第11話幕間
最近、クラスで話すことが増えた。
増えた、というか一人に対してだけだけれど。
そういえば自己紹介の時ジョークのつもりで言ったあれはどうだったんだろう。今度メイに聞いてみよ。
そんなことを考えながら私はクラスの隣人のことをちらりと見る。
隣の席の……名前は確か柳……てメイが言ってた気がする。
柳はこの前会ってからやけにわたしに話しかけてくるようになった。
実際人と話すのは得意じゃないんだが。
「黒岸さんって本とか読みますか?」
「……あ、まぁちょっとは…………」
「え、どんなジャンルを……」
「……んーと…………なんか推理ものとか?家にあるよ」
あんまり中身は気にしていないがたまにメイの家にある本を読むとそういった類のものが多かった気がする。
「ええと、じゃあ今度黒岸さんに私のおすすめの本とか貸したら、読んでくれますか……?」
「……え?いや、まぁ読むよ?」
ここでノーという理由も特にない。第一、読書もそこまで嫌いではない。
「……!はい!わかりました、今度持ってきますね!恋愛小説なんですけど……」
私の答えに柳はどうやら満足したらしくぱあっと顔を輝かせて返答を寄こしてきた。
……まぁよくわかんないけど満足なら何よりだ。