遭遇。
カノンは手始めに今現在自分たちがいる森から今回の大会の優勝に必要な宝を探すことにした。
手持ちの【スキル】だけでは探すのが容易ではないためにここはミュウのユニークスキルに頼ることにした。
「何かを探すような【スキル】って何かあった?」
「たぶんダウジングっちょ。それなら【言語使い】を使用すれば使えるっちょよ」
「お願い」
ミュウは「あい」と二つ返事で、【スキル】を発動させる。
「【言語使用】、使用スキル抜粋、既存スキルより【ダウジング】を引用」
ミュウの【スキル】は既存している【スキル】から何でも使用できるというのものだ。ただ、状態に関するような【スキル】は使用できないとも言っていた。つまり、ステータス強化系や状態異常回復系、HP回復系などと言った類のものを使用することが出来ない。
それでいて、【スキル】使用後には5分間ほどのインターバルが発生し、一時間に5つまでしか使う事が出来ない。
本当に使いどころを考えてしまうようなスキルだ。
それに比べてカノンの持つ【罪人】は未だ、成長する気配を見せない。同じユニークとはいえ、これほど使い勝手の悪い【スキル】はない。常時ステータス上昇補正系の【スキル】とはいえレベルが上がらないのであれば、正直必要がないのではないかと思ってしまうところも多々ある。
成長が遅いと言えばオリジナルスキルである【錬金術師】もそうだ。あれも何度か使用しているが一向にレベルが上がるような気配を見せない。既存の【スキル】たちはさくさくとレベルを上げている中でその調子だ。
「……考えても仕方ないか」
「見つけたっちょ!」
「え?」
「と言ってもそれらしき物ってだけっちょ」
【ダウジング】を使用し、例の物の周辺を特定してもらうのに成功すると、二人はその場所まで走る。
近くに到着するとカノンは【索敵】を使用して、宝周辺に敵がいないかどうかを確認すると運の悪いことに二人ほど確認することが出来た。
「敵は二人」
「っちょ」
カノンは【投擲】を使用していつものように小石を投げる。すると前方で小石を剣か何かで弾いたのか甲高い金属音が森全体に響き渡る。
その音の直後、カノンたちの隠れている場所後方で激しい爆発が起こる。
「……え」
「な、何かやばいっちょ」
爆発の正体が魔法だと理解するのにそれほど時間は掛からなかった。剣術を強化するような【スキル】があるならば、当然ファンタジーらしく”魔法”を使用できるような【スキル】だって存在している。
「一時間ってあとどれくらい?」
「20分くらいっちょ」
「使用できる【スキル】はあと多くて四回」
ミュウの【スキル】は14時から15時とその一時間に5つと決まっており、一時間が経過するとリセットされ次の一時間という風に発動回数が変わる。
リセットされるということは、うまく使えば立て続けに発動が可能になる。
それを考えて作戦を練る。