表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
和風異世界物語~綴り歌~  作者: ここば


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/92

華灯の里②

「……遥花、お前、本当に帰ってきたんだな。従者も新人か。あーあ、俺のことも忘れちまったのか。」


人混みから現れた青年は、粗野な笑みを浮かべて近づいてくる。

隣に寄り添う片腕の女性は険しい目をしていたが、止めようとはしない。


遥花と陽路は自然と身構える。


青年はふいに口元を吊り上げると、ぐっと手を差し伸べた。

「まあちょうどいいか、遥花、一から俺と付き合って夫婦めおとになろうじゃないか。」


その手が遥花に届こうとした瞬間――


「触るな。」

陽路が鋭く声を放ち、身を乗り出して彼女をかばう。


「は? 従者風情が、綴る者様に命令するんじゃねえ!」

青年――颯牙そうがは怒声とともに拳を振るった。


咄嗟に刀の鞘で受けたものの、衝撃は凄まじく、陽路の身体は地面に叩きつけられるように吹き飛ぶ。


「陽路!」

遥花が叫んだ。


同時に、片腕の女性――紫苑しおん

「颯牙様!」と叫びながら、瞬時に吹き飛んだ陽路に駆け寄り、必死に声をかける。

「大丈夫ですか?」


遥花も陽路へ駆け寄ろうとしたが、颯牙が彼女の腕を掴み、阻んだ。

「離してください!」

必死に抗う遥花に、颯牙は低く囁く。


「あいつはああなって当然だ。綴る者様に反抗したんだからな。それより、聞け……」


颯牙の言葉を遮ったのは、空を裂くように放たれた数本の矢だった。


鋭い矢は颯牙の腕を正確に狙い、迫る。

「ちっ……もう来たのか。」


颯牙は舌打ちし、思わず遥花の腕を放す。

その間に遥花は陽路の元へ駆け寄った。


矢を放った者は、屋根の上にいた。

灯りの群れを背に現れた一人の青年――悠理だった。

冷ややかな声が夜の喧騒を切り裂く。


「……遥花に触れるな。颯牙。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ