第二十六夢:One night banquet
――とても楽しい夜だった。
〈ロントルトン〉の人々は、とても優しくてとても陽気な人だった。
『乾杯!!』
杯を酌み交わし、言葉を交わす。
『そらそら!踊れ踊れェ!』
心を開き、打ち解ける。
『あはははッ!』
絶えることが無い笑顔。
これだから、この仕事は辞められない。
クリフも、その時は陽気に笑っていた。
「こんなに楽しいのは初めてです」
果物酒を手に、クリフはほんのり頬を上気させ微笑む。
「それは良かったわ」
テーブルにおいてある〈ロントルトン〉のママたちが作った手料理をぱくぱくと摘みながら言う。
アイギスも子供たちと戯れ楽しそうだ。
「ええ、本当に良かった」
黒き闇に沈んだ稜線を眺めやりながらクリフはポツリ。
「――エリザと出会えて」
……ッ!!?
――爆発するかと思った。
実際、口に含んでいた〈クルップジュース〉を盛大に吹き出してしまったし。
顔が真っ赤になっているだろうなと漠然に思う。
けど、どうにか篝火がそれを隠してくれているみたいだ。
〈ロントルトン〉の皆様は、吹き出した私を見て陽気に笑い、また自分たちの会話に戻る。
ややしばらくしてから、クリフをすごすごと見やる。
「……寝てるし」
クリフは木製の椅子に腰を預け、眠り込んでいた。
なんとも安らかな寝顔だ。
「お酒弱いんだ」
くすり、と笑いが漏れる。
酔っ払って寝てしまったらしい。
ん?
と、言うことは――
「さっきの言葉は――」
本当なの?
酔っ払ってからの一言じゃ、どうにも真意か分からない。
…………。
「あーもうッ!」
なによ!
人を有頂天にさせてから、落とすなんて!
どーいう作戦よ!
くそぅ!こうなったら――
「食べるッ!!」
むしゃくしゃとしてぐつぐつとした想いを、私は食べ物にぶつけてやるのだった――
◇ ◇ ◇
『お嬢さん、本当にありがとうね』
『んだ。オレたちなんかのために遠路はるばるよォ』
『礼といっちゃなんだが、今日はとことん楽しんでくれよ!!』
『アハハハハ!良い食べっぷりだねぇ!』
『さぁ、もっと食いなねえちゃん!』
「――はいッ!」
村の人たちに感謝されたけれど、こちらが感謝したいくらい。
皆さん、本当にありがとう。
私たちは、その時その時を笑った。
これから、どうなるかも知らずに。
長い夜は、明るく楽しく更けて行く――
現在、企画として作中のキャラに著者であるワタクシ昼行灯めが突撃取材をやっちゃおうかなーと考えています。
希望とかある人は、是非ご意見待っています(^^)