第12話幕間
「美波ちゃん!!これ、約束のメロンパンっす!美波ちゃんのおかげで無事に柔道場が解放されました!マジ感謝っす!!」
「……あ、ども、あ、ありがとう」
花守……とか言ってたっけ。柔道部の新しいメロンパンバイヤー。
私があのデカブツをぶん投げたらなんかもらえた。ラッキー。
「美波ちゃん、マジで強いっすね!!うち入りませんか!!」
「……いや、やめとく」
本当に部活などというものには入れる気がしない。さっきから散々誘われているが。手段に溶け込むことがどれだけ不可能任務か私は今までの人生で知ってしまっている。
「……じゃ、私帰るわ」
そういえばそのまますぐ帰ろうと思っていたのにずいぶん居残ってしまった。メイはもう飽きて先に帰ったらしい。
「…………!」
そうして帰ろうとしたところに目の前に現れた人物がいた。さっきのデカブツ。名前は知らない。さっきの試合でもなかなか強かった。もしかしたら金城よりは強かったかもしれない。
「…………黒岸美波。見事だった」
どこで聞いたのか知らないけど私の名前を呼ぶデカブツ。もう一回勝った相手には興味ないし。
ただ、デカブツはこれ以上しゃべることもなく片手を差し出してきた。
私はその手を掴む。
「……ん」
ぶん投げた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「ちょっと美波ちゃぁぁん!?」
「……?」
再びあのデカブツは壁を吹き飛ばして外まで飛んで行った。あれ、投げてほしかったんじゃないのか。
花守もなんだか唖然としている。
なんかメイいないと調子狂うな。これ。