【スキルメイカー】
ギルド登録についてはとりあえず解決し、カノンはリンダに教えてもらったスキル製作についていろいろと模索することにした。
獲得条件つまり習得するための条件を満たし、【スキル】を入手することが製作することだと思っていたがそれは大きな間違いであることを妹によって思い知らされた。
【スキル】を自分で製作するにはいくつかの前提条件をこなしていないといけない。そのうちのひとつとしてすでに【スキル】を獲得していること。
入手している【スキル】がすでにLv.10を超えていること。これはどれかひとつだけでもいいらしい。そうするとモンスターを倒したときに発生するドロップアイテムの中に10回に1回の確率で【スキルメイカー】というアイテムが手に入る。
LUKが高いとかなりの確率でそれは出現するらしいが、カノンのLUKは普通のキャラと比べるとやや低め。
カノンの今の目標は手持ちの【スキル】を強化し、【スキルメイカー】なる代物を入手すること。
「って考えると、シオンのやつはすでに10レベル超えていることになるよな」
一日遅れでゲームに参加したシオンだが、その成長速度は以上ともいえる。いくらレベルがさくさく上がるからとはいえ、成長が異常すぎる。もしかするとβプレイヤーはレベルが上がりやすい場所を知っているのだろうか。
そんなことを考えながら、いつものように例の森に来ていた。まだお昼だというのに薄暗いこの場所はあまり人気を寄せ付けないようだ。
個人的に何かをしたいというときはかなりいい場所だとは思うが、誰もいないというのは少しばかり怖いような気もする。
初回プレイヤーだけでも一万人以上は人間がいるのだ。誰か一人くらいこの場所にいてもおかしくはない。
カノンは手持ちの【スキル】を確認するといくつかレベルが10に到達しそうなものがあり、それを集中的に上げることにした。
「……採取って簡単にあがるけど、何だか、地味」
カノンは目の前に落ちている小枝を拾い上げながら、そんなことを呟く。【採取】のレベルを上げるのはそれほど難しいことでない。現実で実際にしているよう採取方法をやっていくと簡単にレベルがあがるのだ。
───【採取Lv.10】になりました。
以降、【採取】のレベルは道具を使用しないと上がりませんので気をつけてください。───
どうやらこれ以上何かを拾ったりしても採取のレベルは上昇しないとのことだ。
───【スキルメイカーが出現するようになりました。
スキル製作に関しては実践して覚えてください。尚、スキルが強力で
あればあるほど、ある程度の制限がつきますのでご了承ください】───
手持ちの【スキル】のレベルが上がったことでアラームが鳴る。
「シオンの使っていた【転】の制限ってレベルが下がることなのか?」
悩んでいても何も解決しないので【スキルメイカー】を入手するために、森の中にいるモンスターを適当に倒すことにした。
20体ほど投擲を駆使して倒したところでようやくお目当てのアイテムがドロップされた。
「……10回に1回じゃないのかよ!あ……LUKの影響か。世界は運が大切ってことなんだね。きっと」
何はともあれお目当てのものが手に入って喜ぶカノンだった。