サイトにかいてあったのをカノンは思い出していた。
「なるほどね、問題はレッドゾーンに入ったボスの状態が変わることを誰も知らず警戒を怠ったことにあるわけだ」
カノンはグレイからなるべく情報を入手しておこうと考えていた。
「ん?見ない間に結構強くなったんじゃないのか?」
「そんなことはないよ、レベルとしてはエリアボス攻略できるくらいにはなったけど……戦いすぎたせいで生産としての能力が全然」
「なるほどな。それなら生産系の依頼でもやってみるといい。依頼なら報酬もそれなりに出るし、何より経験値が効率よく稼げる。自分であげていくのも楽しいが、効率を重視するのも悪くない。それに店舗はどうするんだ?店やるんだろ」
グレイは昔話したことを持ち出してきた。
「それなら大丈夫。もうすでに店は入手してあるから。それに店舗兼ギルド施設だし」
カノンは町に戻ってきたついでに店舗の購入も行っていた。ギルド本部に預けているお金の方から出資したため所持金は減っていない。
所持金で表示されるのはあくまで今手元にあるお金だけだ。お金を使用したとはいえ、まだそれなりに貯金は残っている。
「”あたし”はもう行くとするよ」
「ああ、もし何かあれば呼んでくれ」
カノンはグレイと別れ、自分の購入した店舗へと足を運んだ。
◇◇◇◇
店舗へと到着したカノンが中へ入ると、先客がいた。
「まだ何もしてないんだな、ギルマス。てっきりもう完成しているのか思ったが、そんなことよりも酒はあるか?」
「……夜叉丸」
「ん?ミュウならさっき出ていったぞ……自分で作った【スキル】を試したいとかで」
どこからともなく持ってきた樽の上に座っている夜叉丸の周りにはすでに空になっている瓶が何本も転がっていた。
「酒はないよ、それにまだ何も手を加えてないし。というか、”あたし”が拠点を買ったの、よくわかったね」
「通達が来てたからな、それなら嫌でもわかる。俺もオリジナルスキルを開発したんだ。披露する場所があれば一番いいが……。PKしようにもこの辺の奴らは弱過ぎて話にならないし」
カノンは夜叉丸の話を聞き流しながらギルマスの特権があることを思い出した。その特権のひとつに仲間のステータスを見ることが出来るものがある。カノンは試しにそれを発動させてみた。
<ステータス>
名前 時雨 夜叉丸
種族 ハイヒューマン
レベル 14
HP900/900
MP780/780
攻撃力150
防御力98
魔法攻撃力22
魔法防御力50
回避力135
速度94
技術力75
幸運30
固有スキル
なし
オリジナルスキル
【時雨流剣術Ⅰ】レベル8 【斬線直視】レベル7
【斬撃結界】レベル7【魔剣鍛冶師】レベル5
既存スキル
【剣術Ⅰ】レベル15 【槍術】レベル11 【斬撃強化】レベル9
【捨て身】レベル4 【剣圧】レベル5 【斧術】レベル5
【徒手空拳】レベル8 【高速研磨】レベル2 【対人強化】レベル21
【居合】レベル5 【見切り】レベル8 【制限解除】レベル2
職業系スキル
【暗殺者】レベル2 【侍】レベル9 【鍛冶師】レベル2
夜叉丸のステータスを見たカノンは驚きを隠すことが出来なかった。
「何でこんなにステータス高いの!」
「何でって言われてもな、俺には俺のやり方でゲームしてるだけだしな……俺の場合完全に戦うことしか頭にないから戦闘に使えそうなスキルで固めているが」
それにしても剣に関するスキルが多過ぎるような。
カノンはそれを口に出そうとして止め、自分の生産系のスキルを上げるために多少お金を使って工房を作った。
「そうだ、夜叉丸。あとでダンジョン攻略手伝ってよ」
「ダンジョン?ああ、あの場所に行ってたのか。何層まで行ったんだ?」
「まだ一層クリアしたところ」
「そのレベルで一層クリアなら上出来だ。二層からは面倒な敵も出てくるから注意した方がいいぞ。それに俺は三層までクリアしてる。ギルマスが四層エリアまで来てくれないと手伝えないな」
ダンジョンの特性として一度クリアした階層には行くことが出来ない。カノンが次ダンジョンに潜るのであればスタート地点が二層からということになり、現在四層まで進んでいる夜叉丸はカノンの手伝いが出来ない。
「なら、自分でなんとかするよ」
夜叉丸はそれがいいとどこからか取り出した酒を飲みながらそう言った。