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Skill Make Online  作者: 金平琥珀
<始まりのダンジョン編>
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ボス戦・後編

 何故膝を付かされたのかカノンは必至に考える。思考が鈍っていたわけではない、バットステータスになっているわけでもない、直接的に殴られたわ……け。


「体力が……」


 カノンが視認できない速度で攻撃を受けていた。【見切り】を使っていても視認できないとなるとこれはレベルの差が問題になっているのだろう。


 回復手段を持たないカノンがこれ以上のダメージを受けるのはあまりいい手とは言えない。回避に専念するとはいえ、攻撃を当てなければ奴を倒すことは出来ない。


「勝てないんじゃない。勝つんだ」


『そうなのら!!』


 カノンの言葉にラムも同意する。


 カノンは拳を強く握り締めると奴に弾かれた剣に目を向ける。


(拾える隙はあるのだろうか……)


 ラムはカノンの視線の先に何があるのか察し、転がりながら落ちている剣に近付く。


『全力防御!!』


 ラムは自らを囮としてカノンに剣を拾わせようとする。


「ラム、ごめん」


 カノンは走り出し、剣とラムを同時に回収すると奴の攻撃に耐えて体力の減ったラムを回復させる。


「【HPドレイン】は使えないの?」


『使えないのら。……張り付いてないといけないせいもあるけど……なのら』


 持ってきていた回復薬ポーションももう残数が半分以下になっている。これ以上むやみに回復することは出来ない。


 奴のHPがまだ4000切ったばかりだというのに。カノンは冷静かつ慎重に今の状況を見極める。この状況下における最も有効な手段は戦略的撤退だ。けれどまた自分がどこまでやれるのか試したいという葛藤もあった。


「やれるとこまでやってやる」


 カノンはラムに【分裂】と防御を頼んだ。奴の攻撃は斬撃に分類される。斬撃は大きく分けると物理攻撃だ。それに耐性を持つラムを盾として使い、【分裂】でラムと同格の固体を作り出す。言うなればデコイだ。


「【拳闘士】から【剣士】へ移行シフト!」


 言語でのメイクアップアクセスであればわざわざウインドを見て操作をする必要もない。けれど細かい調整をするのであればはやり手動の方が断然に良いのだが、今は仕方ない。


「メイクアップ、【見切り】、【索敵】の合成開始」


 カノンが持つ【錬金術師アルケミスト】の特殊技を発動させる。これこそ【錬金術師】の真髄なわけだが、一度発動するとHPの50%とMPを全て持っていかれるのだから戦闘中になぞ使いたくもない。


 スキルの合成は数秒とかからずに完成した。


「合成スキル【未来視】」


 カノンが持つこの裏技は制限時間がある。制限時間を過ぎれば合成スキルは強制的に解除され元のスキルに戻る。


 制限時間と言っても常にその時間が削られていくわけではない。正確にはスキルを使用している間のみ時間はカウントされる。


 つまりそのスキルが使える制限時間。


「【未来視】発動」


 脚に力を込め、地面を強く蹴り飛ばすとそのまま弾丸のように奴へと飛び出す。奴がいくら早く動こうが、その行動がすでに見えているのであれば、回避することは容易いことだ。


 カノンは攻撃を躱し、また囮を使って防御し奴の急所であるコアを攻撃する。


「届けええええええええええええ!!」


 MPがない今では、アーツを駆使して戦うことは出来ない。それでもやりようはあるとカノンは背中に携えた大剣を抜く。


 二刀流。


 小太刀と大太刀ではないが、カノンのイメージはそんな感じだった。軍用剣をコアで差し込むとそこへさらなる斬撃を加える。


 カノンは【未来視】を使い、次にくるであろう攻撃を予測し、回避すると奴からかなり距離を取った。


「移行」


 手に持っている剣を一度納刀すると、弓を出現させる。


「矢は一発あれば十分」


 カノンが矢の代わりにしたのは軍用剣だった。


「【未来視】」


 カノンは次に発生するであろう隙を予測し、それを攻撃へと転じる。


「これで終わりだ」


 放たれた剣が奴に着弾するのを確認すると、弓を仕舞い大剣を取り出す。多少の休息時間があったおかげで一撃放てるだけのアーツは回復した。


「パワースラッシュ!!」


 カノンは疲労からなのか膝をついた。


『まだなのら』


 HP120/4900


「化け物か……本当に」


 カノンはこれ以上動くことが出来ないようだった。せめて手だけでもと弓を装備するが、うまく動かせない。


「だめだったのかな」


『まだなのら!!諦めたらダメなのら!!』


 ラムは大量の囮とともに体当たりをしている。もはやそれは特攻だった。ラムたちがぶつかる度に激しい爆発が起こる。


 【分裂】した固体がさらに【分裂】を使うことで数を増やし、ラムがレベル10になったことで入手した新しいスキル【水蒸気爆発】による連続爆撃を行っていていた。

 

「ラム!!!」


『あいなのら!!』


 ラムが奴に飛びつくと最後の花火だなんて言わんばかりの盛大な爆発でこの戦いに終止符を迎えた。


────Information。


 勝者 カノン。


 初回ボス撃破特典

 ・称号『スケルトンキラー』

 ・骸の大太刀(6)

 ・3万ガルム

 ・【スキルメイカー】 ×05個

 ・レアスキル【騎士道精神】


 エリアクリアボーナス

 ・経験値1万

 ・特別クエスト【騎士の道】

 

───【漆黒の髑髏騎士】を仲間にしますか?───


 イエス/ノー


 それを見たカノンの反応は早かった。


「新しく、よろしくね」


<ステータス>


 名前【漆黒の髑髏騎士】

 別名 カタフラクト

 種族 骸骨系スケルトンナイト上位亜種

 レベル 1


 HP250/250

 MP100/100


 固有スキル

 【骸の意地】

 

 保有既存スキル

 【剣術Ⅰ】レベル1 【精神統一】レベル1 【剣速Ⅰ】レベル1

 【居合】レベル1 【統率】レベル1 【剣圧】レベル1


「”あたし”は少し疲れた……」


 そう言ってカノンは目を閉じた。

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