開始。
三日か四日ぶりの更新!
仕事が休みのときしかじっくりかけないから厳しい(泣)
「お集まりの諸君!この良き日にこんなにも集まってくれたことに感謝する!では、さっそくで悪いがこれよりGM権限でイベントを開始する」
中央広場に集められた冒険者たちは、真っ白なローブを着た奇妙な男の声に耳を傾ける。何でも彼の自己紹介からだとこのゲームの製作者だということだ。
「聞いているとは思うが、このイベントは一週間にわたり行われるもので、その間ログアウトすることは基本できない。もちろん現実時間まで拘束するつもりはないので安心してくれ。このイベントが終了を告げるころには現実世界では一時間くらいしか時が進んでいないだろう」
誰も何も言わずに彼の言葉を聴く。
「このイベントの趣旨は宝探しだが、目的は廃人以外のプレイヤーさんの要望に応えた結果こうなった。時間があまり取れなくてレベルが上がらないだとか、自由度が高すぎて時間がほしいだとか。だから我々も検討した結果、イベントはゲーム内の時間を進め、わずか一時間という時間でも一週間プレイしただけの経験をさせることにした」
つまりこの世界で一週間を仮に過ごしたとしてもイベント期間中は一時間の時間経過しかないとのことだ。
「理解したものから、旅立ちの街道に転移させる。メニュー画面から転移できるからやってみるといい。ちなみに開始時間にはまだ幾分か余裕があるから回復薬など用意しておくやつはしっかり用意しておけよ。現在持っている道具以外は現地で調達することになるからな」
そういわれた瞬間、転移行動をとろうとしていたプレイヤーが一斉に店に走り始める。
それに比べてかなり冷静に転移を行うものたちもいた。おそらくβ時代を経験している者たちだと推測できる。もしかすると公式イベントは毎回このような形で行われているのかもしれない。
噂ではβ時代にも公式のイベントは三回ほど開かれたと聞いたことがある。参加すること自体はデメリットはない。まあ、安心して休憩する場所がないなどのデメリットはあるらしいのだが、それも一気にレベルを上げるチャンスと比べるとたいしたものでもない。
「それじゃ。そろそろ”あたし”もいこうかな。どっちにしろ回復薬は調達出来ないし。それに新しく出来た【スキル】も試してみたいし」
カノンはそういいながら転移コマンドを押そうとすると不意に声をかけられる。
「お嬢さん、いやお兄さんか。ちょっと待ってもらってもいいかな?」
「はい?」
「君のことでちょっと話があるんだよ。運営が面白半分で作った種族を選んだ君に」
話しかけてきた相手は先ほどまで演説紛いのことをやっていた冒険者だった。
「この姿でも”あたし”を男だと判断できるのですね。運営さん」
「こっちは全プレイヤーの情報を持ってるからな。ところでその種族の使い心地はどんなものかって気になったもので、これはすべてのユニークプレイヤーに聞いていることだよ」
「そうですか、強いて言うのであれば、中々にいいものかと自分は思いますが。それでも【スキル】制であるこのゲームでは種族の違いなど微々たるものじゃないのですか?」
「面白い意見だね。確かにそれはそうなんだけど、固有【スキル】などもあるから、それを模索するのも面白いよね。ちなみに君の種族は【スキル】を取得する条件が結構難儀だから気をつけて、私はこれで失礼するよ。こう見えても多忙なもので」
「貴重なお時間をありがとうございます」
カノンはそういうと少し考え込むそぶりをしてから転移コマンドを入力する。
「それは私が作った種族だからね、気にもなるさ」
運営に属する男はそう小さくつぶやくと幸運を祈るとはっきりと聞こえる声でそう言った。
さて、本格的にイベント編に突入!
がんばれ!カノン!