SAKURA
― 桜が咲いてる。
いつも白いベットの上で
大きな病室の小窓から眺める木。
貴方は私の唯一の友人。
貴方は私の唯一の恋人。
貴方は私の4人目の家族。
その姿は強くて、暖かくて、優しくて、
可愛いらしくて、寛大で。
でも、気まぐれで、格好つけで、
もろくて儚い。
台風の日は蕾を必死に守って
私の好きな貴方になってくれた。
花が色づくと、
自慢気に自分を見せつけてきた。
機嫌が悪いと、
わざと私から離れた所に花をつけた。
私が落ち込んだ時は満開になり、
遠足に行けなかった私を
お花見に連れて行ってくれた。
誕生日には一輪の花を。
お祝いには、
一丁前に湯のみに花びらを落としてみせた。
そんな貴方が大好きだった。
貴方が居れば他には何もいらなかった。
でも、
貴方は一瞬で消えてしまうから。
貴方と過ごせるのはほんの一時だけだから。
それから、
私も貴方との別れが近づいているから。
いつも願ってしまうの。
― 永遠が欲しい。
永遠の桜がどこかにないだろうか。
叶わない願いを果てしない空に向けて
解き放つ。
いつか必ず見つけよう。
永遠に繋がる架け橋を。
― ありがとう。
それから、
― さようなら。
「叶絵、お友達よ。」
― 意外とそれは気付かないだけで、
「だれー?」
― あなたのすぐそばに…
「桜 真くん。」
― あ…。見つけたかも。
「退院おめでとう。」
(完)
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