【スキル】入手
手持ちのアイテムをもう一度確認する。
<アイテム>
・石ころ(1) ×15個
・木の枝(1) ×12個
・壊れかけの棍棒(2)×01個
・獣の皮(1) ×01個
・水(1) ×30個
・名称不明・草(1) ×30個
・名称不明・鉱石(1)×5個
現在はこんな感じになっている。名称不明と表記されているものは【鑑定】系のスキルを持っていないと表示されない仕組みになっているようだ。そのため【鑑定】系統のスキルを入手するにはいいかカノンは考えていた。
<始まりの森>にある景色のいいセーフティエリアでカノンは【錬金術師】を使い、そこから調合を選択し発動させる。
【錬金術師】
カノンが製作したオリジナルスキル。
MPを25消費し、生産系のスキルを選択し使用することが出来る。
生産系のスキルを戦闘中にも使用できることが特徴でデメリットとしては、このスキルを使ってアイテムを生成する場合アイテムを二倍消費するのと必ず錬成陣を用いた方法でしか発動しない。
現段階では生産系の上位スキルを選択することは出来ない。
カノンが作った唯一のスキルでカノン自身好んでよく使うのだが、アイテムの消費を考えると既存のスキルを取った方がいいのかもしれないと思っている。
「どうしよう」
カノンはメニュー画面を開きながらあることに気付く。
「……。あった」
誰もが簡単に取れるようなスキルはヘルプを開くことで入手する手段を知ることが出来るということを思い出した。
そこから【鑑定】系のスキルを探すと【鑑定】系統では【鑑定】のみ入手手段が掲載されていた。
【鑑定】
───入手条件───
名称不明のアイテムを10個以上入手する。
「なるほど、あとは8個ゲットすることで入手できる」
けれど今の手持ちのアイテムでは一度アイテムを減らすかそれともレベルを上げるかでしか新しいアイテムを持ち歩くことが出来ない。
そうと決まればやることは一つである。
現在いる自分の位置を確認し、町ではないことを理解したのならばモンスターを倒して経験値を積み重ねることでのレベルアップ。
レベル自体はさほど高くはないため簡単に上がる。
カノンはセーフティエリアから出るとカノンは剣を握る。そのまま精神を統一する。何かに見られているような気配がある。
「さて、と」と小さく呟くと剣を地面に突き刺す。
カノンが剣から手を放すのを見計らったかのように蝙蝠タイプのモンスターが襲い掛かって来た。
現在のフィールドは黄昏時。その時間帯の<始まりの森>はちょうど夜行性のモンスターが動き出す時間帯でもある。
昼の間であればスライムやゴブリンがメインとなるこの森では、現在スケルトンやゴーストといった怨霊系の魔物がメインで活動している。それにこの時間から朝方に掛けては敵自体が多少強くなっているため経験値もおいしい。
「バットを倒しても経験値はあまりもらえないか」
相変わらずとレベルは変わらずに1のままだ。どうやら種族によって成長速度が違うのかもしれない。
カノンはバッド以外を探すことにした。
そこから少し離れたところに墓場のような空間があるのを見つけた。
「前にこんなところあったっけ?追加されたってことなのかな。それにしても」
随分と寒さを感じる。気温的な寒さではなく、体感温度としての寒さだ。ぞっとするようなと例えた方がいいかもしれない。
「恐怖までも再現されるもん?」
そんな細かいところまで再現されなくてもいいんじゃないかと思うがそれは製作者の意向なのかもしれないとこれ以上は何も言わずこの場を散策することにした。
カノンは背後でカタカタと何かがぶつかるような音が聞こえていたが、振り返ることはせず、その場で姿勢を低くする。
「っと。そこまで露骨に音を立てられればいやでもわかる」
その言葉と同時に先ほどまでカノンの頭があった位置で空を切るような音がした。
「墓場らしい敵と言えばそうなんだけど、ここまで多いの?」
体勢を立て直し振り返るとそこには一体や二体ではない集団のスケルトンがこのフィールドを徘徊していた。
「戦闘系のスキルは今持ってないし。これじゃあ、スキル補正なしで戦わないといけないのか」
大概のスキルは購入するなどして手に入れることが出来るが、カノンはそれが出来ない。
現実では少しだけ格闘技と剣術を学んでいるが、それも昔にやっていた他のゲームの影響が大きいが……。
一定距離を保ちながら間合いを保ち、カノンは一気に駆ける。
「はああああああっ!!」
突撃槍のように中断に構えた剣をスケルトンに突き刺す。それと同時にスケルトンのHPバーが大きく減少するのが見えたが、甲高い金属音がカノンを現実に引き戻す。
剣を突き刺したスケルトンとは別にカノンは横からの攻撃を避けることが出来ず、吹き飛ばされる。
「がはっ」
肺に溜まった空気が外に漏れ出す。
すぐに体勢を立て直し、そこで初めて気付く。
「……武器が」
カノンの持っていた剣は刃の部分が完全に壊れており、データを見てもボロすぎる剣から折れた剣に変わっていた。
「攻撃力+3だった武器が攻撃力0って」
攻撃力に対する加算が消失しその上、この武器を使っての攻撃は攻撃判定が出ないというおまけつき。
「武器がなくなり、退路もなしと」
どういう縛りだよとツッコミたいところだが、カノンは拳を強く握り締める。
「今ある武器はこれだけだな」
VR仕様の格闘ゲームをやっていたときに覚えた見切りは使うことが出来ないがそれ近い攻撃パターンから生じる行動予測は出来る。
スケルトンの斬撃を躱しつつ、攻撃パターンを予測。
「掠らないって厳しいな」
カノンのHPバーが徐々に減っており、完全に回避することは出来ていない。完全に回避するにはスキルの補正が必要なのかもしれないと感じつつ、カノンは楽しそうに笑った。
「拳には耐久度はないからな。その代り拳で斬撃を受け止めれば、自身にダメージが入る仕様か」
回避しけれなかった斬撃を拳で相殺しようとするが、斬撃自体を止めることが出来てもダメージ判定は発生する。
「……愉しいか」
カノンは手刀を作り、【罪の剣Ⅰ】を発動。手刀は紅いオーラのようなものが纏わり斬撃に特化した形になる。
HPに余力がない今の発動は死期を早めるだけだが、クリティカルが発生しやすくなるのは大きい。
「急所を攻撃すればほぼ確実にクリティカルだけど……」
今のカノンの攻撃は急所以外の場所を攻撃しても半分の確率でクリティカルが発生する。
その前に攻撃を当てることが難しい。一対一ならとカノンは唇を噛む。
「三撃で決める」
カノンはHPゲージが一番減少しているスケルトンに向かって強く地面を蹴った。他のスケルトンの攻撃を紙一重で躱しつつ、接近すると同時に拳を後ろへ引く。
目的のスケルトンの前まで来るとカノンは目視で確認した上段の攻撃を躱すためにより前へ踏み込み、引いていた拳を一気に叩き付けた。
「カノン流・突撃槍ってね」
スケルトンの光の粒子になって消えるのを見ながらカノンはそう言って【罪の剣Ⅰ】を任意で解いた。
───インフォメーション───
レベルが1上昇しました。
HPが25上昇
MPが25上昇
攻撃力3上昇
防御力1上昇
魔法防御力1上昇
回避力3上昇
速度4上昇
技術力1上昇
幸運2上昇
ノーマルスキル
【見切り】【拳強化】【索敵】【採取】が規定条件に達しましたので使用可能になりました。
遅くなりました!
7月4日(金) 訂正しました。