終了のお知らせ。
夜叉丸に倒されたカノンは気が付くといつもの如く教会の医務室にあるベッドの上に倒れ込んでいた。
デスペナルティのせいなのかやはり死に戻りをすると体が重い。自分の体重が二倍になっているのではないかと錯覚してしまうほどに。
そのためカノンは動くような気力はなくとりあえず今やっているイベントの結果だけを見ることにした。どうせ死に戻りしなくても三位までに入ることが出来ていなかったのだからどうでもいいとカノンは開き直っていた。
「やっぱりシオンのところが一位か。当然と言えば当然なんだけど……どうせならもっと上位を目指すべきだったな……ちょっと後悔」
カノンはそんなことを呟きながらとりあえず身体をゆっくりと起こすとアイテムを整理する。イベント中に手に入れたアイテムは普通のアイテムよりも効果がいいので取っておくことにしてある。
「素材系アイテムがあまりないかな。イベント中は正直レベル上げが基本だったから」
カノンは街中を歩きながら、今後どのように行動していくのかを考える。それにイベント中に遭遇したあの殺人者にまた遭遇する可能性を考えるとあまりゆっくりも出来ないとカノンは思った。
イベントが終了してからそれ程時間は経ってないが町はイベントの結果や打ち上げ等で非常に盛り上がっていた。
その中にグレイもいたがカノンは話しかけることなく、フィールドへ出ることにした。
「少し身体でも動かそうかな」
「なら付き合うぞ」
カノンが言った独り言に返事が来たのでカノンは驚いたような顔で周囲を見回すとそこには身長を超える大剣を背負った男が笑いながら立っていた。
「………時雨夜叉丸」
「お?しっかり覚えてる」
「”あたし”はあんたに殺されたんだけど?」
「別にそんな細けぇこと気にすんなって。それよりも何か討伐に行くのか?それなら手を貸すが」
カノンは夜叉丸のレベルを知っている。
「あんたじゃこの辺の魔物は倒してもおいしくないでしょ。もっとこう……なんていうか高ランクのところに行けばいいんじゃない?」
「それはそれで妥当なところだと俺も思ってんだけど、これから先いろいろとソロだと大変そうだなって思ってな」
「殺人者と組むつもりはない」
「別に名前だけお前のところに置かせてもらってもいいだろ。それに俺はお前よりも強い。基本俺も一人でプレイすることがメインだから。何かあれば手を貸すってこと、それにギルドの名前を落とすようなことはしないから安心しろ」
「……う、うん」
イベントが終わり商品という商品を手に入れることが出来なかったけれど、カノンはそれなりにかけがえのないものを手に入れた。
ここで夜叉丸が別の騒動を起こすのだが、それはまた別のお話。
───第零章 プロローグ 完 ───
はいはい。
第零章プロローグ編が終了しました。
次回はようやく第一章
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