第二十七夢:To adversity
――翌朝。
〈ロントルトン〉の入り口にて。
「本当に有難う御座いました!」
私は、お見送りに来てくれた村の人々に頭を下げていた。
「それはこちらの台詞だよブライドル君」
ありがとう、と村長さんが言うと、後ろに控えていた村人たちもざわつきながら口々に礼を言った。
「それじゃあ、気をつけて帰りなさい」
「はい。それでは皆さん」
馬車に乗り込む。
荷台には、村長さんや村の人たちが好意でくれた道中の食料が積まれている。
「さようなら!」
私は、再び前に進み始めた――
◇ ◇ ◇
次の日。
私たちは、山道を半ばほど引き返していた。
荷が軽いから、進みも速い。
もうすぐ帰れる。
それは嬉しい。
けど、それは――
――もうすぐ、クリフと別れるという事だ。
それは寂しい。
僅か一週間程度だが、苦難を共に乗り越えてきた仲だ。
別れるのは、辛い。
――それに。
彼といると、ドキドキする。
ただ一緒に居るだけで、安心するし幸せにもなる。
ただ仕事上の関係だとしても、彼は私を必死に護ってくれた。
色んなことも教えてくれた。
共に笑いあった。
お互いに恥ずかしい部分も見た。
だけど、それでも。
彼といると、楽しい。
彼が、頼もしく見える。
彼が、格好良く見える。
男性に、こんな感情を抱いたのは初めてだ。
これが何なのか、解らない年頃では無い。
そう、間違いない。
――私は彼に恋してる。
そう意識すると、なんだか気恥ずかしい。
まともに、クリフを直視することが出来ない。
だから、道程を覚えているミリアに馬車を委ね、私は横になりアイギスと戯れている。
――この子の傷も、大分癒えてきたようだ。
良かった良かった。
雑念を振り払い、頷く。
と、アイギスが妙にそわそわしているのに気付いた。
「どう――」
「エリザ!止まってください!」
したの、と聞く前にクリフの声がそれを遮った。
がばり、とアイギスを抱えて起き上がる。
ミリアの手綱を掴み、制動をかける。
「一体どうしたの?クリフ」
好きという感情より疑問が勝り、普通に質問出来た。
見つめた彼の顔は、とても険しい。
「それがですね……」
クリフが、栗毛から降りる。
「どうやら、最悪の場合が来たようです」
――瞬間。
――山が、揺れた。
◇ ◇ ◇
見つけた――――!
◇ ◇ ◇
なんとも清純乙女なことでしょうかエリザ……。
なんだか書いてて気恥ずかしいです(笑)
しかし、ついに大きな困難にぶち当たります。
さて、どうなることやら。
あー早くシルバーウィーク来ないかなぁ(^_^;)