第七夢:Astonishing unfold
――〈盾旗団〉。
別名、〈シルトバナー〉。
民間の中では一、二の大きさを誇る護衛請負組織である。
盾模様を象徴とし、その紋が描かれた旗を団員が携帯しているのが特徴だ。
〈総騎士団長〉ヘンリー=グーレアン=アブソルートにより、四つの師団が統括されている。
すなわち――
〈春獅子〉。
〈夏蝉〉。
〈秋鹿〉。
〈冬狼〉。
それぞれの部隊で徽章・特徴や請負任務の内容が異なり、〈春獅子〉は――
◇ ◇ ◇
「主に社交性の高い人物が多く、街道・白線沿いの護衛任務に適している、ね」
私は、〈ステファン号〉の横を、栗毛の〈土馬〉に乗り併走する一人の青年を見やりながら、呟いた。
(どこがッ……!?)
消炭色の長髪。
濃群青色の瞳。
端正な顔立ち。
どこか浮世離れしているというか、暗い雰囲気。
――彼の名は、クリフ=シルフォード。
今回、私の任務に付き合うことになった〈盾旗団〉、その〈春獅子〉に所属してる騎士さんだ。
〈ブラーナ〉を出発して、早数時間。
会話は、ほとんど無い。
(社交性のある人物じゃ無いじゃない!)
私の不備もあるけれど!
書類によく目を通していないのが迂闊だった。
初めての単独任務だからと浮かれていたのだ。
不覚も甚だしい。
――彼との出会いを回顧する。
私が、〈街道会〉本部を出ようとした時だ。
急に呼び止められた。
――名前を呼ばれるまでは気付かなかったが。
「〈盾旗団・第四白線支部〉から参りました、〈春獅子〉所属団員、クリフ=シルフォードです。この度は、〈盾旗団〉にご依頼頂き有難う御座います。道中の安全は、この旗印にかけて保障しますのでご安心ください」
いかにも暗記しました、という台詞をかましてきた。
その時私は、自体が把握出来ず「は?え?何?」と、一種の錯乱状態に陥ったものである。
それを、彼は親切――かどうかは定かではないが――に、
「〈街道会〉よりご依頼頂きました、イライザ=フォン=ブライドル様。貴方の任務の道程には重度危険生物棲息地が存在しているので、私は『保険』ということらしいです」
と、言ってくれた。
――そこで、唐突に増えた度の道連れ(パートナー)に内心焦りながらも、現在に至るのである。
出ました、真の相棒クリフ。
急な展開に、驚いた方も多いかと思います(笑)
これでやっと、あらすじにもあるように少年と少女の旅になるわけです。
さぁ、二人の距離は縮むのでしょうか?
お楽しみに。