第二十五夢:Confirm
パソコンからの投稿なので、携帯からご覧になってくださってる方は、おかしい・不自然な改行部分があるかと思います。ご了承ください。
ちゃんとした形の文を見たいと言う方は、是非パソコンからどうぞ。
「――それから酒場『山の香り』さんに〈シナの香草酒〉と〈焦茶銘柄の蒸留酒〉、〈カンタナ公の薔薇酒〉、〈狂乱の花嫁〉をそれぞれ十瓶。日用雑貨店『毎日の明かり』さんに〈ジミー製菓の軽柔麩菓子〉一包み、〈笑顔を君に会社の駄菓子セット〉三箱、〈ベルナ産香辛料詰め合わせ〉や〈せっせと働く主婦印の家庭用洗剤〉はそれぞれ五箱ずつ。えー『シャーレ書店』さんには〈古書会報〉の各ナンバーと〈筆鯨〉関連や〈廻る現象解決屋シリーズ〉の本を計十七冊。以上になります」
木箱に書かれた銘を確認しながら、読み上げる作業が終わりを告げた。
「うむ、確かに。全て揃っている」
村長が満足げに頷く。
「ご苦労だったね」
「いえ、滅相もありません。大丈夫です」
いつの間にか滲んでいた額の汗を拭いながら、言う。
「彼らに比べたら、全然です」
外で、タオルで汗を拭うクリフと若手衆を見やる。
「ふ、そうだな」
村長は目を細めた。
「冷たいお茶でも入れよう。ブライドル君、彼らを呼んできてくれるかな」
「はい!」
外に出て、呼びかける。
若手衆に続いて、クリフが入ってきた。
「お疲れ」
「いえいえ」
奥から戻ってきた村長が、全員にお茶を振る舞う。
〈ミンネ〉の香りが効いた爽やかなアイスティーだった。
「お前らもご苦労だったな。帰って良いぞ」
優しげな声を受けて、若手衆が集会場を後にする。
――若手衆が去ってしばし。
村長が口を開いた。
「君たち。いつまでに帰るとか、予定はあるのかね?」
「……いえ、特にありませんが――」
そう言うと、村長は安堵したように笑った。
「そうか。ならば丁度良い。今日は此処でゆっくりしていきなさい」
集会場を好きに使って良い、と村長は言う。
「……良いんですか?」
クリフも少し眼を見開いている。
「勿論だ。急いで帰る必要が無いのなら、ここで休んで行って欲しい。それ相応の歓迎もしたいしな。それに疲れているだろう?」
――疲れている。
長旅と野宿だ。
それは、そうだった。
だけど――
(誠意は黙って受け取っておくものです)
〈グランマ〉での、クリフの言葉を思い出す。
クリフの方を見やると、彼もまたこちらを見ていた。
「……それでは、お言葉に甘えまして」
「そうか。そうしてくれるか」
村長の満面の笑み。
それで良い、とクリフは微笑む。
「それでは、鐘が鳴ったら先程の広場へと来て欲しい。今夜は、宴だぞ」
楽しそうにそう言うと、村長はその場を去っていった。
――それから、しばし。
私たちは黙って立っていた。
開け放たれた扉と窓。
吹き抜ける、緑の風が心地良い。
――いつの間にか、笑っていた。
お互いに顔を見合わせて。
何が可笑しいのか分からないけれど、腹の奥底から笑いがこみ上げてきたのだ。
クリフも、そうらしい。
二人の笑い声が、集会場に響いていた――
◇ ◇ ◇
私は、探していた。
――何処に行ったの?
先程まではいたはずなのに。
――嗚呼、私の愛しい坊や。
あの子が居ない生活など考えられない。
他の野蛮な生物に食べられてしまったかと思うと、嗚呼考えたくもない。
――何処?
何処に行ったの?
あの子が居なくなって早数日。
満足に眠れた夜が無い。
その間に群がってきた灰色の輩は、むしゃくしゃしてつい八つ裂きにしてしまった。
――このままでは、気が狂ってしまいそう。
嗚呼、坊や。
お願いだから、あの深く瞳で、もう一度私を見て頂戴。
あの可愛らしく聡明な声で、母を呼んで頂戴。
――何処なの?
嗚呼、神よ。
慈悲深き神よ。
天に御座します白き神よ。
どうか私の子供を、返してください。
どうか、どうか――
冒頭のエリザの読み上げ部分そこまでやる?
てかあそこの部分あんなにルビいる?
という質問を抱いた方は忘れてください(笑)
なかば意地です(^_^;)